昭和学士会雑誌
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特集号: 昭和学士会雑誌
73 巻, 4 号
特集:知っておくと役に立つ小児科の知識
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特集:知っておくと役に立つ小児科の知識
最終講義
原著
  • 長村 蔵人, 北見 由季, 末木 博彦, 中田 土起丈, 保坂 浩臣
    2013 年 73 巻 4 号 p. 375-381
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/06/23
    ジャーナル フリー
    1990年4月より2010年3月までの20年間に昭和大学病院附属東病院皮膚科を受診し,外用薬による接触皮膚炎が疑われパッチテストを施行された316名(男101名,女215名,平均年齢50.1歳,SD 21.8歳)を対象とした.対象者の疾患は湿疹・皮膚炎群が277名(87.7%)で,そのうち242名(76.6%)は接触皮膚炎であった.パッチテストは被疑薬剤を軟膏,クリーム基剤はFin Chamber®を,液体基剤はパッチテストテスター「トリイ」を用いて健常皮膚に貼付し,48時間後に除去した.光接触皮膚炎が疑われた3名に対しては,2系列の貼付を行い,一方を24時間後に除去,1/2 MED(minimum erythema dose)のUVAを照射した.判定は72時間後にICDRG(International Contact Dermatitis Research Group)基準に基づいて施行し,+~+++(光パッチテストはPh+~Ph+++)を陽性とした.貼付した薬剤の内訳はステロイド外用薬97名,点眼薬85名,抗菌剤63名,非ステロイド系消炎剤49名等で平均貼付数は2.94であった.陽性反応は316名中107名(33.9%)に認められ,非ステロイド系消炎剤のブフェキサマク15例,消毒薬のポピドンヨード13例の順に多かった.今回の検討からブフェキサマクに限らず,NSAIDs外用薬はriskの大きい薬剤群と考えられた.ポピドンヨードによる接触皮膚炎は減少傾向が認められた反面,止痒剤による接触皮膚炎は増加しており,接触皮膚炎を生じる薬剤にも変遷がみられた.原因物質は必ずしも主成分ではなく,塩化ベンザルコニウムなどの基剤による接触皮膚炎も認められ,原因薬剤のみならず原因物質の同定が望ましいと考えられた.硫酸フラジオマイシンに対する感作者の増加には,含有されている薬剤の眼瞼への汎用が影響している可能性が高かった.したがって,外用薬の使用に際しては感作性と使用部位を考慮して選択する必要があると考えた.他方,酢酸トコフェロール(Vit. E),防腐剤であるパラベンなど,接触皮膚炎を生じる頻度が稀な化学物質で生じた例も認められており,あらゆる物質が接触皮膚炎を生じる可能性を念頭に置いて外用薬を用いる必要があると考えた.
  • ―慢性うつ病の定義と関連して―
    清水 勇人, 高塩 理, 岡島 由佳, 秋田 亮, 野口 賢吾, 梅村 絵里, 長谷川 澄, 尾鷲 登志美, 加藤 進昌, 岩波 明
    2013 年 73 巻 4 号 p. 382-388
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/06/23
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,DSM-IV-TRによって診断したうつ病性障害は,うつ病相期間により病態が異なるという仮説について検証する.2010年2月15日から同年3月31日の期間に昭和大学病院附属東病院精神神経科外来に2年以上の継続受診歴がある,うつ病性障害患者463名を対象とし,後方視的に診療録調査を行った.また,慢性うつ病をCassanoらに準拠し,「うつ病相が2年以上間断なく継続しているもの」と定義し,慢性うつ病群90名と非慢性うつ病群373名に分け,統計学的に比較検討した.対象の調査時年齢を20~59歳と60歳以上の2群に分けた場合,ほぼ同数であった.女性は全体のおよそ6割であり,平均発症は40代後半であった.発症から受診までの期間は,平均して半年程度であり,うつ病相回数は,1回の者が6割程度を占めていた.非就労期間の平均は,およそ1年半程度であり,長期に就労できていない者も存在した.うつ病性障害患者のうち,慢性うつ病群は90例,非慢性うつ病群は373例であった.両群をt検定またはχ2検定で比較した結果,慢性うつ病群では有意に,調査時年齢は低いこと,発症年齢は早いこと,発症から受診までの期間は長いこと,うつ病相回数は少ないこと,中退者が多いこと,非就労期間が長いこと,アルコール依存症の併存率が高いことが分かった.薬物療法については,慢性うつ病群では,三環系・四環系抗うつ薬,その他の抗うつ薬,増強療法としての気分安定薬や抗精神病薬の使用経験がある者の割合は有意に高かった.次に,ロジスティック回帰モデルを用いた多変量解析を行った結果,発症年齢,発症から受診までの期間,うつ病相回数,非就労期間において有意差が認められた.薬物療法では,その他の抗うつ薬の使用経験がある者においてのみ有意差が認められた.うつ病性障害は,うつ病相期間により病態が異なることが示唆された.
  • 田中 典子, 田中 雅輝, 桑迫 勇登
    2013 年 73 巻 4 号 p. 389-396
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/06/23
    ジャーナル フリー
    レミフェンタニルは強力な鎮痛作用をもつ長短時間作用性の麻薬性鎮痛薬である.今回われわれは婦人科開腹手術においてレミフェンタニル通常量(0.25μg/kg/min:0.25γ群)または高用量(1μg/kg/min:1γ群)を用いて全身麻酔管理を行い,術中の血中ストレス反応の推移および術後のQOLについて検討を行った.2012年7月から2013年3月の期間に昭和大学藤が丘病院にて硬膜外併用全身麻酔により管理を行った婦人科開腹手術症例24例を対象とした.書面による同意を得た後に患者を無作為に0.25γ群,1γ群に振り分けた.プロポフォール,ロクロニウムにて麻酔を導入し,空気,酸素,セボフルランおよびレミフェンタニル0.25μg/kg/minまたは1μg/kg/minにて麻酔を維持した.術後鎮痛には0.25%レボブピバカインの硬膜外持続注入を施行した.麻酔導入後,手術開始10分後,手術開始30分後,閉創開始時に血液を採取し,カテコラミン,コルチゾール,ACTH,血糖,インスリンの値を測定し,手術終了後には輸液量,尿量を測定した.また術後のQOLについても調査を行い,それぞれの項目について比較検討を行った.術中のカテコラミン,ACTH,コルチゾール,血糖,インスリンはすべて1γ群において低値を示す傾向を示した.特にノルアドレナリンとドーパミンは術中を通して有意に上昇量が少なく,ノルアドレナリンは手術開始10分後,手術開始30分後,閉創開始時における上昇量が0.25γ群においてそれぞれ181.6±117.4pg/ml,267.3±129.4pg/ml,190.9±114.4pg/mlだったのに対し,1γ群では37.3±73.4pg/ml,124.5±108.4pg/ml,86.1±69.6pg/mlであり全ての時期において有意差を認めた(n=12,p<0.05).ドーパミンは手術開始10分後,手術開始30分後,閉創開始時における上昇量が0.25γ群においてそれぞれ6.3±5.5pg/ml,25.2±10.5pg/ml,17.9±9.0pg/mlだったのに対し,1γ群では1.1±4.5pg/ml,13.3±9.0pg/ml,9.8±7.4pg/mlであり全ての時期において有意差を認めた.術中の尿量は0.25γ群において111±55ml,1γ群において216±156mlであり1γ群で有意に多かった.術後QOLに関しては両群間に差がなかった.婦人科開腹手術では,レミフェンタニルを高用量にて投与することにより,手術侵襲によるストレス反応をより抑制できることが示唆された.
症例報告
  • 福田 直, 小林 信介, 北原 功雄, 水谷 徹
    2013 年 73 巻 4 号 p. 397-402
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/06/23
    ジャーナル フリー
    視交叉部転移性腫瘍は非常にまれで,本報告を含め3つの症例報告を認めるに過ぎない.過去の2症例はいずれも生検後全脳照射を施行しており,症例1は治療6か月後に死亡,症例2は放射線治療後若干の視野の改善を認めたが18か月後に再発し全盲となり治療32か月後に死亡しており,機能生命予後は極めて不良である.本症例は60歳女性,肺腺がんに対しシスプラチンとゲムシタビンによる化学療法を1クール施行した.3か月後に急激な視力低下を認めたため化学療法2クール目を施行したが,視力はさらに悪化し1か月後には右視力喪失,左視力手動弁となった.画像上視交叉に限局する転移性腫瘍を認め,サイバーナイフによる40Gy/8分割定位放射線治療を施行し,1か月後には急速な視力視野の回復と画像上の腫瘍消失が得られた.その後16か月間再発,視力低下を認めず,日常生活自立し,QOLは維持された.
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