昭和学士会雑誌
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最新号
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講演
資料
  • 川村 晴美, 三村 洋美, 俵積田 ゆかり
    2020 年 80 巻 6 号 p. 491-498
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    急性期病院に勤務する看護師が認知症高齢者をケアする上で困難だと感じていることを明らかにする.200床以上の急性期病院に勤務する看護師115名に自記式質問紙調査を実施した.分析は,Krippendorffの内容分析を参考に,意味文脈を重視しながら意味のまとまりのある文脈に区分し,1文脈1単位とし,それぞれのデータについて,意味内容の類似したものについてまとめ,カテゴリーとサブカテゴリーに類型した.有効回答は 105名(91.3%)であり,平均年齢34.4歳,認知症看護経験平均年数7.4年であった.分析の結果,69の文脈が得られ3のカテゴリー,11のサブカテゴリーが得られた.カテゴリーは《認知症の症状に関連する困難》,《看護師としての職責に対する葛藤》,《認知症専科でない病棟に起因する困難》の3つに類型された.本研究では,急性期病院の看護師は,認知症の中核症状やBPSDに対応することに困難を感じていた.また,患者の尊厳を大切に看護したいとの思いがあるが,安全重視のために拘束をせざるを得ないジレンマを抱えていた.一般病棟は,重症患者と認知症患者を多く受け持つことやこの両者の安全を守らなければならないこと,認知症高齢者の不穏な行動がその他の患者の入院生活に影響を及ぼしていることに困難を感じていることが示唆された.今後,本研究で得られたカテゴリー,サブカテゴリーから項目を作成し,急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師を対象に質問紙調査を実施し,認知症看護の困難感について実態を明らかにし,関連する要因を検討していくことが望まれる.
  • 小松﨑 記妃子, 山田 真実子, 福宮 智子, 佐藤 陽子, 山﨑 あや, 渡辺 純子, 福地本 晴美
    2020 年 80 巻 6 号 p. 499-507
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    看護学生による臨地実習に関する評価尺度の動向を明らかにする.本研究は,臨地実習での教授者の教育能力および学生の看護実践能力の両側面の能力を評価するための資料とする.医中誌Web Ver.  5を用いて,検索対象年は2005年1月〜2015年9月,検索式は「臨地実習」and「看護学生」and「評価」とし原著論文に限定した.その中から看護学実習に関して尺度を用いた評価を行っている文献(独自質問紙のみを使用した文献は除外)を分析対象とした.検索の結果,1,132件が抽出された.このうち本研究の条件に該当する文献は73文献あった.使用されている評価尺度は55種類あり,1文献に対し1〜11の尺度を用いるなど多岐にわたっていた.評価者は,教員,指導者,学生の3つに分類でき,評価対象は,教員,指導者,学生,実習過程(実習全般),実習環境の5種類に分類できた.人を評価対象とした文献のなかで,教員を評価した文献は4件で最も少なく全て2011年以降に確認された.指導者を評価した文献は20件,学生を評価した文献は45件あり,2005年から確認できた.教員を評価対象とした文献のうち,その評価者は,学生3件,教員(自己評価)1件であり,評価尺度は,前者は全て日本語版Effective Clinical Teaching Behaviors(以下ECTB),後者は教授活動自己評価尺度―看護学実習用―が用いられていた.指導者を評価対象とした文献における評価者は,学生14件,指導者(自己評価)6件であった.評価尺度は,前者のうち11件がECTB,3件が授業過程評価スケール―看護学実習用―であり,後者は全てECTBが用いられていた.近年の看護学実習における教育評価に関する研究では,教授者の教育実践能力を評価する尺度には,授業過程評価スケール―看護学実習用―やECTBの共通性が確認されたが,教員を評価対象とした研究は僅かであった.また,評価の時期は,基礎実習後と領域実習の前後などで2時点から3時点で実施されており,基礎看護実習から全ての実習終了後までなど一連の過程を通じた学生の評価に関する研究は見当たらなかった.看護実践能力における要素別の評価尺度を組み合わせて実習を評価していることが明らかになった.
原著
  • —初年次生に対する語彙教育を中心に—
    高橋 留美, 高橋 寛, 大野 真機, 小倉 浩, 吉川 裕介
    2020 年 80 巻 6 号 p. 508-516
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    医療系大学における英語教育は近年の医療現場における国際化と多職種連携型医療の実践という2つの流れに対応したものでなければならないが,本稿では特に語彙教育の観点から,このような要請を満たす医学英語教育のありかたを考察する.筆者らは専門教育に入る前と後の段階では学習すべき語彙の種類に違いがあると仮定し,初年次教育において学習者が習得すべき語彙リストの作成を試みた.まず,医学,歯学,薬学,看護学,リハビリテーション学系の専門雑誌に掲載された論文からコーパスを作成し,そこから統計的手法を用いて5つのタイプの語彙グループを抽出した.そのうちの4グループを専門教育の前段階,すなわち,初年次教育で導入すべき語彙とみなした.本稿ではそれらの具体的な語彙リストを示すとともに,それぞれのグループ間で学習の順序付けをすべきであると主張する.
  • 松浦 聖平, 藤居 直和, 宮澤 昌行, 寺崎 雅子
    2020 年 80 巻 6 号 p. 517-524
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節腫脹は耳鼻咽喉科日常診療において頻繁に遭遇し,鑑別診断は多岐にわたる.今回,2015年1月から2017年12月までに当科で頸部リンパ節腫脹の精査を行った患者84例(平均34.9歳,男性31例,女性53例)を対象とし,疾患の内訳,年齢,紹介元診療科,病悩期間,症状,血液検査,画像検査,細胞診結果,確定診断について後方視的に検討を行った.対象とした84例中に炎症性疾患は74例88%(非特異的炎症67例,特異的炎症7例),悪性疾患は10例12%(転移性悪性腫瘍8例,悪性リンパ腫2例)で認められた.炎症性疾患は平均29.9歳,悪性疾患は平均72.5歳であり,悪性疾患は有意差をもって高齢であった.また,炎症性疾患の病悩期間は1か月以内であるものが89%であったが,悪性疾患は炎症性疾患と比較して病悩期間が長い傾向があった.圧痛は炎症性では61%で認めるが悪性疾患は10%であった.血液検査では,可溶性IL-2受容体は悪性疾患では炎症性疾患と比較して高値であり有意差を認めた.また,超音波検査では悪性疾患は炎症性疾患と比較してリンパ節のサイズが大きく,縦横比が大きく,有意差を認めた.また,悪性疾患ではリンパ節門構造を保っていない症例が多かった.穿刺吸引細胞診は悪性疾患9例,炎症性疾患47例で施行した.両方で擬陽性や偽陰性は認めなかった.上記の結果から,悪性疾患は高齢で圧痛を伴わない症例が多いため病悩期間が長かったと考えられた.また,可溶性IL-2受容体は非特異的ではあるが良悪性の鑑別に有用と考えられた.超音波検査で悪性が示唆される場合には穿刺吸引細胞診が有用であった.
  • 青木 真史, 水野 克己, 井川 三緒, 櫻井 基一郎
    2020 年 80 巻 6 号 p. 525-530
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    妊婦のビタミンD欠乏は胎児のビタミンD欠乏につながり,出生した児は低出生体重児,骨密度の低下,易感染性のリスクを高めると報告されている.今回は妊婦の食生活,紫外線対策,ビタミンDに対する関心度と血清ビタミンD濃度の関連,また出生した児における体格や易感染性との関連を調査することを目的とした.前田産婦人科(千葉県八千代市)にて出産予定で妊娠32週以降の女性30名と出生した児を対象とした.妊娠後期に行う定期の母体の血液検査の際に,母親の同意を得て,25(OH)ビタミンD濃度を測定した.血清25(OH)ビタミンD濃度によりビタミンD欠乏と非欠乏の2群に分け,アンケート調査と1か月,3か月,6か月での計測値を用いて解析した.結果としては,対象者30名中14名がビタミンD欠乏と診断された.また妊娠中の紫外線対策,魚・卵・きのこ類などビタミンDを多く含む食材,ビタミンDへの関心度などは妊婦の血清ビタミンD濃度とは関係がなかった.出生児のデータにおいて中央値は,在胎週数39.5週,出生体重3,031gであった.1か月,3か月,6か月健診いずれにおいても気道感染症,湿疹に関して,ビタミンD欠乏,非欠乏間で明らかな有意差は認めなかった.今回の調査により,妊婦の約半数はビタミンD欠乏状態にあることがわかった.原因検索と対応を含めて,大規模調査が望まれる.
  • 大下 優介, 土谷 弘樹, 谷 聡二, 八木 敏雄, 石川 紘司, 根本 哲也
    2020 年 80 巻 6 号 p. 531-535
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,訪日旅行客の受診に要した金額を調査し,今後の対策を検討する事である.2013年1月から2018年3月の間に山梨赤十字病院に受診された訪日旅行客の受診とその費用について後方視的に調査した.受診された患者総数は625人であった.平均年齢は36歳(最小0歳-最大89歳)であり,男性291人・女性334人であった.受診の原因となった疾患は,感冒などの内科系疾患が233人(37.3%),骨折や脱臼などの外傷が221人(35.4%),小児科受診が84人(13.4%),膀胱炎や尿路結石などの泌尿器科系疾患が26人(4.2%),不正性器出血などの婦人科疾患が23人(3.7%)であった.費用の最大値は2,080,096円,最小値は1,160円,中央値は10,420円であり,90%パーセンタイル値は38,334円であった.大部分の事例は1万円程度の金額であり,9割の症例は4万円以下で収まっていた.心臓カテーテル治療や入院の為に200万円を超える高額を要した事例もあり,保険の加入が好ましいと考えられた.
  • 黒岩 澄志, 宮川 哲夫, 森岡 幹, 佐々木 康, 中山 健
    2020 年 80 巻 6 号 p. 536-545
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    消化器がん・肺がん・乳がんの術後患者に対するリハビリテーションのエビデンスは報告されているが,婦人科がん周術期に対するリハビリテーション効果に関する報告は現在全く認めない.そこで,婦人科がん周術期患者に対し,術後退院までリハビリテーションを実施した群と実施しなかった群それぞれにおいて術前後で筋力,運動耐容能,不安,健康関連生活の質(HRQOL)に差がみられるかについて検討した.2018年4月1日から2019年12月31日までにA病院で婦人科がんを手術された44名を対象とした.44名のうち22名は手術後退院までリハビリテーションを実施した群(以下:介入群),22名は手術後退院までリハビリテーションを実施しなかった群(以下:対照群)とした.評価項目は筋力(膝伸展筋力),運動耐容能(6分間歩行距離),不安尺度(STAI),HRQOL(EORTC QLQ-C30)とし,これら項目を介入群,対照群ともに手術前と退院時に評価し,比較検討した.結果は,手術そのものによる影響と入院による影響で,リハビリテーションの有無に関わらず対照群,介入群ともに筋力,運動耐容能,HRQOLの多くの項目で術前と比較すると有意に低下しているが,入院中にリハビリテーションを実施することでその低下を最小限にすることができることが示唆された.しかも,対照群は退院直後日常生活に支障を来す筋力と運動耐容能のままで退院していることが明らかになった.消化器がん術後リハビリテーションに関する報告は幾つかあり,本研究においても,対象が婦人科がんであり消化器がんでないことを考慮しても基本的には開腹手術後であることから,リハビリテーションを実施したことによって筋力,運動耐容能,疼痛,倦怠感が対照群と比較し有意に改善したと考えられる.介入群はリハビリテーションを実施することによって筋力,運動耐容能,倦怠感,痛みなどが改善し,手術や入院による機能低下を予防し,経済的負担や家庭や社会における役割といった退院後に関わるHRQOLの改善に寄与することができたと考えられる.本研究の結果が,婦人科がん術後の社会生活を支援できる一助になることを期待する.
  • 椿 美智博, 下司 映一, 藤後 秀輔, 熊沢 真弓, 田中 伸
    2020 年 80 巻 6 号 p. 546-556
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    救急終末期における意思決定は家族に委ねられることがほとんどであり,これには臓器提供の意思決定も含まれる.適切なタイミングによる選択肢提示は,家族による患者本人の臓器提供意思の確認や,家族同士の話し合いを促すなど,臓器提供に関連する行動のきっかけにつながる可能性が推測される.これより,アンケートを使用した臓器提供の選択肢提示が家族の行動を促す効果を検証した.対象は三次救急で搬送され,1週間以内に亡くなった患者の家族である.本研究における介入はアンケートを使用した臓器提供の選択肢提示である.介入の有無は来院した日付によって準無作為に決定した.調査は在院時の「看護記録」,介入に使用した「アンケート」,死亡から8週後に行った「郵送質問紙調査」とした.111名(36.3%)から有効回答を得た.選択肢提示介入の有(51名:45.9%),無(60名:54.1%)で臓器提供に関連する行動に差はみられなかった.対象を層別すると,患者が生産年齢(66.7% vs 12.5%,p=0.04),家族が女性(24.1% vs 3.1%,p=0.02),家族が混乱している(40.0% vs 0.0%, p=0.004),例で介入により臓器提供に関連する行動である「家族の話し合い」が増加した.アンケートが臓器提供に関連する行動を促す効果は限定的ではあるが,一部の家族において臓器提供に関連する行動を促していた.より丁寧な臓器提供の選択肢提示には段階的な介入が重要であり,初期段階の対応として有効である可能性が示唆された.
症例報告
  • 江畑 晶夫, 青木 真史, 高瀬 眞里子, 櫻井 裕子, 櫻井 基一郎, 阿部 祥英
    2020 年 80 巻 6 号 p. 557-562
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は在胎36週で出生した女児である.胎児期から羊水過多を指摘され,生直後から重度の筋緊張低下があり,啼泣や体動はほとんど認められなかった.酸素投与は不要であったが,呼吸補助のため経鼻的陽圧換気を要した.また,嚥下運動がみられず,栄養管理は経鼻胃管を要した.本児はFloppy infantであり,当初は神経筋疾患が疑われた.人工呼吸器や経管栄養の離脱に時間を要したが,筋症状が緩徐に改善したことがPWSを鑑別する契機になった.遺伝学的検査ではDNAメチル化試験が本児の診断に有用で,時間経過とともに症状が改善したことに留意し,PWSを乳児期早期に確定診断できたと考えられた.
  • 豊田 純也, 齋藤 秀嘉, 阿部 祥英, 水野 克己
    2020 年 80 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    Gitelman症候群は,遠位尿細管上皮細胞膜に発現するNa-Cl共輸送体をコードするSLC12A3遺伝子の変異により発症し,低カリウム血症,代謝性アルカローシス,高レニン・アルドステロン血症,低身長,痙攣,テタニーなどを呈する.今回,肺炎を契機にGitelman症候群の診断に至った兄弟例を経験したので報告する.[症例1(兄)] 生来健康な10歳の男児である.咳嗽を近医で加療され,改善しないため,検査を施行された.肺炎のほか,低カリウム血症,心電図でQT延長が認められ,入院した.高血圧はなく,レニン活性の亢進とアルドステロン値の上昇を認めた.カリウムの補充により低カリウム血症とQT延長は改善した.[症例2(弟)] 生来健康な9歳の男児である.咳嗽と発熱のために当院を受診し,マイコプラズマ肺炎の診断で抗菌薬を投与された.血液検査で低カリウム血症を認め,悪化したために入院した.カリウムの補充にて低カリウム血症が改善した.兄弟で低カリウム血症が認められたため,遺伝子検査を施行し,ともにSLC12A3遺伝子の2か所 (c.179C>Tとc.781C>T)にヘテロ接合性変異を認め,Gitelman症候群の診断に至った.Gitelman症候群は血液検査をきっかけに診断されることがあり,低カリウム血症を認める場合は鑑別診断に挙げる必要がある.
  • 朝倉 眞莉子, 佐藤 仁, 宮本 裟也, 鈴木 麻衣子, 笹間 雄志, 筑田 洵一郎, 瀧本 玲子, 嶋根 俊和, 代田 達夫
    2020 年 80 巻 6 号 p. 570-575
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    腺腫様歯原性腫瘍はまれな歯原性腫瘍で,その多くは埋伏歯を伴い上顎骨内に生じる.今回われわれは下顎骨に生じた埋伏歯を伴わない腺腫様歯原性腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は25歳,女性.1年程前より左側下顎犬歯部歯肉の腫脹が生じ,次第に増大してきたため精査・加療目的に当科を受診した.当科初診時には,左側下顎小臼歯部の唇側歯肉に無痛性腫脹が認められた.パノラマX線およびCTでは,埋伏歯は認められず左側下顎犬歯と左側下顎小臼歯の歯根間に11×10×8mm大で内部に不透過像が点在する境界明瞭な透過性病変が認められた.下顎骨歯原性腫瘍の臨床診断の下,局所麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的には,円柱状の腫瘍細胞が花冠状の細胞巣を呈しながら環状配列を示していた.腺管状構造を形成する部位では,その内部に硬組織片や小石灰化物を含んでいたことから,腺腫様歯原性腫瘍と診断した.術後2年が経過した現在,明らかな再発を示す所見は認められていない.埋伏歯を伴わない腺腫様歯原性腫瘍はExtrafollicular variantとされ,報告例が少ないことから,症例の蓄積が必要とされている.本腫瘍の再発はきわめてまれとされているが,今後も慎重な経過観察を行う予定である.
  • 中山 真由子, 槇 宏太郎
    2020 年 80 巻 6 号 p. 576-585
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    水平的な骨格的不調和を示す顔面非対称における成人不正咬合患者の治療方針は機能的な咬合の確立,審美的な顔貌の改善のために外科的矯正治療を第一選択とする.しかしながら外科的矯正治療は手術に伴う侵襲や入院等の制約のため,患者や家族の同意を得ることが困難な場合もある.そのため矯正治療単独での改善は,上下顎骨の不調和を考慮に入れた上で代償的な配列とならざる得ない「カモフラージュ治療」が必要となる.初診時年齢 41歳 11か月の女性,噛み合わせと顔の歪みの改善を主訴に来院した.当科にて検査・診断を経た後,外科的矯正治療も検討したが患者本人の希望により顔面非対称の改善は望まず矯正治療単独でのカモフラージュ治療にて不正咬合を改善した.オトガイの右側偏位は残ったものの,患者の主訴である機能的咬合が得られたため治療前後における下顎骨の顎位および咬合の変化について報告する.現在は定期的な経過観察と保定管理を行っている.今後も下顎運動時の咬頭干渉や下顎側方偏位の変化に留意しながら長期経過を確認していく必要性が考えられる.
  • 小島 永稔, 木内 達也
    2020 年 80 巻 6 号 p. 586-591
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
    比較的まれな疾患である腹壁子宮内膜症の経験をしたため,若干の文献的考察を加えて報告した.手術創に生じる腹壁子宮内膜症の頻度は内膜症全体の0.03-3.5%と決して多くはないが,本邦では内膜症の罹患率と帝王切開率はともに上昇しており,われわれが本疾患に遭遇する機会は今後増加することが予想される.女性の腹部瘢痕に生じ,月経と一致した腫脹や疼痛などの症状を認める腫瘤では常に本疾患を鑑別にあげる必要があり,その術前診断にはMRIが有用であると考えられた.
第366回昭和大学学士会例会(医学部会主催)
第367回昭和大学学士会例会(保健医療学部会主催)
第29回昭和大学学士会シンポジウム
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