近年,各種の健康法が一般成人市民に用いられるようになってきた.本研究の目的は,健康管理のために実践している健康法と,生活習慣及び健康状態の関連を明らかにすることである.千葉県A市の20歳以上の男女を対象として2002年8月から9月に質問紙調査を行い,有効回答は464人(回答率62.0%)で男性203人,女性261人であった.対象者の71.4%は,健康行動を行う意欲を有していた.女性の高年齢階級に健康法の意欲が高いことが認められた.健康行動の中では,サプリメント(42.9%)が最も一般的で,特に女性が,男性より利用していた(P<0.001).機能性食品とバランスの良い食事(P<0.001),塩分を控える(p=0.003)非喫煙(p=0.021)で関連が見られた.軽度の身体活動の実践者は,運動(p<0.001),野菜の摂取(p=0.042),バランスの良い食事(p=0.001),非喫煙(p=0.004)について,望ましい傾向が有意に示された。反面,栄養ドリンクの利用者では,健康に好ましくない生活習慣の回答割合が高かった.健康状態との関連では,通院中の者で,サプリメント(p=0.043),漢方(p=0.027),鍼灸(p=0.003)の利用が低いことが見られた.高血圧と回答した者は漢方の利用(P=0.017)が,また腰痛・関節痛と回答した者はマッサージ・指圧(p=0.007)が,アレルギーと回答した者はサプリメントの利用(p=0.003),機能性食品の利用(p<0.001)が高いことが有意に示された.この研究により,生活習慣と各種健康法の選択が結びついていることが明らかになった.また健康状態に応じた健康法の選択も示された.
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