本研究は, 前考に引き続き, シエナで生まれローマで活躍した建築家バルダッサーレ・ペルッツィが用いた《立体透視図法》を考察するものである.とくに本稿では, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」に着目し, その作図法の解明を試みる.具体的には, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」の構図と類似性が認められる「プロスペッティーヴァのための習作」の下書き線の痕跡, すなわち, 1) 奥行方向の直線群の痕跡, 2) 水平線の痕跡, 3) 対角線の痕跡, 4) 円弧の痕跡を証憑として, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」の作図法を復元する.その結果, ペルッツィは, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」を「プロスペッティーヴァのための習作」で示されている半円を用いた作図法と同種の方法で描いたことを例証したのである.
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