本シンポジウムは,地域の保健力を育てるというテーマのもとで,各シンポジストが「地域の保健力とは」と問われてイメージする内容をひとことづつ述べたあと,引き続き「それはなぜか」および「各立場で果たす役割や方法」について論じるというユニークな企画であった。筆者は,保健力とは地域の健康問題を住民が主体となり地域ぐるみで解決し健康を保つ(もしくは育む)力と考えた。それは,現代がコミュニケーションやふれあいの不足する社会であり,個々が健康を保つために欠かせないこと,つまり人との関わりの中で自分らしく生きるということが阻害されかねない状況をまねいており,そうならないためには地域が自助と共生の力を育てることが必要不可欠と考えたからである。地域看護は,その活動特性から,住民に健康問題の気づきを促し,はたらきかける対象を適切なアセスメントから把握し,住民主体の組織的な活動を支援することができる。効果的な方法論については今後も継続的に検討していく必要がある。
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