日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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55 巻, 4 号
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巻頭言
研究資料
  • 吉村 千草, 原田 博子, 山田 千尋
    原稿種別: 研究資料
    2018 年 55 巻 4 号 p. 173-183
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    本研究は,女性看護師が捉える働きやすさと職業的アイデンティティを把握,及びそれらと職業継続意思・職場定着意思との関係を明らかにすることを目的とした。A県内300~500床の病院で働くおよそ1,200名の女性看護師を対象に質問紙調査を実施した(回収率72.5%)。調査項目は,基本属性,働きやすさ,職業的アイデンティティ,職業継続意思,職場定着意思とした。分析の結果,働きやすさ第1因子の寄与率が約5割であり,働きやすさを〈上司に対する評価〉と捉えていた。職業的アイデンティティは,平均値が3.7以上の項目から,経済的基盤と人間的に成長できると捉えていた。働きやすさと職場定着意思,職業的アイデンティティと職場定着意思・職業継続意思は,やや強い正の相関があった。今後,女性看護師が看護師という職業を継続し,職場に定着するためには,上司の支援・配慮及び職業的アイデンティティの獲得のための取り組みが重要である。

  • ── 医師の働き方改革に向けた具体的提案 ──
    藤井 樹
    原稿種別: 研究資料
    2018 年 55 巻 4 号 p. 185-195
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    以前から医師の働き方については様々な問題が指摘されてきた。本研究は労働基準監督署の監督業務の結果を踏まえ,医師の働き方の課題やその対策について他業種との比較をまじえて検討することを目的とした。

    医療機関に対する労働基準監督署の是正勧告の過去10年の内容を調査した結果,医療機関は他業種に比べて労働基準法の各項目で違反割合が高く,特に労働時間や割増賃金に関する対策に苦慮している状況が示唆された。他業種で用いられているフレックスタイム制や固定時間外手当を医師に採用することができればその割合は減少させることが可能であると考えられる。

    医師の働き方に関する法解釈は既に明らかにされており,これまで何度も周知が行われてきた。各医療機関が真摯に法と向き合い,基本的な労務管理も含めて真剣に対策を検討しなければ医師の働き方改革の実現は難しいと思われる。

  • 金子 智之, 阪口 博政, 小川 俊夫, 羽田 明浩, 武藤 正樹, 久米 春喜, 中川 徹
    原稿種別: 研究資料
    2018 年 55 巻 4 号 p. 197-208
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,国立大学法人化後の国立大学附属病院の財務状況を記述し,国立大学附属病院の損益に影響を与える要因を明らかにすることである。2011年度から2015年度の5事業年度における,国立大学法人財務諸表の附属病院セグメント情報及び「DPC導入の影響評価に関する調査」より,国立大学附属病院42施設の財務・業績指標を抽出し,附属病院利益率に影響を与える因子を重回帰分析にて検討した。上記5事業年度において,国立大学附属病院42施設の平均業務収益は15.1%増加したが,業務費用は17.4%増加し,業務損益は39.9%減少した。資金収支合計は1施設当り261百万円/年の資金増加であった。総入院患者数は10.4%,手術有件数は14.6%増加する一方,平均在院日数は8.4%減少した。附属病院利益率及び運営費交付金を控除した附属病院利益率に有意な影響を与える因子は病床利用率,自己収益回転率,運営費交付金比率,教育経費比率であった。

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