日本医史学雑誌
Online ISSN : 2759-0453
Print ISSN : 0549-3323
65 巻, 3 号
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本号の表紙絵
原著
  • 松木 明知
    2019 年65 巻3 号 p. 279-300
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    華岡青洲による「瘍科瑣言」は華岡流外科の最も重要な医書であった.その内容は114の外科的疾患,それらの症状,治療法について記述したものである.疾患名とその記述の順序は中国の医書「外科正宗」に準拠しているが,記述内容は青洲の経験に基づいている.写本54本の調査の結果,1807年に春林軒に入門した三輪敬節の書写本が最も古いと考えられ,このことから「瘍科瑣言」は1808年末までには完成していたと推察される.
  • 三﨑  裕子
    2019 年65 巻3 号 p. 301-313
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    「日本医籍」をはじめ,明治時代の医籍には所謂医術開業試験合格者ではない女医の名前が散見する.彼女らは女性の従来開業医,すなわち従来開業女医である.従来開業女医は男性の従来開業医と同様,医療の近代化を推進する明治政府の施策の中で医師として生き残ってきた.数種類の医籍の中に従来開業女医は少なくとも73名存在した.しかし彼女らは明治15年に試験なしで家業を継承する特例が認められた25才以上の従来開業医の子弟には含まれず,明治初期にはすでに地域の医療に従事していたとみられる.伝記の残る従来開業女医には医師の娘が多く,家業の継承が女性によっても担われていた.彼女らは近代的な明治女医が輩出される伏線であった.
  • ―戦争と看護の歴史をみる視点に焦点をあてて―
    川原 由佳里
    2019 年65 巻3 号 p. 314-328
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    本稿では,戦争と看護の歴史をとらえる視点の拡充に向け,英国の陸軍看護制度と第二次世界大戦中の実際を明らかにすることを目的とした.結果,英国では戦傷病者の看護は英国政府の責任であるとする考えに基づき,少数精鋭のエリートである軍看護婦の養成が開始された.その後,戦争での看護需要の増加に際して,英国赤十字社等の民間のボランティア救護班が導入され,外地では植民地の労働力が利用された.国内では空襲被害に対応すべく民間病院の有資格看護婦が動員され,代わりに看護婦生徒が病院の労働を担った.軍看護婦の階級と地位は男性将校と同じ水準にまで高められたが,看護教育や実践に階級や規律の厳しさがもちこまれるなどの影響があった.
研究ノート
  • ―とくに初出文献と初出年について―
    松木 明知
    2019 年65 巻3 号 p. 329-340
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    19世紀初頭,華岡青洲は「麻沸散(湯)」を開発して外科領域に新境地を開拓した.一方で手術対象となる2,3の病名も造語したといわれてきたが,それらの初出史料,初出年などの詳細はこれまで不明であった.著者は青洲によるとされる造語中「鎖鼻」,「鎖陰」,「鎖肛」と彼の高弟本間玄調による造語「鎖宮」を取り上げ,それらの初出史料,初出年を検討した.「鎖肛」は徐春甫の「古今医統(大全)」(1557)に披見されるが,中国では既に13世紀末から「鎖肚」の語が存在した.両語は日本に伝えられ,日本では「鎖肚」が普及した.青洲はこの事実を知らずに独自に「鎖肛」を造語したと考えられる.「鎖陰」,「鎖肛」の2語は現在も医学界で使用されている.
ひろば
資料
記事
  • 2019 年65 巻3 号 p. 381-394
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    例会抄録
    映画『夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』―特別試写会・解説―
    岡田 靖雄 (平成30年11月例会)
    明治期の開業医・狩野謙吾の生涯―臓器療法の発見者から神経衰弱の専門家へ―
    山田真由美 (平成30年11月例会)
    緒方洪庵の薬箱研究を可能にした大阪大学所蔵ケシ標本の意義
    髙橋 京子 (平成30年12月六史学会合同例会)
    鹿慢性消耗病(Chronic Wasting Disease)
    小野寺 節,杉浦 勝明 (平成30年12月六史学会合同例会)
    メガロドンの歯の化石に対する本草学者と蘭学者の考察比較
    松山 知明 (平成30年12月六史学会合同例会)
    アメリカ国立公文書館資料再考 2―史料を活用したバイオエシックス教育の取り組み―
    丸山マサ美 (平成30年12月六史学会合同例会)
    『解体新書』扉絵の書誌的研究
    安江 明夫 (平成30年12月六史学会合同例会)
    日本における屍体解剖の黎明期について―社会文化史的な視点からの再検討―
    ヴォルフガング・ミヒェル (平成30年12月六史学会合同例会)
    国民優生法,優生保護法と精神科医
    岡田 靖雄 (平成31年1月例会)
  • 2019 年65 巻3 号 p. 394-399
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー
    書 評
    グレゴワール・シャマユー (Grégoire Chamayou) 著,加納由起子 訳『人体実験の哲学』
    宮武 光吉
    吉元昭治 著『図説 道教医学―東洋思想の淵源を学ぶ―』
    横手 裕
    謝 心範 著『養生の智慧と気の思想―貝原益軒に至る未病の文化を読む―』
    光平 有希
    Wolfgang Michel-Zaitsu 著„Traditionelle Medizin in Japan – Von der Frühzeit bis zur Gegenwart“
    梶谷 真司
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