以前から医師の働き方については様々な問題が指摘されてきた。本研究は労働基準監督署の監督業務の結果を踏まえ,医師の働き方の課題やその対策について他業種との比較をまじえて検討することを目的とした。
医療機関に対する労働基準監督署の是正勧告の過去10年の内容を調査した結果,医療機関は他業種に比べて労働基準法の各項目で違反割合が高く,特に労働時間や割増賃金に関する対策に苦慮している状況が示唆された。他業種で用いられているフレックスタイム制や固定時間外手当を医師に採用することができればその割合は減少させることが可能であると考えられる。
医師の働き方に関する法解釈は既に明らかにされており,これまで何度も周知が行われてきた。各医療機関が真摯に法と向き合い,基本的な労務管理も含めて真剣に対策を検討しなければ医師の働き方改革の実現は難しいと思われる。
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