図学研究
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39 巻 , Supplement2 号
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  • 奈尾 信英
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 1-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, ルネサンス期のイタリアにおいて活躍した建築家バルダッサーレ・ペルッツィの実践的透視図法のひとつを明らかにするものである。ペルッツィは, シエナにおいて幼い頃から画家として修業を積んでいたが, 最終的にはローマに赴き, サン・ピエトロ大聖堂の主任建築家となった人物である。本稿で分析対象とした図は, 1515年頃に描かれた舞台背景画「喜劇のための舞台背景画の習作」である。この図は, 現在, トリノの王宮図書館に所蔵されていて, 3層構成をもつ建物のファサードが遠近感を有するように描かれ, 都市景観の一部分が表現されているものである。考察手順としては, はじめに, 消点の位置を求める。つぎに, 消点と水平線の位置, 建物と道路との境界線, 壁と軒との境界線などをもとに, この図における作図線を明らかにする。さらに, それらの作図線の交点を鑑み, この図で用いられたであろう作図用の下書き線を想定する。考察の結果, この「喜劇のための舞台背景画の習作」で用いられた作図法は, 2次元画面上に基準となるグリッド線を設定することで, 遠近感のある透視図風の表現を実現するものであり, 容易に3次元空間を描くための作図法であったと考えられる。
  • 坂本 勇, 平野 重雄, 関口 相三, 横田 成昭
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 7-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    技術時代の特色は、画一化がすすみ、対象を、「複雑、多様、混沌」の多様なものと見なくなっている。現実は、法則や体系をを含む、それ以上のものである。そのために現象の本来持っている個性が見えにくくなっている。日本には「徒弟制」「式年遷宮」「職人絵図」「絵解き」などが「わざ」の伝承に大きくかかわっていた。今、熟年技能者の大量定年による「技の伝承」が深刻な問題となっているが、これを機に「伝承」についての検証が望ましい。
  • 加藤 道夫
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 11-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1923年の国立ワイマールバウハウス展のために編纂された『国立バウハウス・ヴァイマール1919-1923』には, グロピウスの記した「国立バウハウスの理念と形成」という文書が掲載されている.そこには, 消失点遠近法を回避し, 新たな空間表現が開発されたと記されている.ここでいう新たな空間表現とは軸測図である.本研究では, バウハウスにおける軸測図導入の意味をデ・スティル等との比較を交えながら明らかにした.その結果, 1) 見かけの形象から対象そのものの形象へ―その両義性, 2) 「人間中心の限られた世界」了解から「あらかじめ用意された無限の対象世界」の了解へ―その両義性, 3) エンジニアの図という軸測図の3つの特性に対応する, バウハウスのデザインの3つの雛, 1) 「見かけの形象」から「対象そのものの形象へ」, 2) 「人間中心の限られた世界」と「あらかじめ用意された無限の対象世界」の並存, 3) デザイナーによる建築からエンジニアによる「機械」としての建物へという性質が明らかになった.
  • 鈴木 賢次郎
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 17-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図法幾何学は, 設計技術者に必須の基礎知識として, 設計製図の関連科目として教えられてきた.しかし, 近年になって, コンピュータによる形状処理・表現技術 (CG) , および, その設計製図への応用技術 (CAD) が発達し, 実社会で普及するにつれて, 手描きに基づいた〈図法幾何学+設計製図〉教育のみでは, 設計技術者への教育内容としては不十分となりつっあり, 大学等における図学および設計製図教育に3D-CAD/CGが導入されるようになってきた.本稿では, 機械系を中心に, 設計製図および図学教育への3D-CAD/CG導入の現状を概括する.
  • 今淵 正恒
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 23-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    本研究は図学教育を受けていない学生に対し, 工学部として必須の立体の認識・空間の認識の能力を開発することを目的として, 米国テキサス大学で実施されているEngineering Design Graphics1) 科目について内容を分析し, EDGを基本としたコンピュータグラフィックスのカリキュラムを構成するために考慮すべき要素を検討することにより, 独自のカリキュラムに構成するまでの過程について, 筆者が担当しているコンピュータグラフィックス科目の改善例について報告する.
  • 及川 和広, 村上 存
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 27-30
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3次元CADのフィーチャ・ベース・モデリングの特徴を生かして構想設計の教育を効果的に実施するには, 投影法, 2次元製図, 3次元CADが総合的に関連する教育を指向する必要がある.本研究では, 東京大学工学部機械系三学科で実施している3次元CADを利用した設計製図教育を, 2005年度前期の時点で構想設計教育の教育効果の観点から評価した.設計課題で作成した学生の3次元モデルについて, フィーチャの作成方法と設計意図の反映との関係, 3次元CADモデルと2次元CAD図面との関係, およびこれらに対する成績評価との関連を調査した.結果として, 適切に設計意図を反映した3次元モデルを作成したのは全体の2割程度であること, フィーチャの作成方法と2次元CAD図面の評価および設計の評価とは直接関係していないことが判明した.専門科目の講義, 実験・演習の関連を深めることによる教育効果の向上の必要性が学科の共通認識であり, 従来, 学部3年前期で実施していた機械工学実験を2年後期に前倒しして実施するのに合わせて, これと並行して製図教育と3次元CAD教育を2年後期から実施することとし, 以上の検討結果から, 教育内容を再構成した.新カリキュラムによる教育は, 2005年度後期から開始される.
  • 西原 一嘉, 西原 小百合, 安富 雅典, 新関 雅俊
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 31-36
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪電気通信大学では現在、工学部1部機械工学科、総合情報学部メディア情報文化学科、短期大学部、工学部2部機械工学科にてAutoCAD LTをもちいたCADによる製図実習、CAD利用技術者検定試験受験の基礎についての演習を行っている。本年度より将来のCAD導入を目指して、設計を主体とする企業でのCADを取り入れた、実線的な演習を行っているので、これについて報告する。
  • 岩本 康栄
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 37
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本の製造業空洞化が叫ばれている中、海外を含む競合他社に対し、市場にマッチした製品をタイムリーにリリースするために必要な製品開発期間の大幅短縮や、他社にはまねのできないオンリーワン技術を駆使した高付加価値製品の投入など、他社との大きな差別化によって勝ち組企業として生き残るためのキーワードが、「3次元モノづくり」である。3次元は非常に大きなパワーを秘めており、企業が作っている製品“モノ”を変えるだけでなく、“人”が変わり、やがて“会社”全体を大きく変える。しかし、実際には、3次元を非常に難しいものとして導入をためらっていたり、仮に3次元を導入しても、設計やデータ変換のツールとしてのみや、製品の設計開発のほんの上流部分でしか使えていない企業もまだまだ多いが実態である。また、特に中小零細企業を中心として、自社の3次元人材をどのように確保するか、またこれをどのように育成するかが非常に大きな課題となっており、教育機関における人材育成や、地元地域における支援体制が密接に関係している。本講演では、この3次元モノづくりの重要性およびその3次元人材育成に関して、自社の3次元モノづくり普及活動や、各地域および教育機関における実際の取り組みを紹介する。
  • 喜瀬 晋, 関口 相三, 奥坂 一也, 横田 成昭, 平野 重雄
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 39-42
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    設計はイメージしたものを具現化する作業であり、知識と経験を発想力により融合させ、アセンブルする仕事である。よってイメージカは欠くことができないスキルの一つと解釈できる。弊社では、新入社員の設計製図の教育として、2D3D操作の習得を軸に様々な研修を実施している。近年の社員は、CAD操作の習得速度は速いが、想像力と観察力が必要な構想図等の作成には戸惑う場合が多く、形状認識力の能力が開発されていない傾向があると言えよう。よって弊社では、その能力を開発するため機械系設計課題にメカニカルトレーニングシート (MTS) を導入しCAD教育を行っている。本論ではその設計製図CAD教育の実例について発表する。
  • 石川 愛, 鍋島 美奈子, 西岡 真稔, 鈴木 広隆
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 43-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪市立大学では2002年度末に地理情報システム (以下、GIS) のアプリケーションソフトがインストールされた80台の端末が図形科学演習室に設置され、2003年度から工学部環境都市工学科の1回生を対象とした専門科目「地域環境情報処理演習」にGISが導入された。本報では、2005年度の演習内容について報告し、授業に対する学生の評価などをもとにGIS導入による教育的な効果について検討する。
  • 知花 弘吉
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 49-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    空間認識を明らかにするために、従来から実施されているMCTに用いられている立体をモデルとして、主に建築分野の図学で用いられている第一角法による三面図テストを作成し、MCTと共にK、O大学の1年生に対して図学の授業の1回目に実施した。解答時間は両テストとも20分間であり、1問の正解を1点とし、全問正解を25点として分析をおこなった。結果は以下のとおりである。 (1) MCTの解答率は概ね100%であるが、TFTは95%程度である。 (2) 正解率は、MCTよりもTFTの方が高い傾向にあるが、両大学とも有意差は認められない。 (3) 得点はMCT、TFTともK大学よりO大学の方が有意に高い。 (4) MCTとTFTの得点の相関は0.5程度である。
  • 牧 博司
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 53-54
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    高等学校以下の教科書ならびに公的選抜試験の図形関連の問題を眺めていて感じたことを記す.そこで使われている図形の線の太さについてである.機械図面で用いられる線の種類と用法はJISによって明快に規定されているので, 勝手な創作ならびに用法の入る余地はない.図の情報が正しく理解, 伝達されるための共通の認識のために規定の制定は必須である.しかるに, 図関連の広い分野では規定が存在しないため (と思われる) か統一されていないようである, 調査の範囲内で「何でもあり」である.本論は, 図ならびに図関連教育の分野での共通の理解の便のため, 使用される線の太さならびに用法の統一を提言する.
  • 蛭子井 博孝
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 55-58
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    点と円からとの距離の比が一定な曲線として定義されるDovalは、代数曲線であるが、そこに様々な幾何構造が付随している。その主なものは、3つの焦点、補助円の構図 (直交定理) 、短軸の構図等々。
    今回、随伴円の構図を見つけた。その性質は、運動幾何ソフトCabriを用いるとよく分かる。ここでは、その構図作成に、平行線を用いているが、非平行な交わる2直線でも、随伴円が作図できることが分かった。さらに、随伴円を作る4点が定義する随伴曲線も、考えてみた。随伴円の性質とともに、随伴曲線の形は、Dovalに付随する、幾何構造として、有限、無限の概念を含むものである。そして、代数曲線そのものでなく、それに随伴して存在すること。言い換えると、代数曲線が、付帯構造を持つことの発見である。さて、随伴円は、CADやCabriなど、科学技術ソフトなしでは、容易に語れないものである。その意味でも、Dovalの随伴円や随伴曲線は、古典的に定義されるDovalの現代的性質といってよかろう。
  • 奥平 頼道, 奥平 収一
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 59-62
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    幾何学形状に配色することによって布, ハンカチとネクタイなどの素材にデザインしてきた。フーリエ級数の配色は, 既報1) で発表したが, これらは配列だけ変えることによって12種類位のパータンが得られることを明らかにした。そして我々身の周り装飾は, 現在も色彩やデザインが最優先されていることは云うまでもないことであろう。
    本論文では, 配色にはフーリエ級数を使い, 幾何学形状の一辺 (大きさa) の変化によって色彩やデザインがどのように変遷するのかを調べた。その結果, 顕著に変わる興味深い現象を見出した。すなわち観察者に嫌悪感を与えるようなパータンから, 気持ちを穏やかにまた高揚してくれるようなパータンまで様々な模様を示す。
    この一辺の大きさaが極限値3に近ずくと, ケースバイケースであるが元の幾何学模様の特徴を失い別の新しい模様になるようである。これは幾何学形状が限りなく微小になって本来の形を識別出来なくなることと画面上の縦横比が正しく1: 1でないなどであると考えられる。このような現象は, 新たな創作デザインの可能性を示唆し興味深いことである.
  • 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 63-68
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    本研究は, 大規模建築物の災害を想定した避難行動シミュレータを開発し, シミュレータ上で建築物の地下空間における浸水災害からの避難行動実験を行い, 以下の結果を得た。 (1) 避難行動シミュレータEBSの開発を行い, ハードウェア構成の異なる3タイプのPCを用いて, EBSの性能を評価した結果, グラフィックチップにnVidia Quadro FX1400を搭載したPCは, 避難者モデル80体を表示してフレームレートが60fps以上となり, nVidia GeForce4 Ti4600を搭載したPCでは避難者モデル80体を表示してフレームレート30fps以上, Intel 82865Gを搭載したPCでは避難者モデル10体を表示してフレームレート15fps以上という結果が得られ鳥 (2) EBSはハードウェアT&L機能注2) を持たないグラフィックスチップにおいても, CPUの性能によりフレームレート15fps以上で実時間処理が可能ということが確かめられた。 (3) EBSを用いた大規模建築物地階における浸水災害からの避難行動実験を6名の被験者に対して行ったところ, 現実にその建物に行ったことがない被験者は, 近くに他の避難音モデルがいない状況で, 来たときの経路がふさがれると, その後の避難経路選択に迷う行動が見られた。
  • 吉田 晴行, 吉村 昌也
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 69-74
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    The aim of this study is to develop a control method of mobile manipulation for humanoid robots, mobile manipulation means the integrated motion centered on arm's manipulation. The main objective of mobile manipulation is to obtain versatile and stable manipulation by arm. So the legs are required to assist arm's manipulation. In this paper, based on the viewpoint of our concept, we analyzed sole shapes and sole configuration of a humanoid robot for generating large force at its hands. We focused on the shape of the convex of supporting area which consists of the sole plates of the robot in double support state. According to the simulation results, we have visualized their performances and have verified that utilizing the stroke between both legs and the orientation of the sole is effective for improving performance of the robot.
  • 辻合 秀一
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 75-76
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    細胞性粘菌を実際に見たり触ったりすることは, 生体環境および時間変化を総合的に考えると一般の人には困難である.そこで, 細胞性粘菌のシミュレーションを作ることにより, 生体環境や時間変化による変形を体験できるようにした.特に, インタラクティブ性を持たせることにより観察しやすいものとした.
  • 定国 伸吾, 茂登山 清文
    2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 77-80
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピュータを使用するとき、人は対象を注視することによってのみ情報を取り入れることができる。一方、実空間上においては、注視することなしに取り入れることができる情報が存在している。窓から差し込む光の変化はその一つであり、例え読書に集中していたとしても、視界周辺にその変化を捉えることで時間経過や天候変化を感じることができる。本研究では、このような注視を必要としない情報提供をパーソナルコンピュータ上に導入することを考える。そして、その導入例として、デスクトップ内周辺部の変化を通じて、周辺視に情報提供するシステムの提案、試作を行う。また、このことは、コンピュータで作業をする際に、視野の大半を占めるモニタによってさえぎられた空間を、形を変えてモニタ上に取り戻す意味も持っている。
    本発表では、デスクトップ上に、このような情報提供を応用するための手がかりとして、実空間上での光の変化による情報提供の考察を行い、認知科学の研究成果による周辺視の特性を見る。そして、実際に、デスクトップバックグラウンドの変化に、RSS等を通じて取得した情報を対応させたシステムを試作する。また、その試作システムを使用してもらうことで予備調査を行う。その調査で明らかになった、問題点を解消するため、また要望に応えるために、いくつかのカスタマイス機能を追加し、システムを完成させる。
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