胚培養の手法を用い, コムギの胚を養分やpHのコントロールされた精製水区 (A), 岩石浸漬区 (B), 湧水区 (C) で育て, 生育状況を調査することにより, 水の化学的組成の変化が植物の生産に及ぼす影響の解明を, 本実験の目的とした.
1) 胚の生育率を調べた結果, B区およびC区はA区に比べ高い生育率を示した.
2) 子葉形成率において, B区およびC区はA区に比べ高まる傾向を示した.また, そのパターンは類似していた.
3) 草丈および最大根長において, 平均伸長の比較の結果, B区およびC区はA区に比べ伸びの良いことが分かった.
4) 浸潤法により各試験区での気孔開度を測定した結果, B区およびC区での気孔開度は大きく, 気孔開度が栄養吸収量等の違いに影響し, 生育量の違いとなると推察された.
5) 以上の結果より, 培地に岩石を浸漬することによる効果は, 分析した特定のミネラルの影響ではなく, 未分析の微量元素の影響が推察された.
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