「空間メディア」は金沢工業大学建築系の3年生を対象とした演習授業科目である.この科目は設計表現の制作に対するCAD・CGの利用に加え, さまざまなプレゼンテーション技法の理解と操作技能の習得を目的としている.建築系のCAD・CG利用は, デザイン表現を前提する意味で, 他の工学分野におけるCAD・CGによる視覚化表現とは大きく異なる特徴を持つ.したがって, その教育においては各種ツールの操作方法と並行して, 美的なデザインやプレゼンテーション制作に対する指導が必要となる.2004年度の授業ではCAD・CGを用いた空間デザインの高度な表現技法の教育向上を目指して, 新しいソフトウェア環境とステップアップ式の課題制作方式を導入するとともに, 多人数教育に対応した授業運営方式を取り入れた.本稿の前半では, 「空間メディア」のねらいや授業運営方式を紹介した後, 具体的な指導や課題の内容を述べている.後半では, 最終課題で提出された学生の作品を紹介した後, 2004年度に導入した新しい試みの教育成果について報告する.
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