保健医療社会学論集
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26 巻 , 1 号
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特集 在宅医療に対する保健医療社会学の視座
  • 松繁 卓哉
    2015 年 26 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
  • 前田 浩利
    2015 年 26 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    現在、わが国が直面している医療・保健の最大のテーマが、少子高齢化である。この問題に対応するべく、医療の構造改革が進んでいる。在宅医療の推進は、改革の要と言える。しかし、在宅医療の必要性は、高齢者のみでなく、がんの緩和医療でも、小児医療でも、同時に高まっている。高齢者では、これから到来する多死社会を乗り切るために、緩和医療では、がん患者のほとんどが一般病棟で亡くなっている現状から、より多くの患者に緩和医療を提供するために、小児医療では、医療技術の急速な進歩によって生まれた医療機器と医療ケアに依存して生活する子どもたちの急増に対応するためにである。医療の構造改革の最大の壁は、高度経済成長期に病床数を増やし、病院に医療資源を集中させてきた、現在のわが国の医療構造そのものにある。在宅医療推進は、その壁を克服すると同時に医療と生活、病院と地域の再統合という医療のパラダイムシフトをもたらす。
  • 吉村 学
    2015 年 26 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    著者の個人的な経験と最近の地域医療・在宅医療教育を合わせて紹介しながら、具体的な事例を通じて編み出してきた教育の試みを紹介している。早期からの地域体験学習や学際的な学びも重要である。また医療人類学的な視点、家族のとらえ方、文脈を理解することの重要性を置き去り実習、お泊まり実習、ハタケ実習を通じて学んできた。こうした振り返りや意味づけを臨床家だけでなく学際的なこの領域の研究者と共有しながら言語化やエビデンスを作り出していくことが今まさに求められている。
  • 新田 雅子
    2015 年 26 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    「場」と「行為者」という2つの視点からの「在宅」の意味の再検討を通して、在宅医療の意義と課題を論じた上で、高齢者を主たる対象とした在宅医療が高齢者保健福祉政策の動向のなかでどのように展開してきたかを、2006年から2015年の10年に着目して明らかにする。そのなかで浮かび上がる高齢者の自宅および地域、そして医療からの排除の側面を批判的に検討し、そうした事態を解きほぐすための若干の提言を最後に示したい。
  • 安保 寛明
    2015 年 26 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    精神保健医療領域では心理社会的介入の有用性が確立しつつあり、有益な知見を精神保健専門職者が利用可能になった。一方で、地域でACTなどの有効性が確立された支援を行うチームは少なく、社会階層やリテラシーが低い層での援助希求行動の低下を考慮する必要があるため、地域および在宅での訪問支援には一定の工夫が必要であることが判明してきている。そこで、筆者がチーム管理者として近年取り組んだ、超職種チームによる訪問支援の取り組みである、厚生労働省によるモデル事業「アウトリーチ推進事業」への参加経験を紹介することとする。本稿では訪問支援によって精神的困難による生活のしづらさから回復しつつある例を紹介するとともに、アウトリーチチームで活躍した複数名のピアスタッフの存在と意義を紹介する。保健医療社会学でも重視されるリカバリーおよびストレングスモデルによる実践への貢献について述べる。
  • 清水 準一
    2015 年 26 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    高齢社会の進展に対応するため1990年代から在宅における看護職の活動は訪問看護を中心に徐々に拡大し、看護師・看護学生への教育体制も徐々に整備され、在宅療養者や家族に医療と生活の両面から支援を行ってきた。介護保険などが制度化され、比較的安価に自宅等で看護が利用できるようになった一方で、これらの制度化により生じたサービス提供上の〈縛り〉は在宅療養者や家族の生活に制約を与える可能性も生じている。また療養通所介護のような重度者向けの看護サービスや外来看護などについては今後も充実が必要であることや、自治体によって利用できないサービスがあるといった利用格差の問題も課題である。こうした課題を解決するために自治体が策定する医療・福祉計画が重要になると考えられ、この点において保健医療社会学者が貢献できるものと思われる。
原著
  • 村上 正泰, 伊藤 嘉高
    2015 年 26 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    がん患者の就業に対する支援の重要性が指摘されるなか、本稿では、山形県内の全がん診療連携拠点病院で受療中のがん患者を対象とした質問紙調査から、がんのステージや雇用形態の違いに焦点を当て、その就業状況の実態を明らかにした。ほとんどの患者は仕事を継続する意思を持っていながら、全体の約1/4が定年以外の理由でがん診断後に失職しており、とりわけ男性の場合には、非正規雇用労働者の失職率が有意に高かった。さらに、仕事を継続しているケースでも過半数が治療継続中であり、その半数近くが仕事に対してさまざまな不安を感じていた。また、高額の医療費負担とともに、有業者でも年収200万円を割り込む割合が高まる実態も明らかとなった。経済的支援はもちろんのこと、十分な休職期間の保障や非正規雇用労働者に対する支援とともに、正規雇用であってもフルタイム労働に限定しない柔軟な働き方を認め支えるような制度設計が必要とされている。
  • 植村 要
    2015 年 26 巻 1 号 p. 48-57
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    本稿は、当事者性を認識している調査者が実施するインタビュー調査に注目し、生成される語りについて、方法論上の特徴と意義を明確にすることを目的とする。考察は、当事者に関わる先行研究について、当事者性と研究テーマとの関わり、当事者性を表明するか否か、および、構築される位置性を枠組として行う。結論として、実施したインタビュー調査に当事者性が関わっているとするのであれば、調査者と被調査者の両者が、研究テーマに当事者性を認識しているかの確認手続きが不可欠であることを指摘する。そして、この確認から構築される関係において生成される語りは、質的差異をもつこと、および、この質的差異を意義とするときに、採用する方法が当事者インタビューであることを示す。
  • 合地 幸子
    2015 年 26 巻 1 号 p. 58-67
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究は、東南アジア・インドネシア・ジャワ農村部における、高齢者の病い対処行動に見られる高齢者と治療者の依存関係から治療者の役割を考察したものである。本論文では、西洋式の看護教育を受けた近代的な施術師マントリ・クセハタンおよびビダンに着目した。マントリらのホーム・ケアを選択する高齢者は医療器具装着者に多い。家庭で療養することを望む重度の病いを患う高齢者とその家族はマントリらによるホーム・ケアを通して近代的な治療を短期間に断続的に利用していた。インドネシアにおいてホーム・ケアが制度化される以前から農村部におけるマントリらは地域住民に対して集団の一員として治療を施してきた。伝統的な社会の価値観を持ち、近代的な治療行為ができるマントリらではあるが、人々が完全にマントリらに依存することはなかった。マントリの役割は治療を通して伝統と近代をつなぐことである。
大会プレセミナー「論文の執筆と投稿に関するワークショップ(2015年5月16日)」実施報告
「保健医療社会学論集」の現状―特集テーマの設定について―
『保健医療社会学論集』の投稿動向と査読動向の分析(2015年3月末集計)
  • 樫田 美雄
    2015 年 26 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2017/02/23
    ジャーナル フリー
    本稿では、2013–2014年度の日本保健医療社会学会編集委員会の活動記録の一つとして、『保健医療社会学論集』(以下適宜『論集』または、本誌と表記)の投稿動向および査読動向のデータを提示し、若干の分析を添える。投稿数は頭打ちであり、かつ、査読を通過して掲載される率(掲載率)は低下傾向にある。また、評価ワレ率と審査日数の平均値がともに増大している(2011年に本誌が受け付けた論文においては、『社会学評論』よりも審査日数は短かったが、2013年に本誌が受け付けた論文においては、『社会学評論』よりも審査日数が長くなっている)。この変化の原因は不明だが、「第三査読者の負担増問題」が再燃しており、対策が必要となってきている。また、単著論文に対する共著論文の比率が漸増してきており、この傾向に対応した執筆支援および投稿支援体制づくりが今後は検討されてよいだろう。
園田賞(第9回日本保健医療社会学会奨励賞)の審査報告
編集後記
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