図学研究
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40 巻, Supplement1 号
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  • ―三次元CAD利用の設計者を対象とした場合―
    平野 重雄, 中澤 洋二, 横田 成昭
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 1-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図面は, 例えばわれわれが言葉を通じて相手とコミュニケーションを行うように, その工業生産の最初から最後まで設計者の意図を伝えるという重要な働きをしている.本報は, 三次元CAD利用の設計者を対象にして, 機械製図の極めて独特な表現法である断面図示法 (これは, 品物の内部の形状を図示する場合にかくれ線で表すが, 複雑な形状のものでは, かくれ線が多くなり図が見にくくなる.このような場合に品物の内部を示したいところが現れるような切断面で仮に切断して, その手前の部分を取り除き残った部分を図示する.よって, 内部を外形線で表すことができ明示できる.断面図には, 品物の形状によって種々な切断方法がある) [1] の機械部品の課題について解答を求め, その結果を基に設計製図のレベルについて考察した内容を報告する.
  • 佐久田 博司, 大吉 大輔, 河原 宏俊, 矢吹 太朗
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 5-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中高年齢の図形認知能力に関する調査は, 被験者の職業や環境による個体差が大きく, 統計的な考察のためには, 同一クラスに属する大学生などの群よりも多くの被験者が必要で, 個別の条件吟味が必要になると思われる.本研究は, 特に理工系の職業で同一部門に勤務している男女のエンジニアを対象に, MCTを実施し, 年齢別の考察を行った.勤務先などで実施するに当たっては, 通常の紙筆の試験が難しいため, モニタ上で行う試験を改良し, データベースを利用するなどによって, 試験環境の制約を極力除くこととした.また, 従来の紙筆によるMCT試験結果と比較するために, 大学生の男女による図学学習の前後の得点比較を行い, 本実験システムによる結果の妥当性を検証した.
  • 梶山 喜一郎
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 9-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    投影図を用いた図学の問題を解くには図学の公式の手続が必要で、この手続を知らない素人は全く違った非公式の手続を問題に使用し、誤った答えをつくりだす。また学習者が問題を解く時に、学んだ手続を与えられた課題で使えず、手続を変形して課題に適用してしまうことが指摘されている。学習した手続をうまく使えない大学生を対象に、彼らがどのような問題解決をしているか明らかにする。
  • 澤田 吉苗
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 13-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図形情報科学の授業における投影図の基本等は、大学1年生として、はじめて学ぶと感じる内容がほとんどである。そのため、学習指導の初期段階で、平易な例題で問題解決の手順を習得させ、主題の順序、題材の配列等の選択において、学習の難易度を考慮することが必要である。
    本報では、受講学生が提出した図面や期末試験の点検結果を分析して、作図課題の難易度の実態、難易度に関わる要因などについて考察した。
  • 鈴木 広隆
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 17-22
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    これまで筆者は、図形科学受講者の図形空間情報認識能力及び学習効果を評価することを目的として、図形空間情報認識テストの開発と結果の分析を行ってきた。しかし、個々の解答者のテストの結果は、過去の経験や能力の自己評価結果との間に相関が見られなかった。そこで今回、問題の図形的な特徴と正答率との関係について分析を行い、相関関係を見出した。また、問題毎に、解答時間や解答スタイルが変化した場合の正答率の変化を元に分析を行い、問題の類型化の予備的検討を試みた。さらに、解答者の解答パターンから問題の類型化を試みた。
  • 長島 忍
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 23-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図学で取り扱われる図法幾何学の問題とその解法を見られるシステムを開発した.描画データはすべてファイルから入力するので, データを作り変えることにより, 複数の問題を登録することができる.現在, 点・直線・平面に関する作図問題を50題程度登録した.データは2次元の作図方法に基づき, 平行線を引いたり, 垂線を下ろしたり, ファイルのデータに指示された通りに処理し, 表示していく.なおデータを分析することにより, 作図解法の手法や手順が分析でき, 今後教育面でのアシストなどに応用できるのではないかと考えている.
  • 舘野 圭, 今間 俊博, 近藤 邦雄
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 27-32
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アニメーション制作の現場において, コンピュータ支援による作業の効率化や単純化を図る, さまざまな手法が提案されている.その中の一つに, モーションキャプチャシステムを利用したアニメーション作成が挙げられる.よりわかりやすく, より魅力的なアニメーションを制作するために, 物理的にリアルな動作を計測するモーションキャプチャデータを用いて, 誇張動作を利用することがある.このとき, モーションキャプチャシステムで計測した動作データをキャラクタにそのまま適用するのではなく, 誇張動作を作成するためには多くの時間と労力を必要とする.この問題を解決するために, 本研究では, アニメータの思考に基づいたタイミング制御による誇張表現生成の統一的手法を提案する.そして提案手法を実装した誇張動作生成システムを用いて実験を行った結果, 目的とする誇張表現を生成できた.
  • 辻合 秀一
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 33-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    速記は, 明治時代から始まった会話をリアルタイムで記述する方法である.速記は, 議会や会議などに用いられ, 速記で記述した速記録から漢字や平仮名などを使った議事録が作成される.そして速記は, 音声を符号化したものである.このため, 速記符号から一般の人が読める言葉に直す反訳という作業が必要となる.現状では, 紙に書かれた速記録を人間が判読しコンピュータで清書している.本研究では, タブレットPCを用いて速記の直接入力から反訳, 清書をコンピュータの中で行うシステムを作成する.
  • 長 聖, 佐藤 尚
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 35-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年グラフィクスハードウェア (GPU) の高速, 高性能化により, グラフィックス用途以外の計算をGPUに処理させる方法に, 注目が集まっている.GPUの処理手法はCPUのそれとは違い, 汎用的ではなく, 決まったサイズのデータ構造を, 並列に処理する並列型のプロセッサである.そのため既存の汎用プロセッサで作られたプログラムをそのまま移植することは難しい.GPUは名が示す通り, グラフィクス用のプロセッサであり, 画像のデータ構造を扱うことに向いている.そこで本論文では, 画像の特徴領域の領域分割をする, MeanShift領域分割手法の処理量の多い領域分割前の処理であるMeanShiftフィルタをGPUに処理させ, CPUによって領域分割をすることによって, 領域分割の高速化を図り, 画像処理におけるGPUの処理手法を検討した.
  • 山島 一浩, 森 優子
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 41-44
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筑波学院大学情報コミュニケーション学部情報メディア学科におけるデザイン分野の基礎科目においてAdobe Illustrator CSを用いた「案内図」制作課題の授業設計とその支援システムについて述べる.本授業では, 制作した「案内図」をSVG (Scalable Vector Graphics) で出力して提出する.支援システムでは, SVGがJavaScriptと連携できる点に着目し, Webブラウザ上でインタラクティブ性を持たせた閲覧機能を提供して, プレゼンテーション能力の養成に活かし, さらに評価項目を設定して, 教師と学生間でインタラクティブに情報交換を行い, 課題目標を達成させることを狙う.
  • 吉澤 大輔, 横澤 肇
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 45-48
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    樹木は, 樹種によって異なる遺伝的形質とその樹木が存在する周囲の生育環境によって生長が決定され, 生育環境に適した樹形を形作る.
    樹木の生長要因には, 光, 重力, 風, 温度, 水, 地質などが挙げられる.本研究では, その中で光環境が樹木に与える影響に注目して生長シミュレーションを行うことにより, 生育環境に適応して生長する樹形の多様性を表現する.特に, 樹木の経年変化と下枝の枯れ上がり, そして, 複数本の樹木が密集した条件における, 樹木間の相互作用による特徴ある樹形の形成を表現する.
  • 廣尾 靖彰, 福田 幸一
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 49-52
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ボブによりインボリュート歯形を創成する場合、歯形を創成する作用線付近のみでの切れ刃の運動に着目し、三次元運動の切削機構を投影図で表し、ボブの自身の誤差及び取付け不良が歯形誤差に及ぼす影響を簡易に求める方法を2002年度大会において発表した。その手法を発展させ、ボブの両端面の振れが異なる場合の歯形の予想が可能となった。特に、歯車の左右の歯形が異なる現象について従来はボブの精度の影響やホブの軸方向の動きあるいは伝動機構のバックラッシュの影響などを検討していた。ホブの円周方向の振れの程度によって一方の歯形が正規インボリュートで他方は波打つ歯形になる状態を実験とシミュレーションで明らかにした。
  • 大月 彩香
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 53-54
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筆者は、これまで三次元CGアプリケーションを用いて図法幾何学の問題を解くことから初め, コンピュータが作り出す仮想空間の図学における可能性について研究してきた.同じ仮想空間を実現するとはいっても, これまでは自由度の高い三次元CGに留まっており, 三次元CADという拘束の強いアプリケーションを避けてきた傾向があった.ところで、歴史的に図法幾何学は, ものつくりと密接な関係を保ちながら教育・研究が行われてきたと考えられる.そこで, 現代のものつくりツールとして発展している三次元CADアプリケーションを対象に図法幾何学との関係について, 特に, 従来のツールである三角定規とコンパスを絡めて考察した.
  • ―平成17年度実施大規模試行教育の結果の分析―
    鈴木 賢次郎, 深野 暁雄, 横山 ゆりか, 加藤 道夫, 柏原 賢二, 堤 江美子, 山口 泰, 安達 裕之
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 55-60
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京大学教養学部における図形科学カリキュラムは図形科学講義および図形科学実習からなっており, 現在, 前者では手描きを基にした図法幾何学が, 後者では手描きの製図とCGプログラミングが教えられている.2007年度から, 後者を市販3D-CAD/CGソフトを利用した演習付き講義に改定する予定である.3D-CAD/CG導入の第一の目的は, これらの図形処理ソフトの体験教育にあるが, 演習課題として図法幾何学的課題を導入することにより, 図法幾何学との相互補完的な教育を目指している.本報では, 2005年度に実施した試行教育の分析結果について報告する.
  • 早坂 洋史
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 61-62
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図形科学に関する授業は、他の授業と異なり、個々人の右脳を使う能力に強く依存する、と言われている。このため、図形認識が不得意な人などにとっては、最も苦手な授業となる可能性もある。このため、授業の展開には、学生の授業に対する、アンケートによる意見に耳を傾け、改善する事が重要と思われる。著者は、昨年度より北海道大学での授業アンケート結果 [1] , [2] を分析し、アンケート結果をどう受け止め、どう判断したら良いのかを調べている。昨年度の結果では、大学のアンケート結果からは読み取れない、授業成績とアンケート点数との関係、成績の善し悪しに関係しない、授業支援者の存在、アンケート用紙をあまり読まないで回答しているもの存在、アンケート点数を低くする学生は、授業への出席率が低い学生であることなども明らかにした。本報告は平成17年度の前期後期での同一学生のアンケート結果を分析した。
  • 牧 博司
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 63-64
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    同題目の報告の続々報である.東京理科大学, 理工学部, 機械工学科はカリキュラムの中の最重要科目である「図面教育」の科目を2003年度より必修から選択に変更した.受講生の数は10%以下に減少した.さらに, この科目以外の図面教育の科目の内容をコンピュータの操作練習に変更した.すなわち, 図面教育をされない大部分の卒業生が誕生している状況である.資源のほとんど無い我が国は「ものつくり」でしか生きられない.本報告は10%以下の受講生を通して教室の椅子にただ座っているだけの勉強しない学生の存在を一掃するための教育論を展開する.
  • --機械設計製図の分かりやすい授業のために--
    荒木 勉
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 65-66
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本学における2年次の機械設計製図演習の授業ではJIS機械製図の基礎を学び, 手書きによる文字の書き方, 線の引き方の練習から始めている.製図の初期の段階で, 図面と形状の関係を確認するために各自にペーパーモデルを作らせ, 図面と形状の関係を体感的に学ばせている.1学期に手書き製図を学んだ後に2学期からはCADを用いての作図を始めるがCADの操作法は1年次の3学期にCAD演習で簡単に学んでいる.3年次には特別研究とCAD/CAM実習の一部でCAD製図を行い, レーザ加工機等によって一部の部品のモデリングも行っている.こうした中, 本学が短期大学から4年制大学になり, これまでの製図教育に3D-CADも導入してきめ細かな指導をしようと考えている.今回4年制化への準備のための試行を行い, 本学におけるこれまでの指導方法に加え, 3D-CADの指導方法とその教育効果を試行による実践を通して検討する.
  • 喜瀬 晋, 関口 相三, 横田 成昭, 奥坂 一也, 平野 重雄
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 67-72
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    機械設計は部品の再利用頻度が多く, 膨大な図面の出図作業があるため, 三次元CADは機械設計において一時的にペースダウンすることがあり, 三次元CADの導入を阻んでいた理由の一つである.本報告では, 三次元機械設計を行うための機械全般の基礎的知識内容の検討を行った.そして, 三次元CADの形状モデリング技術を習得することにより機械設計者としてのスキル向上について考察し, 実際の設計の流れに関する検討・分析を行い, 実践的教育方法に関する一事例を提案する.
  • 阿部 浩和
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 73-78
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年CAD・CGの普及により学生の設計能力に変化が見られる。本稿では過去3年間で実施してきた学生の設計演習を取り上げ、当該演習で提出される設計図面における図的表現法を分析するとともに、学生の設計技量と設計製図における図的表現法の関連、構想段階における作画状況や学生へのアンケート結果などを分析することで、今後の建築設計教育のための知見を取りまとめる。
  • 高橋 泰一
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 79-84
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平面図形構成パターンのうち、最もシンプルな図形はすべての点が3線交点からなる図形である。このような平面図形は、その点と面を置換した双対構造を求めると、すべての面が3辺面となる連続する面リーフ又は多面体となる。本報ではこのうちすべての面が3辺面からなる多面体を対象として、多面体が基本立体グラフの面接合により生成されるという原理を応用し、3辺面多面体から基本立体グラフを接合面で順次分解することで、その生成構造を明らかにする手法を検討した。
    本論では検証対象として8点3辺面多面体を選び、7点までの基本立体グラフの中からその面接合条件を満たす基本立体グラフを順次分解し、その構成構造を明らかにした。また接合面の組合せで形状の異なるものはそのすべての組合せ構造を求め、さらに異構造で同形となるものをチェックして、形状の異なるすべての8点3辺面多面体を明らかにした。これをもとに双対する平面図形構成パターンを求めることで、すべて3線交点からなる平面図形も明らかにすることができた。
  • 三谷 純
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 85-90
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    折紙の展開図を入力するための専用エディタを開発した.このエディタには, 折紙の展開図に見られる折り線の構造を容易に入力できる機能を組み込んだ.また, 入力された展開図が平坦に折りたたむことができるものである場合には, その展開図を折りたたんだ後の完成予想図を表示する機能も実装した.折りたたみ後の完成予想図は, 折り線または紙の輪郭線によって囲まれる閉領域を折紙の構成要素とし, 折りたたみ後にそれぞれの要素がどの位置に移動するかを計算することで推定を行っている.また, 各要素の重なり順を推定する手法も提案する.本エディタをWeb上で公開したところ, 多くのアクセスがあり作品例を集めることもできたため, ここで報告する.
  • 堤 江美子, 柿沼 よしえ
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 91-96
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    高齢者の生理的、体力的変化をカバーし、体への拘束を排除した衣服を設計する基礎データを得るため、3次元計測データから衣服設計上重要な断面の幾何学的特徴量を算出して分析を行った。その結果、高齢者の体形差は、主として側面図にみられる前後方向への骨格や脂肪量などの変異として解釈することが妥当であると判断され、高齢者の生理的、解剖学的変化に呼応した、“肥痩度”、“丸胴//扁平胴”、“年齢的変化”、“前傾//後傾”に関する人体3次元形状の特徴を抽出した。これにより、各特徴を表現する類型ごとの単純な模式図及び人台作成用3次元データを得ることができた。
  • 横山 弥生
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 97-102
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 以前からの研究テーマであった回転対称を基盤とし, その展開の方法をコンピュータグラフィックス (以下CG) により, 平面から立体へと探っていった過程と, その結果, 作品制作へと発展させた試みを示すものである.
    2次元 (平面) の回転対称においては, その操作方法は単純であるが, 3次元 (立体) においては, 複雑であるだけでなく, CGを扱う上での技法と形態の派生の方法が重要である.多面体を基本形態とし, 派生の方法とパラメータの変化により, 紙では表現が困難な多面形状の生成を行う方向性が示唆された.
  • ―ステンレスパイプによる「A study of tangible」シリーズ―
    村松 俊夫
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 103-108
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    これまでに地平面上を一定の方向性をもって幾何学的立体が輪転する例は, 「等高重心立体」としていくつか知られている.筆者はこれらの知見を発想の原点に, 長年「平面上をなめらかに転がる立体オブジェ」をテーマとして造形芸術的な観点から実験的小品 (プロトタイプ) を継続的に制作してきた.今回このプロトタイプをもとに, ステンレススチールのパイプを素材として, 鑑賞者が手で直接触りながら全身を使って動きそのものや形態の変化を知覚できる大型の作品を制作した.
  • 森田 克己
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 109-114
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿は, 拙稿“結び目による造形”[1]川の続報である.前回は, 3次元上における結び目の形と2次元上における結び目の形の相互関係に注目し, 結び目の造形性について可能性を見出した.その展開として, 今回は, 平面曲線を用いた結び目の生成について報告する.
    結び目生成のための設定として, 第1に, “3次元上に成立する結び目は, ある平面曲線にのる空間曲線”と定義した.第2に, 結び目の種類は, 自明な結び目と交代結び目に限定した.第3に, 結び目の数が1本の場合と絡み目が2成分以上の場合に区別した.第4に, 平面曲線の種類を, 1) リサージュ曲線2) トロコイド曲線に限定した.以上に基づき, 造形的な視点から結び目を生成し, 検討を加えた.
  • 黄檗 雅也, 大竹 豊, 金井 崇, 近藤 邦雄
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 115-120
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スケッチによる三次元形状モデリングシステムは, 直感的なインターフェースと形状モデリング手法が重要である.それらの研究は数多くされており, そのほとんどはポリゴン表現を用いている.もうひとつの三次元形状表現である陰関数表現によるスケッチ手法は, モデリング機能が高いがスケッチ入力に関する研究は少ない.陰関数表現の特徴は, 形状の合成, 集合演算処理などの位相的な処理である.このため形状のレンダリングや他の三次元形状表現への変換およびモデリングなどの研究が進んでおり, 多様な応用が可能である.
    以上のことを踏まえ, 本研究では陰関数曲面を用いたスケッチモデリングシステムの構築を目標とし, スケッチ入力による切断処理を陰関数の集合演算によって行う手法を提案する, 提案手法をシステムに実装し, 評価した結果, さまざまなスケッチ入力に対応した切断処理が可能であることを確認した.
  • ―『ダンス・ダンス・ダンス』からの考察―
    浜田 真理
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 121-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    文学作品の中にあらわれる、言葉や文章で表現された空間というものを、図学的方法で解明しようとするもので、2005年日本図学会大会で発表した論考に引き続いて研究した。村上春樹の作品から特に第1象限と第2象限の関係でそれらが顕著に表現されている『ダンス・ダンス・ダンス』を例として取りあげて空間表現を考察した。物語の進行として必要な現実界を第1象限とした場合の多様性と、現実界から異界へ移動するときの構造を象限に当てはめて解明した。
  • ―構図決定時におけるカメラ・オブスクラの役割―
    佐藤 紀子
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 127-132
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 17世紀のオランダの画家フェルメールの描いた風俗画の室内空間を図学的に分析することにより, 彼が制作時にカメラ・オブスクラを利用したという仮説の可能性について考察する.彼の13作品から床のタイルサイズを基準として分析図や平面図立面図を作図した.その結果, カメラ・オブスクラは, 画家が構図を決定するとき, 描く対象の空間を構成する要素間の比率をキャンバスサイズが異なる場合でも, その比率を維持し, より正確に下書きを行うための補助的な役割を担っていたと考えられる.さらに, 画家は同じ視点から捉えた空間を描くとき, 遠近法によって.描かれた部屋の奥行きに変化を加えた可能性がある.このことから, カメラオブスクラは, 描かれる部屋の奥行きを決定し, 絵画空間を構成するための遠近法を使う目安となり, その位置を数パターン示したと考えられる.
  • 小山 清男
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 133-138
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    社会主義レアリスムの画家ベン・シャーンは, 第2次大戦末期に「赤い階段」と題する作品を描いている.戦災によって瓦礫と化した荒涼たる空間, そこに崩れ残った外壁とそれに沿う赤い階段, それを昇ろうとする片脚の松葉杖の男, さらに地底から立ち上る白衣の人物, その画面は1点透視を基本として構成されている.ルネサンスの画家たちの多くは, 1点透視によって空間を限定して室内の情景を描いたが, ベン・シャーンはそれとは違って, 壁と階段を広漠たる空間の中に1点透視で描くことによって, 空虚な戦争の負のモニュマンを描出しようとしたように思われる.
  • 面出 和子
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 139-144
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    書や絵画による装飾の日本の扇は, 独自の表現様式をもつ.日本の影響によって制作された西欧や中国の扇面画は, 見える情景を扇形の窓で切り取ったように描かれるから, その図に歪みはないが, 日本の扇面画の情景は歪んで描かれている.日本の絵画の伝統的な空間表現は, 斜投象や軸測投象的に描かれるが, 扇形画面では建物などを逆遠近法や三点透視図のように描くことが多い.扇面画の構図には放射性, 彎曲性, 進行性の3つの特性があると言われる.本研究では, ≪源氏物語扇面散屏風≫における扇面画の扇形画面を矩形画面に再現し, この特性の観点から空間表現を検討した.その結果, 扇面画は, 伝統的な空間表現をそのまま扇形画面に厳密に変換したとは言い難く, 特異な画面に図を嵌め込むように, 日本人の縮みの志向と独創性があらわれていると思われる.
  • 真子 みほ, 面出 和子
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 145-150
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本の金地の背景を持つ絵画は, 他の地域のものと比べ, 画面の中に空間的な奥行きを表しているように感じられる.ここでの金地の役割は, 図に沿った三次元空間を形作ると同時に, 画面に配された図の位置によって様々な絵画的三次元空間に変様し, 四次元空間をも感じさせる.本論文では, 日本及びその他の地域の絵画作品の描写の違いを, 金地背景に対する図の配置の観点から比較し, その表現の背景について考察する.その結果, 日本の絵画表現は, 画面全体の金地部分の面積が広く, 描かれているものの間隔が広く, 陰影法や線遠近法, 重切法の技法が用いられず, 対象が不均等に配置されて, 前後関係がはっきりし, 地平線が引かれていないことが, 特色として浮かび上がってきた.そしてそれらは, 単に絵画を見る視線にとどまらず, 日本人のモノをみる視線と思考に関係しているように思われる.つまり日本の独特な「視点を移動する文化」に起因しているのではないだろうか.
  • ―「名所江戸百景」における地平線と視点の意味について―
    神山 明
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 151-156
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歌川広重の最晩年の作品「名所江戸百景」は、江戸のさまざまな場所を題材として制作された、技術的にも優れ人気のあった揃い物として知られている。いずれも江戸の風景を描いたものであるが、視点の位置や対象のとらえ方、また画面の構成に変化に富んだ奇抜なものが多く、それまでの広重の作品と一線を画している。本論ではその「名所江戸百景」の画面構成の特質を、地平線の高さと視点に位置について、またそれらの意味の観点から考察した。その結果、やまと絵の伝統的な遠近法表現によるもの、また画面の大胆な形態の構成に主眼を置いたものなど、異なる造形思想からの作品が見られることがわかった。この地平線と視点の意味は、広重のこの作品群にのみならず、一般の絵画の空間に共通する問題と考えられる。
  • 加藤 道夫
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 157-162
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ル・コルビュジエは1920年代後半以降, 軸測図を多用するようになる. しかし, 1930年以降その使用は著しく衰退する.本研究では, この問題に関して, メディアへの表出の観点から検証を行い, その要因についての考察を行った. その結果, 下記を指摘することができた. 1) 軸測図のメディアでの表出は, 1920年代の現象であり, 1930年代に入って著しく減少する. 2) 軸測図表出の衰退は, 少なくとも1930年代前半においては, 他の現代建築家を含む同時的事象というより, ル・コルビュジエに固有のものと考えられる. 3) その衰退の要因については, 素材の変容, 工法の変化, それに伴う, 建築形態の変化を挙げることができた.
  • 伏見 清香, 菊池 紀子, 茂登山 清文
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 163-166
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, ケータイを利用した作品鑑賞共有システムのデザイン提案である.作品を鑑賞することに慣れていない鑑賞者を対象とし, 作品を目前にした鑑賞体験を自身の言葉で綴り, 他者とその体験の記録を共有することで, 美術作品の理解を深めることを目的としている.携帯電話の画面は小さいため, 使いやすく, 直感的で, わかりやすい画面のデザインを行うことが重要である。ページのレイアウトでは, エリアを3分割し, エリアの位置を統一することにより, 操作を覚えやすいページのデザインとした.また, 作品の部分を選択する場合は, 同一画面での選択を可能とし, より直感的なインターフェイスとなるようにデザインを行った.
  • 山本 真, 金 大雄
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 167-168
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    プロダクトプレイスメントとは (以下、PP: Product Placement) 、エンタテインメントコンテンツ (例えば、映画・テレビ番組・スポーツ中継・アニメ・ビデオゲーム) の中で、ブランドを意図的に露出させることにより視聴者のブランドに対する認知向上及び態度変容を目的とした新しい広告手法である。本検証では、まずサンプルドラマのPP実施状況を網羅的に把握し、量的および質的という大きく二面でPP表現の要素を抽出した。そして被験者にドラマを視聴していただきその後アンケートを実施した。結果を考察すると、特にドラマではそのPP表現において量的な露出形態よりも質的な露出形態によってその広告的効果が大きく左右されることが明らかとなった。
  • 木下 さとみ, 金 大雄
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 169-170
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    携帯電話は広告媒体としての価値が高まり、広告業界から注目されている。他のメディア機能を備え始めた携帯電話にとって、どのような広告表現が適しているのか。本研究では、他のメディアと違った携帯電話独自の特徴から、新たなモバイル広告を制作・検証し提案することを目的とした。得られた結果から提案する効果的なモバイル広告とは、1) 自動配信型企業メールに動画広告を添付、2) 動画を選択型広告にする、3) パーソナルに働きかけるプロモーション方法、4) お得な情報やエンターテイメント性を使用。以上4つの条件を満たす表現が、今現在から近い未来に発売される携帯電話の効果的な広告表現である。
  • 西原 一嘉, 西原 小百合, 安富 雅典, 新関 雅俊, 大西 道一
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 171-174
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    F.Hohenberg (1) が指摘しているように建物を二方向から撮った写真があれば、透視図を逆変換することにより建物の三次元形状を再現することができる。しかし、昔の町並みのように一枚の写真しか残されていない場合はこの方法は使えない。これまで、一枚の写真とともに残されている地図を併用することによって建物を再現する方法を検討してきた。具体的には建物の形状をデジタルカメラで撮影し、その画像から図学的手法を用いて (Auto CADを使用し) 再現するものである。なお、実際の撮影において、隣の建物や木などが邪魔をして建物の地面の位置が隠れてしまうという問題や地図上に基準となる正方形が取れない問題やさらに建物の高さの測定精度がかなり低くなる問題も生じると考えられる。そこで、本研究ではシミュレーションにより、以上の問題点を解決する方法を検討した。
  • 川崎 寧史
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 175-178
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では複雑系および画像処理の技術を利用して、景観画像の複雑さを計量的に計測し、景観評価に有用な情報としてこれを提示することを目的とする。具体的には、様々な都市や自然景観、夜景および風景絵画の画像を対象に、2次元フーリエ変換を利用してパワースペクトル曲線を導き出し、その傾き変化から被写体となる景観の性質とゆらぎ特徴の関係について考察する。その結果として、白色ノイズや1/f、1/f2ゆらぎを示す景観の類型や、夜景におけるゆらぎ特徴の傾向等の整理を行った。ただし本研究は実施途中であり、最終的な分析結果や一定の結論を得ているわけではない。そこで本稿では上述した研究の経緯や内容について報告する。
  • 金 義鎭, 井野 智
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 179-184
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本文では, 自然画像内の円を抽出するための新た手法を提案する.代表的な円の抽出の従来手法として, 投票方式に基づいたハブ変換がよく知られている.しかし, 投票方式には計算量とメモリ消費とが大きく, 多数のしきい値を必要とするなどの問題がある.また, さまざまな改善手法も提案されているが自然画像への適用は十分ではない.そこで, 我々はディジタル画像の特性と最小二乗法による円推定とを組み合わせた概念を導入する.この概念を用いると, ディジタル画像中の円は8種類の円弧に分類ができる.このような分類は, 円以外の複雑な背景をもつ自然画像から円の一部分が判断できる重要な役割を果たす.提案手法は近傍窓を設定するしきい値のみを利用するので, 様々な入力画像に対する柔軟性をもつ.また, 処理に必要な計算量も少ないので, 高速処理も可能である.評価実験の結果により, 上述の問題点において提案手法が従来手法に対して優れていることを示す.
  • 佐久田 博司, 草薙 まり, 矢吹 太朗
    2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 185-188
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    画像検索作業が, デジタル画像およびコンテンツの普及と情報環境の変化によって, 個人にとっても日常的に必要なものとなった.画像の付加情報で検索する従来の方法に加え, 画像自身の属性である色情報やオブジェクトの形状情報などを利用して, 直接対話型のインターフェースによって画像クエリを作成することも現在では可能となっている.本報告では, ウェーブレット変換に基づく検索クエリの作成方法について人間のスキルに着目した提言を行う.
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