保健医療社会学論集
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27 巻 , 1 号
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特集 保健医療におけるコミュニケーション研究の現在――患者・医師関係研究を踏まえて/超えて
  • 石川 ひろの
    2016 年 27 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
  • 野口 裕二
    2016 年 27 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    医療コミュニケーションはこの数十年の間にどのように変化してきたか、その変化の方向性と特徴を精神科領域を中心に探ることが本稿の目的である。この領域で注目される4つの試み、「病いの語り」、「ナラティヴ・アプローチ」、「当事者研究」、「オープン・ダイアローグ」を検討した結果、いずれの試みも「平等化」と「民主化」を推進するものであることが確認された。また、それらは斬新なコミュニケーション・デザインとコミュニケーション・モードによって達成されており、さらにこうした動きの背景には「倫理化」というもうひとつの重要な動きがあり、慢性疾患を生きる上で重要な意義をもつことが示唆された。

  • 岡田 宏子, 奥原 剛
    2016 年 27 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    がん経験者によるナラティブはがん検診の受診促進に有効であるとされている。しかし、その情報としての性質については明確でない。本研究の目的は、同じく乳がん検診の受診を促す介入に有効であるとされている「ヘルスビリーフモデル」を用いて、乳がん経験者のナラティブを分析し、その性質を探ることである。ディペックス・ジャパンにより聴取された乳がん患者18名分のインタビューデータを用いて内容分析を行った。特定人口のリスク認知、早期発見による医療的メリットについて60%程度の人が語り、障害の認知として症状の軽視について約半数が語った。乳がん患者のナラティブには、ヘルスビリーフモデルの枠組みに該当する性質をもつメッセージが多数含まれており、検診受診行動の促進に有効である可能性が示唆された。

  • 浦野 茂
    2016 年 27 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、北海道浦河郡の「べてるの家」で始まり、近年急速に普及している当事者研究について、これを相互行為の組織方法という観点から検討することである。最初に、精神障害や発達障害にともなう困難の経験をその障害をもつ人びと自身が共同で研究するという営為に含まれている課題について明らかにする。そのうえでこの課題に対していかなる実践的な対処方法がありうるのか、筆者の観察してきた事例にもとづいて考察をおこなう。

  • 川上 ちひろ
    2016 年 27 巻 1 号 p. 28-38
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    近年、他の医療専門職との協働の重要性が叫ばれており、「多職種連携医療教育」が必要視されている。国内の多くの医療系学部において、「多職種連携医療教育」が導入されている。ここでは、学生向けの映像教材作成の過程において、医療教育者にどのような学びがあったかをまとめた。「多職種連携医療教育」を通じて、医療教育者自身が自己の専門職の役割について再確認することもできた。また、自己の専門性について客観的にみつつ、ふりかえる機会ともなっていた。映像教材作成を通じて、在宅での多職種連携の疑似体験ができた。また「多職種連携医療教育」は、他の医療専門職を理解するよい機会となる。他領域の医療専門職の視点(文化)の違いに気がつくことがある。「多職種連携医療教育」での映像教材作成は、医療教育者のいわば、“当事者研究”の場であるといえる。「多職種連携医療教育」で医療教育者が連携する姿を見せることは、学生(後輩)へのよきロールモデルとなるだろう。

  • 高山 智子, 八巻 知香子
    2016 年 27 巻 1 号 p. 39-50
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    患者自らが健康や医療に関する情報を探し活用する力は、今後ますます重要となり、近年増加するインターネットやソーシャルメディアなどの新しいメディアを介した情報による第二次の情報格差も懸念される。本研究では、健康関連の情報を得るときに、人々がさまざまな情報媒体をどのように活用しているのか、情報入手経路の特徴、人々の背景要因による情報入手経路の活用の仕方を検討し、特にインターネットを介した情報提供方法の今後のあり方の示唆を得ることを目的として検討を行った。その結果、調査協力者の3/4以上が、自分もしくは家族や周囲でがんの経験を持ち、健康あるいはがん関連の情報入手経路は、性別、年齢、教育背景、職業により異なる特徴を示した。今後はこれらの異なる背景要因を手がかりとした情報格差を是正する具体的な介入方法や実際に活用できるアプローチを検討し、情報を探し、活用できる力につながるようにしていくことが必要である。

  • 中村 和生, 海老田 大五朗
    2016 年 27 巻 1 号 p. 51-61
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿は、社会学の一潮流であるエスノメソドロジー&会話分析(EMCA)研究が、保健医療における様々な実践にたいしてどのようにアプローチしてきたのかを、メディアの利用、ならびに臨床への介入的な貢献という角度からレビューし、保健医療のEMCA研究の意義の一端を描くことを目的とする。検討の結果、第1に、利用可能なメディアの拡張に合わせて、EMCA研究がアプローチすることのできる保健医療の実践が大きく広げられてきたことが確認できた。そして、第2に、広い意味で直接的な観察をとおした実践の秩序の分析的解明を主眼とするEMCA研究が、何らかの点でその解明に基づきながら、臨床の現場に多様な形で介入的な貢献を果たすということは、可能であるばかりでなく、既にそれなりの規模において展開されていることを確認した。

  • 池田 光穂
    2016 年 27 巻 1 号 p. 62-72
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿において筆者は、公衆衛生におけるヘルスコミュニケーションを通した介入における倫理問題について論じる。まずヘルスコミュニケーションという用語の出現を1980年以降のプライマリヘルスケアやヘルスプロモーションのオタワ憲章の時期に求め、それ以降増加傾向があることを指摘した。コミュニケーションを介した公衆衛生活動のレパートリーについて紹介した後に、この活動領域における規範的倫理の項目11項目に指摘した。また、それに関連する5項目の倫理的関与の領域を指摘した。このことから構成されるマトリクスを提示して、規範的倫理の項目の分布について理解することの意義を提示した。終章においてヘルスケアにたずさわる人たちが抱く価値自由で中立的な希望とは裏腹に、現実の公衆衛生政策の現場にはさまざまな価値負荷=価値が介入することを、いくつかの実例をもって示した。そして、価値負荷するヘルスコミュニケーションの現場に、医療社会学者が関与してゆく可能性を示唆した。

原著
  • 志水 洋人
    2016 年 27 巻 1 号 p. 73-82
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    職域の「うつ」は論争的な主題であり、利害関係者による多様な解釈にさらされている。本稿は、産業医と臨床医へのインタビュー調査から、逸脱への意味づけと原因帰属をめぐる解釈実践を、フレームの概念を用いて明らかにする。具体的には、① 医師にとって、逸脱への意味づけ——経営的/医療的——と、原因帰属——内的帰属/外的帰属——のそれぞれがいかなる対立構造を有するのか、② 医師はそれぞれの解釈図式をどのように用いるのか、という二つの問いを扱う。医師という行為者が埋め込まれた社会的文脈——文化・制度や社会的属性——から、ありうる解釈を一般論として類型化することも理論的には可能かつ必要だが、本稿は個人の実践レベルでの多様な解釈の対立、相補性、両義性等を具体的に明らかにした。

  • 小坂 有資
    2016 年 27 巻 1 号 p. 83-93
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、ハンセン病者の経験を共有し継承するための道を検討することである。そのために、地理的にも政策的にも極限的な場所にあるカラウパパと大島青松園におけるダーク・ツーリズムに着目する。ダーク・ツーリズムは、隔離された「死」を現前化させる。それは、ハンセン病者との対面的な相互行為の場の形成だけでなく、ダーク・ツーリズムそれ自体の枠を超えた新たなコミュニケーションの形成に寄与するという可能性ももつ。そして、より重要なことは、ダーク・ツーリズムを「死」と「生」の視座から考察し、われわれがハンセン病者の存在の排除と類型化に抗するようになることである。

  • 石田 絵美子
    2016 年 27 巻 1 号 p. 94-104
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿では、筋ジストロフィー病棟で働く看護師の語りに注目して彼らの経験を記述し、その看護師の経験が、患者たちの生活を如何に成り立たせているのかについて探求する。非構成的面接法によって得られたデータを用いて、現象学の思想を手掛かりに分析し、記述した。その結果、看護師の経験から、「患者たちの生きられた経験から学ぶ」、「患者たちとともに習慣を作る」、「経験を更新して、患者たちの新たな可能性を志向する」、「受動的ケアから生まれる能動的ケア」の4つのテーマが導き出された。その看護師の経験から、筋ジストロフィー病棟の患者たちの生活は、進行性の筋力低下に伴い多くの支援を要するようになるベッド上の生活でありながら、看護師たちとの互いを思いやる関係のもと、様々な関わりの中から生み出されたケアによって、患者たちの新たな可能性が志向される開かれた生活であると考えられる。

研究ノート
  • 泉川 孝子
    2016 年 27 巻 1 号 p. 105-115
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、DV被害者支援機関の支援者からDV被害者支援の現状を明らかにし、医療機関で働く看護職に求められる課題について検討する。支援者とフォーカス・グループインタビューを3回実施した。なお、本稿で扱う第2回はDV被害当事者を交えて、各機関の支援者が当事者の被害状況を共有することで、さらに看護支援の可能性を検討することを目的とした。DV被害当事者の語りが中心となった結果、【当事者の体験からみたDV被害状況】【被害状況と医療者の対応】【孤立する被害者を支える援助の重要性】【DVの認識の変化と医療現場の声】の4つのカテゴリーが抽出された。当事者は社会関係を絶たれ、孤立を余儀なくされるため共感的な支援が求められる。看護職は、DV被害者の特徴的な症状としてうつ症状、不定愁訴が多い点を理解し診療の補助に関わり、まずは声をかけることが心の扉を開ける大切な一歩となる。

書評
実施報告
園田賞(第10回日本保健医療社会学会奨励賞)の審査報告
編集後記
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