訂正死亡率や0才平均余命は,いずれも年令別死亡率から導かれる.これら解析方法にみられる共通の欠陥は,比率の変動の情報量としての重みが無視されていることである.著者は,既往の諸方法に代わるべき一新法を考案した. 率Pを逆正弦変換し,かつこれをTaylor展開して第2項以下を省略すると θ=Arcsion√P=√P+1/2 p/3 √P+1・3/2・4 p
2/5 √P+…… ……+ 1・3……(2n-1)/2・4………2n P
n/2n+1 √P+………≒√P 標準集団における年令別死亡率をPa,標本集団における年令別死亡率および人口をそれぞれPAおよびNAとする.後者が前者の任意標本である場合には t=2Σ[N
A(√P
A-√P
a)]/ΣN
A は平均0,標準偏差1/√ΣN
Aなる正規分布をする.よつて,この式によて,地域の死亡正規偏差とすることができる. 男女別に,昭和35年全国人口を標準集団として,46都道府県について死亡正規偏差を算出し,これを粗死亡率および訂正死亡率と比較検討し,もつて,死亡正規偏差が地域の健康水準を表わすのに有用な示標であることを示した.
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