本論文では, 感性情報を用いたカラー画像データベース構築において, 類似画像クラスターへの分類過程をシミュレートするTCCSについて述べる.
TCCSは, 人が画像を順次比較しながら類似画像群を主観的に構築する過程をシミュレートする.クラスター化の判断は, 設定された閾値との比較により決定される.画像の感性情報値による非類似度と閾値を比較して, 閾値が大きいときは指定するクラスターへ, また小さいときは一時クラスターに所属するアルゴリズムである.
TCCSの有効性を証明するため, 15人の評価者による21種のカラー画像のクラスター化実験が行われた.そして他の代表的なクラスタリング手法との比較を行った.得られた結果を以下に示す.
(1) TCCSの処理時間は, C-平均法より短い.
(2) TCCSと評価者によるクラスタリング結果の一致率は, シミュレーションでは平均56%, 予測では51%であった. (3) TCCSの一致率について, 評価者のクラスタリング手順別に検討した結果, 総合処理型よりも順次処理型が高かった.このことからTCCSは, 総合処理型より評価者が順次処理する過程をシミュレートしていることを示した.
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