都道府県の医療費適正化計画の療養病床数の目標値の積み上げが厚生労働省の見込みを大きく超え,目標年次の2012年度末の医療療養病床数は,ほぼ現状どおり維持されることとなった。その背景に,地方分権の進展に伴う地方自治体の裁量権の拡大が影響していることが,医療費適正化計画の策定過程の調査の結果明らかになった。
具体的には,厚生労働省が参酌標準遵守を厳しく指導したにもかかわらず,調査対象6都県中5都県が参酌標準である療養病床数の算定式とは異なる算定方法をとり,うち4都県の目標値は大幅に国の計算値を超えたことで端的に示されている。
この結果は,政府の病床規制策が事実上「変容」したことを示したといえる。それは,医療区分による一律の算定方式による「国から割り振られた目標値」から,地域の実態に応じた「自主的・多様な目標値」の設定への「変容」である。
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