昭和学士会雑誌
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特集号: 昭和学士会雑誌
74 巻, 2 号
特集:褥瘡に対するチームアプローチ
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
特集:褥瘡に対するチームアプローチ
原著
  • 盛 直博, 奥 和典, 丸井 輝美, 桑迫 勇登, 大嶽 浩司
    2014 年 74 巻 2 号 p. 154-162
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    近年ビデオモニタを装備した間接視型喉頭鏡が開発され,その操作性に注目が集まっている.ビデオ喉頭鏡はブレードの先端付近にCCDカメラを有しており,カメラで捉えた声門部の画像をモニター画面で確認することで気管挿管操作を行う.すなわち従来の直接視型喉頭鏡のように声門部を直視できなくても,ブレード先端のカメラで声門を確認できれば気管チューブを気管に誘導することが可能である.従来のMacintosh型喉頭鏡に対する有意性を示す報告はこれまで多くみられるが,各ビデオ喉頭鏡の間での操作性の比較においては一定の見解が得られていない.今回チューブガイドのないビデオ喉頭鏡であるGlidescope®(G群),Kingvision®スタンダードブレード(K群),McGRATH®(M群)を全身麻酔の気管挿管の際に用い,挿管時間,喉頭視野を比較検討した.本研究は昭和大学医学部医の倫理委員会の承認を得ている.気管挿管を用いた全身麻酔を施行する定期手術患者で,書面での同意が得られたASA1から3の患者,各群30名ずつ計90名を対象とした.3種類のうちどのデバイスを用いるかは入室時に無作為に決定された.全身麻酔の導入にはプロポフォール,ロクロニウム,レミフェンタニル,フェンタニルを使用し,マスクによる十分な酸素化ののち気管挿管を施行した.気管挿管は麻酔科専門医以上が担当した.主要評価項目は挿管時間,喉頭視野の尺度であるCormack/Lehane分類であり,挿管施行者とは独立した評価者が計測を行った.ここで挿管時間とは,デバイスを手に持った時点から挿管後呼吸バッグを押して胸郭の拳上を確認した時点までの時間とする.気管挿管はすべての群において全例1回目で成功し有害事象の発生はなかった.挿管時間はG群で32.24±7.07秒,K群で32.07±6.17秒,M群で28.65±5.78秒となり,G群・K群に比較してM群で有意に挿管時間が短くなった(P<0.05).喉頭視野はG群・M群に比較してK群で有意にCormackグレードが低くなり,M群はG群に比較してCormackグレードが有意に低下した.M群では喉頭展開から挿管終了までの時間が他群に比較して有意に短かったことが挿管時間全体の短縮に寄与したと思われる.このことはMcGRATH®において気管チューブを声門部に誘導する際の操作性が優れていることを示唆している.3種類のチューブガイドのないビデオ喉頭鏡のうちMcGRATH®は有意に短い時間で挿管可能であった.
  • 鈴木 諭子, 明石 定子, 池田 紫, 金田 陽子, 中島 恵, 繁永 礼奈, 大山 宗士, 吉田 玲子, 鈴木 研也, 桑山 隆志, 榎戸 ...
    2014 年 74 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    背景:造影マンモグラフィは,ヨード造影剤を用いてヨードのk吸収端である33keVを挟んだ上下2つのX線エネルギー画像を撮影し,その画像情報の差から背景乳腺信号を抑制して造影剤信号を強調する技術である.国内では2011年に薬事承認を取得した新しい検査法であり,通常のマンモグラフィ(MMG)では病変が検出し難い高濃度乳腺などの乳房において,病変の検出に期待されている.今回われわれは,特に高濃度乳腺を有する日本人女性に対し造影MMGを施行し,乳癌診断における造影MMGの有用性を検討する目的で本研究を実施した.対象と方法:2011年6月~2013年6月の期間においてMMGもしくは乳房超音波検査で悪性が否定できない病変を有する患者のうち,本研究参加を書面にて同意した47人51乳房が対象となった.通常のMMGおよび造影MMGを施行し, 通常のMMG診断はマンモグラフィガイドラインにより5段階の基準に定められるcategory 3以上を陽性と判定した。造影MMGの検査方法は,健側前腕の静脈から1.5ml/kgの非イオン性造影剤を3ml/秒の速度で投与し,投与開始から2分後に患側Mediolateral oblique方向で撮影を行い,次にCraniocaudal方向,次いで健側2方向において低エネルギーと高エネルギーのペア画像を撮影した.造影効果の判定については,アーチファクトとして描出される乳房辺縁部分の淡い造影より強い造影効果を陽性として,病理組織結果との対比を行った.さらに通常のMMGと造影MMGの乳癌の検出能についてMcNemar検定を実施して比較し,p値0.05以下を有意と判定した.結果:51乳房中,悪性は37例,良性は14例であり,通常のMMGでは悪性病変37例中21例で所見を認め,感度は56.8%,特異度50.0%,正診率は54.9%であった.それに対し造影MMGでは悪性37例中32例に造影効果を認め,造影MMGによる乳癌診断の感度は86.5%,特異度は78.6%,正診率は84.3%であり,感度は,造影MMGにおいて有意に向上した(p<0.05).また悪性症例37例中,16例(43%)は悪性病変があるにもかかわらず通常のMMGでは所見を認めず,異常なし,もしくは別の明らかな良性病変のみの所見と判定されたが,造影MMGを追加したところ16例中13例(81%)で病変が造影され,感度の改善に貢献した.特異度は50% vs 73.8%と向上しているが,良性病変が少なく,統計学的有意差は認めなかった.石灰化病変においては,悪性病変14例中12例(86%)で造影効果を認め,一方,良性4例中造影されたのは1例(20%)のみであり,石灰化病変の良悪性鑑別にも造影MMGは適していると考えられた.結論:造影MMGは通常のMMGよりも高い乳癌検出率を要し,日本人に比較的多い高濃度乳腺や若年女性の乳癌検診に適していると考えられる.また近年注目されつつある遺伝性乳癌BRCA1/2変異陽性の高リスク患者における乳癌スクリーニング検査として,MRIより安価であり,施設が限定されず簡便に行えることから,今後臨床の場における発展が期待される.
  • 畑 明宏, 田中 和生, 戸村 道夫
    2014 年 74 巻 2 号 p. 172-182
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    ウイルス特異的CD8陽性T細胞はウイルス感染が起こると増殖し,感染細胞の排除と共にその数を収縮して行く.これらの期間はそれぞれ増殖期,収縮期と呼ばれる.その後,一部のウイルス特異的CD8陽性T細胞はメモリーT細胞として維持され,再感染に備えている.このエフェクター細胞からメモリーT細胞への分化・維持には抗原やサイトカインが重要であることが分かっているが,全身を移動しているT細胞がいつ,どこでこのような刺激を受けているかほとんど分かっていない.そこでわれわれは,ウイルス感染後のT細胞増殖,収縮期において抗原と炎症性サイトカインの豊富な感染部位とメモリーT細胞維持期におけるメモリーT細胞の動態に着目し,感染部位がCD8陽性T細胞に与える影響とメモリーT細胞維持期における所属リンパ節のメモリーT細胞の動きについて調べた.実験には紫色の光によって細胞を標識できるKaedeマウス,リンパ系細胞が細胞周期に応じて発色するFucciマウス,卵白アルブミン(Ovalbumin,OVA)特異的T細胞レセプター(TCR)を持つRAG2-KO/OT-Iマウス,感染するとOVAを感染細胞で発現するワクチニアウイルス(VV-OVA)を用いた.はじめに,ウイルス感染部位(皮膚)からOVA特異的CD8陽性細胞(OT-I細胞)がリンパ節に移動するか調べた.感染から7日目に感染部位に浸潤していたOT-I細胞は24時間後に約50%以上が入れ替わり,これら感染部位に浸潤していたOT-I細胞は所属リンパ節をはじめ全身の組織内で観察された.しかし感染15日目になると感染部位にいるOT-I細胞は入れ替わりも移動もほとんど観察できなくなった.感染7日目に感染部位から所属リンパ節に移動したOT-I細胞は所属リンパ節に存在する他のOT-I細胞よりもT細胞の維持に関与するサイトカインの受容体であるIL17R(CD127)やIL-15Rαの発現が高かった.感染6日目から8日目に感染部位を経由するOT-I細胞は所属リンパ節,脾臓,肝臓と肺組織内に存在するOT-I細胞の約10%を占めた.これら感染部位から移動したOT-I細胞は22日目においても各組織で観察できた.即ち,感染部位のウイルス特異的CD8陽性T細胞の一部は所属リンパ節を介して,全身に再循環している事が分かった.また感染部位から所属リンパ節に移動したウイルス特異的CD8陽性T細胞はメモリーT細胞としての表面マーカーを有しており,メモリーT細胞として長期間維持される事が示唆された.従って,メモリーT細胞の形成において,感染部位はT細胞にメモリーT細胞としての維持に必要なサイトカイン受容体の発現を誘発させている事が示唆され,またメモリーT細胞維持期においてメモリーT細胞はリンパ節間を移動することにより,その維持に必要な刺激を受け取る事が出来ると考えられた.
  • 丸井 輝美, 桑迫 勇登, 篠田 威人, 盛 直博, 大嶽 浩司
    2014 年 74 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    目的:近年多くの間接視型喉頭鏡が発売され,実際に臨床現場で用いられており,その操作性が注目されている.直接視型喉頭鏡では,挿管施行者が声門部を直接視することが不可欠である一方,間接視型喉頭鏡では,ブレード先端のカメラや光学チャネルからの画像により,声門を確認できれば気管チューブを気管に誘導することが可能である.各機種でさまざまな特徴があり,それぞれに対して直接視型喉頭鏡との比較研究が行われてきており,高い挿管成功率や挿管時間の短縮などの有用性が報告されている.しかし,間接視型喉頭鏡の間で操作性を比較した報告は少ない.そこで今回,3種類のチューブ誘導機能付き間接視型喉頭鏡Airtraq®(ATQ),Kingvision® (KV),Airwayscope®(AWS)を全身麻酔導入時の気管挿管に使用し,挿管時間と声門の視野(Cormack/Lehane分類)を比較検討した.対象:本研究は昭和大学藤が丘病院臨床試験審査委員会の承認を受けて行われた.気管挿管を用いた全身麻酔下で定期手術が予定された患者のうち,文書による同意を得た患者90人を対象とした.20歳未満,ASA分類4以上,挿管困難が予想される者は除外した.方法:手術前日までにASA分類,年齢,性別,身長,体重,Mallanpati分類,開口度を記録した.ATQを使用するものをATQ群,KVを使用するものをKV群,AWSを使用するものをAWS群とし,各群30人とし,どの機種を用いるかは入室時にランダムに決定された.プロポフォール,レミフェンタニル,ロクロニウムにより全身麻酔を導入し,十分な酸素化の後に気管挿管を行った.気管挿管は日本麻酔科学会認定医以上のものが行い,挿管施行者と別の評価者により,挿管時間,声門の視野が計測,記録された.挿管時間は開口から声帯視認までと声帯視認から挿管までと挿管から換気までに細分して計測した.結果:気管挿管は90人とも1回目で成功し,歯牙や口腔内の損傷などの合併症の発生はなかった.挿管時間はKV群で28.3±6.1秒,AWS群で28.4±7.2秒,ATQ群で40.0±11.4秒であり,KV群,AWS群で有意に短かった(p<0.0001).声門の視野はAWS群では全例Cormack分類I度であったのと比較してATQ群ではCormack分類II度とグレードが低かった症例が8例あった(p<0.005).考察:KVとAWSは,挿管時口腔内から声門までを連続して観察することができ,より確実に,迅速に機器の先端を声帯に到達させることができるため,声帯視認までの時間が早く,チューブの誘導もより速やかに行うことができたと考えられる.KVとAWSで声帯視認,挿管までの時間に差が出たが,AWSの喉頭蓋自体を挙上して声門を見るという特徴が関連していると考えた.また,この喉頭蓋自体を挙上するという特徴によりAWSで良好な声門の視野が得られたと考えた.
  • —判例と医療関連死解剖例の分析をもとに—
    岡部 万喜, 佐藤 啓造, 藤城 雅也, 入戸野 晋, 加藤 礼, 石津 みゑ子, 小渕 律子, 福地 麗, 大宮 信哉, 李 暁鵬, 九島 ...
    2014 年 74 巻 2 号 p. 190-210
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    近年,医療事故訴訟が絶対数の増加にとどまらず,相対的にも増加している.しかし,どのような事例で刑事責任を問われ,あるいは民事訴訟を提起されるかを,実際の裁判例と医療死亡事故解剖例の両面から分析した報告はみられない.本研究では医療訴訟が提起される確率の高い,医療死亡事故と重い後遺障害が残った事例の判例を分析するとともに,法医学講座で扱われた医療関連死の解剖12例を分析することにより,どのような事例で刑事責任を問われるか,あるいは高額な損害賠償を命じられるか,もしくは低額の慰謝料の支払いにとどまるか,さらに,まったく責任を問われないか,裁判と解剖の実際例の分析をもとに同種の事故発生および訴訟提起を予防することに重点を置いて検討した.その結果,まず判例の分析から,診療を拒否すると民事責任を問われる可能性があること,患者本人に詳細な病状説明が困難な,たとえば末期がんの事例では家族への説明義務を果たさないと民事責任を問われること,昭和末期から平成10年代にかけ癌の告知が家族主体から本人主体へと移行し,時代の変化に対応した告知を行わないと民事責任を問われること,その時点での医療水準に適った医療を行わないと民事責任を問われること,治療に際し,患者は医師に協力しないと損害賠償・慰謝料の支払いを受けられないこと,医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在が証明されなくても,医療水準に適った医療が行われていれば,患者がその死亡の時点で,なお生存していた可能性が証明されるときは医師が不法行為による損害を賠償する責任を負うこと,看護師の薬物誤認が原因の過誤であっても指示した医師も民事責任を問われる可能性のあること,医師の指示自体が誤っていても,それを医師に確認せず,そのまま処置をした看護師にも民事責任が問われること,医療過誤刑事裁判では「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の鉄則が適用されず,被告の過失というより医療機関の設備や医療システムの問題が主因の場合でも直接,医療行為に当たった医師,看護師が刑事処罰される危険性があること,重大な過誤の場合,主治医だけでなく,指導医,さらに診療科長まで刑事処罰される危険性があることなどが明らかとなった.次に,解剖例の分析から,事故および訴訟の予防対策として,医師は看護師から要請があったら必ず真摯に診察すること,医師は常に患者の急変の可能性を念頭におくこと,看護師も患者の病状を常に念頭に置き,当直医に連絡して診察がないときは主治医まで連絡すること,医師は必要でない治療を行わないこと,医師は自分の専門領域の疾患だけにとらわれず,患者の全身,心の中まで診ること,腹痛や頭痛を訴える患者には医師も看護師も特に慎重に対応することなどが挙げられた.以上の結果から,民事訴訟の発生を防ぐには,医師や看護師らの医療従事者は至誠一貫の精神のもと,常に患者および家族に対して誠実に対応するとともに,医療従事者間の壁を取り除き,チーム医療によるダブルチェックシステムを構築することが肝要であると考えられる.
  • 小菅 正太郎, 徳永 義郎, 和田 悦洋, 伊藤 勇, 高橋 春男
    2014 年 74 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    目的:イエロー着色アクリル眼内レンズ(IOL)のAN6K(KOWA社)は超音波乳化吸引術およびIOL挿入術において,術後屈折度がメーカー推奨A定数による予想屈折度よりも近視側にずれる.同レンズに対するA定数を算出した報告は未だ無く,今回AN6Kの当院パーソナルA定数を算出し検討を行った.対象:2008年7月より2009年4月までにAN6Kを嚢内に挿入後2か月以上経過観察し,超音波Aモード法およびIOLマスターTMの両方で眼軸長測定可能であり,その結果が22.0mm以上24.5mm未満の標準眼軸長眼で角膜乱視2D以内,矯正視力0.8以上を得られた46症例69眼.手術は複数の術者が施行し,IOL度数の計算式はSRK/T式を使用した.結果:術後屈折誤差(平均±標準偏差)はAモード法-0.41±0.57D,IOLマスター-0.58±0.53Dであった.Aモード法でのメーカー推奨A定数は118.7に対し,今回算出した当院パーソナルA定数は平均118.5であった.IOLマスター用A定数は119.5に対し,今症例での当院パーソナルA定数は平均119.2であった.IOLマスターにおいて,メーカー推奨A定数に比べ当院パーソナルA定数は統計学的に有意に少ない値であった.結論:メーカー推奨A定数を使用した場合の術後屈折誤差は近視化を認めた.
  • 井口 暁洋, 齊藤 哲也, 青木 いづみ, 城井 義隆, 大下 優介, 尾又 弘晃
    2014 年 74 巻 2 号 p. 216-222
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    現在,転移性脊椎腫瘍症例の明確な離床基準は存在しない.ゆえに各病院および施設において,個別に対応を行っているのが現状である.2011年から2013年,当院では転移性脊椎腫瘍症例の離床依頼に際し,整形外科医に離床判断を依頼した症例が存在した.その結果,主治医による病棟安静度の指示は制限なしであるにもかかわらず,離床を延期せざるをえない症例を多数経験した.そこでSpinal Instability Neoplastic Score(以下SINS)を用いて離床時の安全評価の検討をした.結果,整形外科医による離床判断を行った症例は,SINS 7点以上で離床延期になる症例が有意に多かった.ゆえにSINS 7点以上の症例では,離床を行う際には十分な検討が必要であると思われる.また離床延期となった症例は,SINS内の各項目では,疼痛の有無,評価に採用した椎体の圧潰および後側方浸潤の項目に有意差を認めた.SINSによる離床時の安全評価は,臨床の現場において,医療従事者が脊椎疾患担当医に相談するひとつの根拠として利用が可能と考えられた.
臨床報告
  • —4症例の検討をもとに—
    富田 隆, 米島 美穂子, 小島 千賀子, 中西 利恵, 後藤 英和, 幸田 幸直, 文 鐘玉, 田中 勝也, 市川 卓生, 吉田 正
    2014 年 74 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/27
    ジャーナル フリー
    医薬品・医療機器等安全性情報報告制度における報告義務者として,業務上で医薬品および医療機器(以下,医薬品等)を扱う医療機関の関係者が位置づけられている.しかし,現状では厚生労働省に報告される情報の多くは,製薬企業を経て提供されたものであり,発生源の病院等からのものは少ない.最近,報告手段として電子メールの活用が図られたことから,積極的に報告する体制づくりを実施したので報告する.報告体制として,薬剤師が積極的に医師に医薬品等に起因すると考えられる副作用を経験していないか,機会を捉えては照会し,副作用・不具合症例があれば,医師より聞き取る.その聞き取り情報をもとに電子カルテシステムを活用して,薬剤部にて報告書の素案を作成し,同素案について当該医師と協議し,加筆修正等を実施後,厚生労働省へ電子メールで送信するシステムを確立した.報告体制を確立する前は,医薬品等によると考えられる副作用・不具合症例は見いだされてはいたものの,厚生労働省への報告は実施していなかった.体制を確立したことにより,これまで報告すべきであった症例を順次報告することができ,3か月間に4例を報告した.今後は,多職種の医療従事者で構成されている医療安全委員会において,副作用報告制度の啓発活動を行い,医薬品だけでなく医療機器を含めて,その安全性情報報告制度への取り組みが,病院全体に浸透するよう活動を深めていくことが重要であると考えている.
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