難治性喘息に対する生物学的製剤は有効な治療選択肢である.一方,経口ステロイド(OCS, Oral corticosteroid)を含む短期全身性ステロイド(SCS, systemic corticosteroid bursts)による治療が散見される.呼吸器専門医が非常勤や不在の市中病院もあり,市中病院におけるSCS治療に着目し,気管支喘息診療の実態を報告する.本研究では,2019年4月から2020年3月までに,たちばな台病院呼吸器科外来を受診した気管支喘息患者61例を後方視的に解析し,SCS治療を要した症例の臨床所見を考察した.SCS群16例および非SCS群45例で比較検討した.SCS群では,末梢血好酸球数が有意に上昇し,呼吸機能検査で予測1秒量が有意に低下し,有意に副鼻腔炎を合併していた.SCS群16例中10例は過去2年間でSCS治療を繰り返していた.SCS治療を要する症例に対し,末梢血好酸球数上昇や低肺機能の検索および合併症の評価を行い,治療の見直しを行うことが重要である.
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