A, B, C項目で構成される重症度,医療・看護必要度(以下,看護必要度)は入院患者のケアの必要性を評価する1指標であり,2016年度診療報酬改定により従来の評価法(評価法I)に加えて診療実績データを用いた評価(評価法II)が始まった。本研究の目的は,評価法の違いによる判定結果の実態を明らかにすることである。分析では,DPCデータを用いて評価法I及びIIの基準を満たす患者の割合を算出し,A及びC項目の一致状況を分析した。全体で750施設,6,105病棟,26,294,407件の分析を実施した。評価法Iと評価法IIでは前者のほうが看護必要度評価基準を満たす患者割合が高く,その差の平均値は「≧800床」=2.3,「600–799床」=2.9,「400–599床」=3.0,「200–399床」=4.5,「200床未満」=5.8であった。また,A項目はC項目と比較して評価法Iと評価法IIの一致率が低かった。評価法Iと評価法IIは成り立ちが異なり完全には一致しないが,これらの差異は施設特性も影響していることが明らかになった。
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