昭和学士会雑誌
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特集号: 昭和学士会雑誌
74 巻 , 4 号
特集:リハビリテーション医学の現状と展望
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特集:リハビリテーション医学の現状と展望
原著
  • 川上 知子, 由良 明彦, 小川 勝利, 稲垣 昌博, 小口 勝司, 東風平 秀博, 岩井 信市, 龍 家圭, 三邉 武彦
    2014 年 74 巻 4 号 p. 403-412
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    酸化ストレスは,生活習慣病により生じる動脈硬化の一因とされる.近年,血漿酸化ストレス度を簡便に測定できるDiacron-Reactive Oxygen Metabolites(d-ROMs)テストおよび血漿抗酸化力を反映するBiological Antioxidant Potential (BAP)テストは,血中酸化ストレス総合評価に用いられている.血中の酸化ストレスにより,低密度リポタンパク質(LDL)は酸化LDLに変化するとされる.また,生体内において酸化ストレスに対する抗酸化反応も重要とされる.しかし,酸化ストレス度ならびに抗酸化力と血中脂質との関係についてはよくわかっていない.そこで,今回われわれは動脈硬化因子の1つである脂質と血液中の酸化ストレスとの関係を明らかにする目的で,本研究を行った.職域の集団検診受診者149名(男性98名,女性51名)を対象とした.d-ROMs値,BAP値,酸化LDLを測定した.BAP/d-ROMs値を酸化ストレス修正比(修正比)とした.修正比が12.5を超えるものは「非酸化ストレス状態」とし,修正比が12.5以下のものは「酸化ストレス状態」と仮定して比較した.酸化LDL,中性脂肪(TG),アポリポタンパク質B(ApoB)は,「非酸化ストレス状態」に比べ「酸化ストレス状態」で上昇を認めた.高密度リポタンパク質(HDL)は,「非酸化ストレス状態」に比べ「酸化ストレス状態」で低下を認めた.酸化ストレス度は酸化LDLと正の相関(R=0.376)を認め,抗酸化力はTGと負の相関(R=-0.503)を認めた.これに対して酸化ストレスとTGとでは相関を認めなかった.抗酸化力と酸化LDLでは負の相関を認められたが(R=-0.167),酸化ストレス度と酸化LDLの相関に比べ相関性は低かった.抗酸化力とTGの相関について抗酸化力が「低い状態」(BAP≦3500µmol/l)と抗酸化力が「正常状態」(BAP>3500µmol/l)で分け相関性を比較したところ,抗酸化力が「低い状態」では強い負の相関を認められたが(R=-0.585),抗酸化力が「正常状態」では相関関係は認められなかった.本研究により,酸化ストレスは酸化LDLを反映し,抗酸化力はTGと負の相関をすることが明らかとなった.このことから簡便に測定できる酸化ストレス度および抗酸化力を指標に用いることにより,動脈硬化の予防に寄与し,心血管リスクの指標に役立つ可能性が期待された.
  • ―生理・心理的指標を用いて―
    埜﨑 都代子, 宮﨑 友晃, 中館 俊夫
    2014 年 74 巻 4 号 p. 413-420
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    作業療法の受療者に適切な作業選択をするための基礎的情報を得るために,臨床でよく用いられる「ぬり絵(以下PA)」作業が対象者に与える生理的・心理的作用について,ストレス課題と想定される「内田クレペリン精神検査(連続加算課題,以下CA)」との比較において検討した.女性24名(平均21歳)を対象にPAとCAという2つの課題を実施した.前安静20分,作業前半15分,休憩5分,作業後半15分,後安静20分,計75分間,同一時間帯,場所にて1課題ずつ2日間,実施した.実験中,5分毎の唾液αアミラーゼ(以下SAmy),毎秒,心拍と脳血流量(酸素化ヘモグロビン濃度:oxy-HB)を継時的に測定した.また日本版POMS(Profile of Mood States)を用いて作業前後の気分を測定した.測定値平均の経時的変化と課題間の変化を分散分析法で,安静時と作業時の平均値を対応のあるt検定で,POMSはWilcoxonの符号付き順位和検定で差を検定した.有意水準は5%とした.その結果,心拍・脳血流量は作業中の変化はCAが大きいが,PAとCAに有意差はなく,両課題とも安静時より作業中は高値を示す類似した変化だった.一方,SAmyはPAとCAで異なる経時的変化を示し,両課題間には有意差が見られた.CAは安静時に対して作業中が有意に高値を示したが,PAは有意差がなく作業中低値の傾向もみられた.POMSによる気分の変化ではPAは「緊張・不安」「怒り・敵意」「活気」「抑うつ・落ち込み」「混乱」に有意な低下がみられた.CAは「緊張・不安」が高値となる傾向が示され,「活気」「混乱」のみ有意な低下を示した.以上から,自発的なPA作業が,CAにおける半強制的な計算作業と同程度の酸素要求量を持つ脳活動であるにもかかわらず,PA作業は心理的ストレスが認められない課題であることが示唆された.
  • 佐々木 寛, 滝 元宏, 宮沢 篤生, 中野 有也, 櫻井 基一郎, 三浦 文宏, 水野 克己, 板橋 家頭夫
    2014 年 74 巻 4 号 p. 421-427
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    インスリン様成長因子(insulin-like-growth factor-I:IGF-I)は成長や中枢神経系の発達に重要な役割を果たすことが知られている.そこで,当院で行っているearly aggressive nutrition(以下EAN)がIGF-Iに与える影響について検討を行った.2008年8月から2010年3月までに当院に入院した極低出生体重児44名のうち,先天奇形や死亡例を除きかつ臍帯血および生後2週間のIGF-I測定が可能であった25例を対象に成長や栄養摂取量との関連について検討を行った.その結果,1)生後2週間の体重SDスコアは出生時に比べて-1.0SD(95%CI:-1.2~0.8SD,P<0.001)低下したが,この間の血清IGF-I値には有意な変化は見られなかった.2)生後2週のIGF-I値を従属変数とし,在胎週数,出生体重,性別,生後2週間の累積蛋白質摂取量,累積エネルギー摂取量,最低体重から生後2週までの体重増加率を独立変数として重回帰分析を行ったところ,有意に関連する要因は出生体重(β=0.672,P=0.008)と体重増加率(β=0.366,P=0.036)であった.以上より,EAN施行下では体重SDスコアが減少してもIGF-I値は出生レベルに維持されており,この時点のIGF-I値を規定するのは出生体重と細胞外液量縮少後の体重増加であることが示された.
  • ―身体活動中突然死剖検例と安静時突然死剖検例との比較をもとに―
    廣渡 崇郎, 佐藤 啓造, 入戸野 晋, 藤城 雅也, 水野 駿, 金 成彌, 正村 謙二, 上西 将路, 安川 泰樹, 加藤 晶人, 李 ...
    2014 年 74 巻 4 号 p. 428-453
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    スポーツや身体活動が突然死の誘因となったと判断される事例が,ときどき報告される.しかし,身体活動中の心臓突然死剖検例と安静時心臓突然死剖検例を比較・検討した報告はみられない.本研究では昭和大学医学部法医学講座において行われた司法・行政解剖例のうち,身体活動中の心臓突然死15例とデスクワークないし安静時心臓突然死15例について司法解剖鑑定書もしくは行政解剖報告書の内容を詳細に検討するとともに,文献的考察を行い,身体活動中心臓突然死予防の資料とすることを目的とした.その結果,身体活動中心臓突然死で最も頻度が高いのは心筋梗塞を始めとする虚血性心疾患であり,スポーツイベント前のメディカルチェックとして従来から行われている検査のほか,運動負荷心電図,超音波検査による脂肪肝の有無,眼底検査による動脈硬化の程度を追加することを提言する.負荷心電図で虚血所見がみられるのにイベントへの参加を強く望む事例では冠状動脈動画撮影もしくは冠状動脈血管造影による冠状動脈の狭窄の程度を詳しく検索する必要がある.また,身体活動中心臓突然死解剖例で副腎の菲薄化が多くみられ,3次元CTによる副腎の厚さの測定をメディカルチェック項目に加えることを提言する.同様に,胸腺リンパ体質の所見がみられる人に身体活動中心臓突然死が多いので,CTや超音波検査による胸腺腫大の有無や大動脈径の計測をメディカルチェック項目に追加することを提言する.さらに,飲酒が身体活動中心臓突然死における虚血性心疾患による急性心不全の増悪に関与した可能性があるので,呼気のアルコール検査をメディカルチェック項目に加えることを提言したい.メディカルチェックシートについては「風邪気味であるか」を追加するほか,「昨夜は眠れたか」を「2晩以上眠れていないか」に変更することを提言する.さらに,「脳梗塞の既往はあるか」,「家族に40歳以下で死亡した人はあるか」を質問項目に追加することを提言したい.しかし,メディカルチェックシートによる質問では「ある」と答えると,大会に参加できないので,項目に該当しても,「ない」と答える可能性があることから,イベント前日に医師が参加者全員を診察し,異常があれば,心エコー検査などで精査することを提言する.また,開業医レベルでは運動負荷心電図はあまり行われていないようであり,ジョギングブームの中,負荷心電図をこまめに実施し,異状所見を示す事例ではジョギングではなく,散歩を勧めるよう提言したい.同様に,中・高年者が早朝空腹時にジョギングするのは危険な自殺行為であり,スポーツ飲料で十分,水分補給したうえで速歩にとどめるべきであると提言する.さらに,精神病院での内科的診療を充実させ,内科疾患による精神症状を精神科疾患と混同しないように注意していただくことと,大学病院での手術においても術後に予期せぬ急死が起こりうることを警告しておきたい.以上のような提言と警告をもとに,本来,健康増進のために行うスポーツにおいて目的と正反対の結果となる突然死の発生が少しでも減少することを祈念する.
症例報告
  • 片岡 洋子, 中納 治久, 槇 宏太郎, 宮澤 康, 山本 松男
    2014 年 74 巻 4 号 p. 454-466
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    矯正治療における便宜抜歯の第一選択は第一小臼歯だが,歯や歯周組織の優劣を精査し決定する必要がある.本症例は,初診時年齢34歳10か月の女性で,叢生を主訴に来院した.上顎両側犬歯の歯肉退縮,軽度の慢性歯周炎,叢生を伴うAngle I級の骨格性下顎前突と診断した.歯・顎顔面用コーンビームCT検査にて歯槽骨を精査し,上顎両側犬歯と下顎両側第一小臼歯を抜去した.マルチブラケット装置を用い良好な咬合関係が得られたが,上顎第一小臼歯の頬側歯槽骨は菲薄であった.成人の矯正治療で便宜抜歯部位を選択する際は,初診時の歯槽骨の三次元的形態の把握に加え,抜歯後の歯槽骨形態を十分に予測した上で決定することが重要である.
  • 中山 真由子, 槇 宏太郎, 久保田 雅人
    2014 年 74 巻 4 号 p. 467-475
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    骨格性上顎前突症に対して,外科的矯正治療とインプラント治療により咬合機能と美的調和の両者で満足し得る結果が得られたので,その概要を報告する.症例は22歳男性でガミースマイルを伴う骨格性上顎前突症および過蓋咬合,左側鋏状咬合による下顎右側偏位,下顎両側第二小臼歯の先天性欠如を認めた.そこで,関連する複数科の合同症例検討により外科的矯正治療を適応とし,上顎前方歯槽骨切り術による上顎前歯部の後上方への移動と下顎両側第二小臼歯の先天性欠如部にはインプラント補綴処置にて咬合の再構築を行った.この結果,ガミースマイルおよび過蓋咬合が改善され患者の美的な満足と共に長期的に治療後も安定した咬合状態が獲得できた.以上のことから,顎変形症に対しては,関連する複数の専門診察科によるチームアプローチが重要であると考えられた.
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