本研究ではWebを利用した心理的we11-being向上プログラムの形成的評価を小規模サンプルを用いて行うことを量的とした.対象者は研究者の機縁にてリクルーティングを行った28名の産業労働者で,prepostデザインを用いた.プログラム内容の評価には,受講者にcomprehensiveness(わかりやすさ),informativeness(役立ち感),interestingness(興味深さ),intention to act(行動への意思),self-efficacybelief(自己効力感)の5変数を用い,受講者に自己評価してもらった.また,プログラムアウトカムである受講者の心理的well-beingの把握には,心理的well-being邦訳版(43項量)を用い,プログラム介入前とプログラム終了後(介入後)の2時点で測定し,検討した.すべての調査項量はweb上で回答してもらった.その結果,8割以上の対象者がプログラム内容を肯定的に評価し,心理的we11-beingがプログラム介入後有意に向上していることが確かめられた.また,プログラム内容の自己評価とアウトカムである心理的well-beingの関連を検討した結果,intention to act(行動への意思)とself-efficacy belief(自己効力感)がアウトカムに影響する要因であることが明らかになった.以上のことから,本プログラムの有効性の可能性が示唆され,今後はコントロール群を用いた,より大規模な集団を対象に本プログラムの有効性を検討する必要があることが示された.
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