目的:交替制勤務の健康影響に関する研究は夜勤者を対象としたものがほとんどであるが,日本の女子交替制勤務者は看護師などの一部の職種を除き,夜勤を伴わない場合が多い.本研究は日本の女子交替制勤務者に一般的にみられる早番遅番という勤務形態が,睡眠食事,疲労,胃腸の不調,精神的な健康状態に及ぼす影響を,変数間の関連に焦点を当てて検討した. 方法:日勤者36名と週毎に早番と遅番をシフトする交替制勤務者67名を対象に,4日間の質問紙調査を実施した.調査実施時には34名が早番,33名が遅番についていた. 結果:早番にみられた早い起床時刻は,睡眠の質の低下に関連しており,遅番にみられた遅い起床時刻は朝食欠食の増加と関連がみられた.睡眠の質が悪くなると疲労感が増し,朝食欠食は胃腸の不調の訴えに関連していた.これらの愁訴は,より長期的な身体的・精神的健康度を表すGHQスコアとも有意に関連していた. 結論:交替制勤務と一口にいっても,シフトによって労働者の健康や行動への影響は異なっており,早番では睡眠障害が,遅番では朝食欠食が問題となっていた.横断研究のため,因果関係の特定はできないが,さまざまな行動及び健康変数間の関連が明らかになり,早番・遅番勤務が労働者の生活,さらには健康にもたらす影響を推測することができた.
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