保健医療社会学論集
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28 巻 , 1 号
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特集 リプロダクションの経験と保健医療
  • 白井 千晶
    2017 年 28 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー
  • 白井 千晶
    2017 年 28 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    現在、出生前検査、人工妊娠中絶、出産などリプロダクション現象の多くは医療の領域で起こっているが、そのありようは多様であるし、常に医療分野で起こっているとは限らない。そこでまずリプロダクションの医療化の歴史を、先行研究をレビューしながら概括した。次に、人びとのリプロダクション経験から研究することの可能性を提示するために、卵子提供を事例に、現代社会で医療現象となっていること、にも関わらず、当事者は家族形成のスティグマとマイノリティとして経験していることをインタビュー調査から示した。リプロダクションは、ライフコース上のプロセス性をもつ文化的、社会的経験である。

  • 安田 裕子
    2017 年 28 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    不妊治療を受ける女性たちは、治療に対する前向きな姿勢を維持し、妊娠できると望みを抱き、心理的な落ち込みや自己コントロール感の喪失を防ごうとする。しかし他方で、治療に専心するなかで、人生設計や将来展望が明確でなくなることも少なくはない。本稿では、体外受精の適応となったひとりの女性を対象にインタビューを行い、その不妊経験を経時的に捉えた。分析には、人間の発達や人生の径路を時間の流れと文化的・社会的背景とともに捉える質的研究法、複線径路等至性モデリング(TEM)を用いた。自らの価値観に沿った治療の選択をしつつ、大切にすべき価値観をさらに育て、また活動する場を広げながら、不妊という経験を意味あるものにしていった歩みを、転換点に焦点をあてひとつのモデルとして描き出した。それは不妊治療期間をどのように過ごすかという点でも示唆的であり、その経験には、生成継承性を発達課題とする成人期女性の有り様が捉えられた。

  • 菅野 摂子
    2017 年 28 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    出生前検査は、倫理的および社会的な議論を起こしてきた。2013年から始まったNIPT (Non-Invasive Prenatal Testing)では、臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーを中心とした遺伝カウンセリングを実施し、倫理的視点に配慮しつつ患者の自律性を確保することによって、この検査を実施する方向性が打ち出された。しかし、この検査をめぐる問題が遺伝カウンセリングの現場で解決されうるものなのか、別の課題が浮上する可能性も含めて、実証的な研究は少ない。本稿は、遺伝カウンセラーおよび周産期の臨床心理士へのインタビュー調査から、現場の課題を取り上げた。その結果、カウンセリングが自己目的化していること、親族との意見の相違、遺伝カウンセリング以前にかかっていた産科医から得た情報や支援が不十分なことが明らかになった。遺伝カウンセリングが有効に機能するためには、カウンセリングに外在する諸問題を視野に入れて、そのあり方について検討するべきである。

  • 熱田 敬子
    2017 年 28 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    産婦人科医療の場は、胎児を愛情の対象である「赤ちゃん」とし、妊婦を「お母さん」とすることを自明としている。中絶はその自明の前提への挑戦として非難されがちだ。しかしこうした妊娠への見方自体、妊娠・出産が医療化され、医療的知識が人々の妊娠に対する感じ方を変える中で生まれており、当たり前の感覚ではない。中絶した女性は胎児への強い愛着で心理的ダメージを負うと言われるが、すべての女性が当てはまるわけではない。中絶では胎児に強い罪責感を感じるべきという規範的前提から、そうでない女性は医療の中で「安易」だとされる。しかし、そもそもなぜある医療を受けることが、「安易」かどうかという基準で裁かれるのか。本研究では、医療に見られる「赤ちゃん」として人格化された胎児像と、それを基に妊娠した女性を「母親」として扱い、胎児への愛情を示さないことを「安易な中絶」とみなす価値基準について、中絶を経験した女性のインタビューを基に批判的に検討した。

研究ノート
書評特集
書評
『保健医療社会学論集』編集委員会の課題
『保健医療社会学論集』の投稿・査読動向(2017年3月末集計)
  • 石川 ひろの
    2017 年 28 巻 1 号 p. 114-117
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    本稿では、2015–2016年度の日本保健医療社会学会編集委員会の活動記録の一つとして、『保健医療社会学論集』の投稿および査読の動向に関するデータをもとに、この10年間における変化と現状の分析を試みる。近年、投稿数は大きく変化しておらず、査読を通過して掲載される率(掲載率)は平均で4割弱となっている。一方、全体としてA~C判定が減少するとともに、D判定がやや増加している傾向が見られた。評価ワレ率は増加したままとなっており、第三査読者の負担増、査読期間の長期化は依然として懸念される。この傾向に対応した執筆支援および投稿支援体制づくりを今後も検討していく必要がある。

園田賞(第11回日本保健医療社会学会奨励賞)の審査報告
編集後記
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