昭和学士会雑誌
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75 巻 , 4 号
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特集:医薬品による重篤副作用への対処法と救済制度
教育講演
原著
  • 小川 祐, 深貝 隆志, 松井 祐輝, 古敷谷 淳, 中里 武彦, 押野見 和彦, 森田 順, 麻生 太行, 直江 道夫, 冨士 幸蔵, 小 ...
    2015 年 75 巻 4 号 p. 444-449
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    前立腺癌に対する長期のアンドロゲン除去療法(Androgen deprivation therapy: ADT)における骨密度減少について,本邦で詳細な報告は未だ少ないと言える.今回われわれはADTを施行した前立腺癌患者の骨密度を治療前から経時的に腰椎,大腿骨近位部(全体:Total Hip),橈骨遠位端の3か所について測定を行い,その変化について検討を行った.2004年以降に昭和大学病院で診断された骨転移を認めない前立腺癌患者で,ADTを施行し1年以上経過を観察した76例を対象とした.患者背景は年齢中央値76歳(59~89),PSA中央値17.5ng/ml(0.3~1600)であった.これらの症例でADTを中止するまで年に1度,上記の部位の骨密度の測定を続け最長5年目(20例)までの部位毎の変化について検討した.ADT開始後,各部位で有意な骨密度の低下を認めた.加齢による変化も考え,Zscoreも用いて比較しても骨密度の低下は各部位で有意であった.腰椎や大腿骨近位部は治療後3年目以降は骨密度の低下が治まっていたが,橈骨遠位端では5年後も骨密度の低下が続いていた.WHOや日本の骨粗鬆症診断基準では一般的に腰椎,大腿骨近位部の骨密度測定が薦められているが,前立腺癌に対する長期のADTを行っている患者の骨密度の評価には橈骨遠位端が適している可能性が示唆された.
  • 佐藤 千佳, 辻 まゆみ, 木村 謙吾, 小口 勝司, 中西 孝子, 舟橋 久幸, 齋藤 雄太, 植田 俊彦, 小出 良平
    2015 年 75 巻 4 号 p. 450-457
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    生直後から12日齢まで80%酸素にて飼育した未熟児網膜症モデルラットと以前,報告された高酸素負荷による酸化ストレス誘発性脳障害モデルと比較し,未熟児網膜症モデルの酸化ストレス誘発性脳障害モデルとしての有効性について検討した.出生直後より12日齢まで80%高酸素負荷ラット(P12)およびその後大気中に移動し24時間飼育したラット(P13)は,脳(海馬)を摘出した.海馬の凍結切片を作製し,DNA酸化損傷マーカーである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)を免疫染色し,局在を確認した.また,ホモジェネートを作製し,酸化ストレスマーカーであるreactive oxygen species(ROS),脂質過酸化物(malondialdehyde: MDA),酸化型グルタチオン(GSSG)量を,RT-PCR法によりO2を酸素と過酸化水素へ不均化する酸化還元酵素Cu/Znsuperoxidedismutase(SOD)mRNAを測定し,記憶や学習に関わる海馬への酸化ストレスを確認した.さらに,ROSを積極的に産生する酵素type 4 nicotinamide adenine dinucleotide phosphate(NADPH)oxidase(Nox4)mRNAを測定し,Nox4の役割について考察した.8-OHdGはコントロール群に比べて,高酸素負荷終了直後(P12)増加していた.特に,CA1,CA3,歯状回(DG)では8-OHdG陽性細胞数の増加は顕著だった.P12海馬内ROS,Cu/Zn SOD mRNA,GSSG,MDA量は高酸素負荷群でコントロール群に比べ有意に増加しており,P13でも同様の結果を示した.P12での海馬内酸化ストレスの結果はこれまでの報告と一致していた.海馬Nox4 mRNAはコントロールに比べP13の酸素負荷群で2.7倍となり,相対的低酸素状態(脳虚血)から低酸素状態への適応(再灌流)による神経変性を増悪する可能性が示唆された.ラット脳,網膜などの神経組織が成熟する生後12日(P12)まで高酸素投与を継続する未熟児網膜症モデルは本研究により初めて酸化ストレス誘発性脳障害モデルとしても応用可能であることが示された.
  • 藤田 和久, 石原 健司, 村上 秀友, 河村 満
    2015 年 75 巻 4 号 p. 458-464
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    剖検例から見たCJDの臨床的特徴について検討し,診断に有用な項目について考察する.CJD剖検6例(孤発性5例,硬膜移植後1例)を対象に,臨床症状および経過,頭部MRI所見,髄液所見,脳波所見について後方視的に検討し,臨床診断における有用性について考察した.(1)臨床症状・経過:全例認知機能低下で発症.1例を除き急速に進行し,発症から3か月以内に無動性無言となった.ミオクローヌスは全例で見られた.(2)頭部MRI所見:全例で大脳皮質に沿った拡散強調画像の異常高信号を認めた.(3)髄液所見:14-3-3タンパクは5例で陽性,1例で陰性.(4)脳波所見:全例で周期性鋭波複合体を認めた.(2)~(4)の各項目では全例で(2)の所見が最も早期より認められた.(5)病理所見:硬膜移植後の1例と急速に認知症症状が進行した3例はMM1型であり,いずれも全経過は約1年.最も経過が速く発症から1か月で死亡した1例はMM1+2型.認知症症状が緩徐に進行し全経過4年の症例はMV2型であった.MM1+2型の症例ではMRI拡散強調画像の異常信号域と病変(海綿状変化,プリオンタンパク沈着)の強い部位が概ね一致していたが,その他の症例では相関は見られなかった.MRI拡散強調画像の異常高信号がCJDの早期診断に有用である.
  • 湯舟 邦子
    2015 年 75 巻 4 号 p. 465-473
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    「健やか親子21」のキャンペーン以降,母子のメンタルヘルスに対する関心は急速に高まり,産後うつ病に関する要因や現状把握の調査も増え始めている.さらに,産後うつ病の誘因となりうる妊娠期の抑うつ状態にも目が向けられるようになった.しかし,妊娠期からの継続調査は少なく,抑うつ状態に陥り始める時期,抑うつ状態の変化を明確化するには至っていない.そこで,産後うつ病のリスクとなりうる妊娠中の抑うつ状態を発見する有効な方法を考えるために,産後うつ病予測尺度(Postpartum Depression Predictors Inventory-Revised;PDPI-R),SF-36(MOS Short-Form36Item HealthSurvey),日本語版エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postsnatal Depression Scale;EPDS),ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を活用し,初期,中期,末期,産後1か月の間,継続して調査を行った.調査に参加した対象者は,助産院,産婦人科クリニック,大学病院の3施設のいずれかに通院し,妊娠10週から12週に妊婦定期健康診査時に研究の趣旨説明を受け同意した妊婦で,今回の妊娠,分娩,産褥経過の記載されている診療録にうつ病の既往歴の記載がなく,4回の調査に継続的に参加した77名を対象とした.平均年齢33.61±4.54歳で出産経験のある者が29.9%,出産経験のない者が70.1%の割合であった.4回の調査に継続的に参加した者の,PDPI-R得点の平均点はカットオフポイントを超えEPDS得点の平均点はカットオフポイントを超えていなかった.PDPI-Rを従属変数として重回帰分析を行った結果,初期は,初期に感じていた今回予定していなかった妊娠,今回望んでいなかった妊娠,初期のEPDSがPDPI-Rの得点を上昇させ,初期に感じていた不安が得点を下降させていた.末期は,末期に感じていた今回望んでいなかった妊娠が得点を上昇させ,今回の妊娠に対する不安が得点を下降させていた.産後1か月は,初期と末期に感じていた今回望んでいない妊娠と初期末期のEPDSが得点を上昇させていた.各期とも今回予定していなかった妊娠,今回望んでいなかった妊娠は相対リスクが高かった.重回帰分析の結果では,初期のEPDS,今回望んでいなかった妊娠が得点を上昇させていた.中期では今回予定していなかった妊娠の相対リスクが高く,末期,産後1か月では経済状況の相対リスクが高くなっていた.継続調査の結果からは初期と産後1か月のPDPI-RとEPDSの関連が認められた.抑うつ状態を捉える関連要因としての初期のEPDS,望んでいなかった妊娠は,初期,産後1か月で共通要因に挙がっていた.初期に妊娠を望んでいたか,予定していたかの確認を継続的にスクリーニングすることは,抑うつ状態の早期発見に繋がると考えられる.さらに,妊娠確定時の身体的変化,産後の身体的変化については,胎児の発育が順調か,妊娠高血圧症候群移行へのリスクはないかなどの視点だけでは,抑うつ状態の発見が遅れる可能性がある.抑うつ状態の早期発見のためには,生活上の負担になっているか否かの視点に立ち,SF-36,PSQIの活用によって身体的健康,全体的健康感,活力が下降していないかという確認が必要である.
  • 尾又 弘晃, 三雲 仁, 石原 陽平, 大下 優介, 中村 正則, 稲垣 克記
    2015 年 75 巻 4 号 p. 474-479
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    われわれは,腰部脊柱管狭窄症の術式として渡辺らが考案した腰椎棘突起縦割法(以下,縦割法)を,頸椎前方固定術で使用される開創器と光源を利用し,腰椎後方支持組織に対する低侵襲手術として施行している1).縦割法群と従来法群(棘突起切除術)の術後短期成績を,手術時間,術中出血量,および術後3年経過時の日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(以下,JOA score)の改善率で比較検討した.平均手術時間は,縦割法で有意に延長(P<0.05)し,術中出血量は縦割法で有意に少なかった(P<0.05).JOA score改善率は,縦割法で高い傾向にあったが,有意差は認めなかった.従来法では,術後腰痛出現による改善率の低下が散見された.傍脊柱筋等,後方支持組織の温存を目的とした縦割法は,術後短期成績では,有用な手術法と思われる.
症例報告
  • 山本 滋, 南方 孝夫, 大島 穣, 氷室 直哉, 富田 由里, 片岡 大輔, 谷尾 昇, 門倉 光隆
    2015 年 75 巻 4 号 p. 480-485
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は25歳の男性.主訴は血痰.1999年8月より主訴および微熱が出現.胸部X線写真,胸部造影CT,MRAおよび大動脈造影にて肺底区動脈大動脈起始症と診断した.同年9月,異常動脈の結紮・離断ならびに左肺下葉切除術を施行した.異常動脈は直径9mmで下行大動脈より起始し,肺の一部はS10を中心として暗赤色に変色していた.下葉へ流入する本来の肺動脈は2本のみ存在し,各々径2.5mmであった.術後経過は良好で23病日に退院した.手術から14年9か月経過したところで施行した3D-CTで,異常動脈切離断端に瘤化の無いことを確認し得た1例を経験したので報告する.
  • 藤政 浩一朗, 村上 雅彦, 渡辺 誠, 野垣 航二, 五藤 哲, 草野 智一, 松田 和広, 北島 徹也, 大野 浩平, 内田 茉莉依, ...
    2015 年 75 巻 4 号 p. 486-489
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.通勤ラッシュの駅構内で駆け込み乗車をしようとしたところ,ホームの防護柵で左上腹部を打撲.直後より,心窩部の激痛を自覚し,近医に救急搬送された.心窩部に圧痛と腹膜刺激症状,腹部CTで肝表面に遊離ガスを認め,穿孔性腹膜炎の診断で当科紹介となった.受傷5時間後に小腸穿孔を強く疑い,腹腔鏡下に腹腔内観察したところ,中等量の汚染腹水を左横隔膜下に認めた.胃,十二指腸に異常所見は認めなかったが,上部小腸周囲に白苔を伴う炎症所見が観察されたため,上腹部正中に4cmの小切開を追加した.創外で小腸を検索したところ,Treitz靭帯より約35cm肛門側の小腸に約1.5cm×1.0cmの穿孔部を1か所認めた.穿孔部位をトリミング後に縫合閉鎖し,手術終了とした.その他,明らかな臓器損傷部位は認めなかった.術後経過良好で,第11病日に退院となった.鈍的腹部外傷による小腸穿孔は術前診断・穿孔部位同定に難渋することが多い.循環動態が安定していれば腹腔鏡下手術は低侵襲下に診断,治療が施行できるため有用であると考えられた.
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