慢性腎臓病患者において,心血管病にはミネラル代謝異常や炎症が強く関与している.ビタミンD受容体(VDR)を活性化する,VDRアクティベーターは抗炎症効果などの多面的作用を有している.また,血中の内因性ビタミンD[25-ヒドロキシビタミンD
3:25(OH)D
3]濃度と心血管系疾患との関連性が示されているが,血管組織内局所におけるビタミンD代謝は検討課題である.われわれは,リン(P)および炎症性サイトカイン刺激によるヒト大動脈血管平滑筋細胞(VSMC)の石灰化への25(OH)D
3の影響を検討した.高Pおよび腫瘍壊死因子-α(TNF-α)で刺激したVSMCに,25(OH)D
3(10
-6~10
-8 M)を添加し,VSMCの石灰化,およびビタミンD代謝について検討した.高PおよびTNF-αによりVSMCの石灰化は促進し,25(OH)D
3は石灰化を抑制した.25(OH)D
3によりVDR mRNA発現の上昇やオステオカルシンmRNA発現低下が認められた.25(OH)D
3は高Pおよび炎症性サイトカインによるVSMCの石灰化プロセスを抑制した.
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