昭和学士会雑誌
Online ISSN : 2188-529X
Print ISSN : 2187-719X
ISSN-L : 2187-719X
77 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
特集:呼吸器
総説
最終講義
原著
  • 臼井 勇樹, 西川 洋生, 新妻 学, 池田 純, 稲垣 克記, 松本 一磨, 木村 仁, 伊能 教夫
    2018 年 77 巻 6 号 p. 716-724
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/07
    ジャーナル フリー
    肘頭関節内骨折の手術法について有限要素解析を行い,インプラントの設置を検討した報告はない.本研究ではプレートからのスクリューを尺骨軸と水平に髄内に挿入したモデルと軟骨下骨を通るように打ち上げて挿入したモデルの有限要素解析を行い,固定性を比較・検討した.肘関節CTから尺骨近位のヤング率分布有限要素モデルを作成した.また,プレートとスクリューのモデルも作成し,組み合わせてプレート設置モデルを作成した.プレートの近位1本のスクリューのみの挿入角度を変化させ①尺骨軸と水平に髄内に挿入したスクリューのモデル②軟骨下骨を通るように打ち上げたスクリューのモデルを作製した.2通りのモデルについて筋骨格モデリングシミュレーションと有限要素解析を組み合わせて行い,肘屈曲20度,40度,90度,150度での応力分布と関節面の骨折部の転位量を求めた.肘関節屈曲20度,40度ではモデル間の差は認められなかったが,関節反力が近位骨片に作用する肘関節屈曲90,150度において,①では近位3本のスクリューとプレートにも同様に高い応力が認められたのに対して,②では打ち上げたスクリューにのみ高い応力が認められプレートには応力の変化は認められなかった.関節面の転位は最も差が認められた肘屈曲150度において①0.292mm,②0.007mmとなった.骨折部を超える長いスクリューを関節面直下の軟骨下骨に挿入し関節面を支持することで,固定力を向上させることができると考えた.
  • 安川 泰樹, 富田 一誠, 川崎 恵吉, 根本 哲也, 金澤 臣晃, 稲垣 克記, 山田 克俊, 中原 大輔, 田邊 裕治
    2018 年 77 巻 6 号 p. 725-732
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/07
    ジャーナル フリー
    従来の人工橈骨頭は関節面の形状が円形で非解剖学的であるため,接触する上腕骨小頭の変形や前腕部痛を来すことが臨床上の問題点であった.近年,解剖学的形状を再現した楕円形の人工橈骨頭が開発され,上腕骨小頭への接触面積を大きくし接触圧を低下させる効果が期待できるようになった.しかし,当インプラントは実際の挿入手技で起こりえる橈骨軸に対する設置角度の誤差により,その効果を発揮できずに悪影響を来す可能性がある.本研究の目的は,解剖学的形状の人工橈骨頭を回旋設置した場合に,接触面積,接触圧にどのように影響するかを調査することである.ホルマリン固定された学生実習用解剖屍体の上腕骨と橈骨を用い,5つの異なる設置角度(回旋0°,前方回旋15°,30°,後方回旋15°,30°)で接触面積と接触圧を100Nの軸圧をかけて測定した.回旋誤差0°の正常設置が最も接触面積が大きく平均接触圧は低かった.回旋設置角度の誤差が大きくなると接触面積が低下し,平均接触圧が高くなる傾向が得られたが有意な差はなかった.本研究では解剖学的形状の人工橈骨頭は角度誤差が大きくなると接触面積がより低下し,接触圧が高くなる傾向があったが,その程度は顕著でなかった.当インプラントは,極力正確に設置することが望ましいが,今回の実験結果からは,回旋角度誤差が生じたとしても接触面積・接触圧が顕著に不良にはならなかった.
  • 田代 尚範, 湖東 聡, 尾﨑 尚代, 新妻 晶
    2018 年 77 巻 6 号 p. 733-737
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/07
    ジャーナル フリー
    高度急性期医療を行う本学附属病院では,2014年より急性期リハビリテーションのあり方検討プロジェクトが開始され,リハビリテーションスタッフの人員増員や急性期リハビリテーションに精通した人材育成および環境整備,医療従事者への啓蒙など集中治療時期からのリハビリテーション介入を促進する取り組みを始めた.本研究は,昭和大学藤が丘病院において,急性期リハビリテーションのあり方検討プロジェクト前後での理学療法診療実績の推移を比較し,事業効果および今後の課題に関して検討した.研究は,2013年4月〜2014年3月までの期間に昭和大学藤が丘病院において理学療法士5名体制により理学療法が行われた症例1,973名を2013年度群,2015年4月〜2016年3月までの期間に理学療法士10名体制により理学療法が行われた症例2,286名を2015年度群とし,理学療法実施者総数に対する診療科別内訳や理学療法開始場所,患者一人当たりの平均単位数,年間総単位数および年間診療報酬に関して診療録および藤が丘病院リハビリテーション室診療実績台帳より後方視的に比較検討を行った.2013年度群と比較し2015年度群では,救命医学科(2013年度群 vs 2015年度群:2.0% vs 4.2%),循環器内科(3.4% vs 8.3%),心臓血管外科(2.1% vs 3.3%),呼吸器内科(2.2% vs 4.2%),消化器内科(1.4% vs 4.2%),脳神経内科(3.9% vs 6.6%)における理学療法実施者数は有意に増加し(p<0.05),集中治療室や高度救命救急センターから理学療法が開始された症例においても有意な増加を示した(4.7% vs 9.5%:χ2(1)=34.5,p<0.0001).患者一人当たりの平均単位数は1.0単位/日から1.4単位/日まで増加し(t(df=22)=26.7,p<0.0001),年間総単位数は約1.8倍(19,482単位 vs 35,375単位),年間診療報酬は約1.9倍となった(43,301,850円 vs 80,656,730円).急性期リハビリテーションのあり方検討プロジェクトにより,リハビリテーションスタッフの人員増員や急性期リハビリテーションに精通した人材育成,医療従事者への啓蒙などの多面的な取り組みが図れた.これらが,入院早期からリハビリテーションが提供できるようになった要因と思われる.
症例報告
  • 齊藤 芳郎, 櫛橋 幸民, 勝田 秀行, 鴨志田 慎之助, 北嶋 達也, 池田 賢一郎, 江川 峻哉, 嶋根 俊和
    2018 年 77 巻 6 号 p. 738-743
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/07
    ジャーナル フリー
    梅毒は梅毒トレポネーマ感染による性感染症である.第1期梅毒の初期症状として感染局所に硬結や硬性下疳および無痛性の所属リンパ節腫脹を生じる.今回われわれは,舌背部腫瘤と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し,悪性腫瘍との鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は87歳の男性,主訴は舌背部腫瘤および頸部リンパ節腫脹であった.CTおよびMRI所見では著明な頸部リンパ節の腫大を認めた.舌癌を疑い病理組織検査および血液検査を施行したところ,病理組織学的に悪性腫瘍は否定され,梅毒RPR(rapid plasma reagin)値が185R.U.と高値を示したことより口腔梅毒と診断した.治療はアモキシシリン(AMPC)1,500mg/日を経口投与した.治療開始後6週間後には舌および頸部リンパ節の腫脹は消退し,15週間後には梅毒RPR値が3.9R.U.と低値を示した.
第341回昭和大学学士会例会(アーツ・アンド・サイエンス部会主催)
第64回昭和大学学士会総会
feedback
Top