Birt-Hogg-Dubé症候群(BHDS)は常染色体顕性遺伝性疾患である.今回,われわれは特徴的な肺囊胞の画像,病理所見を示した散発例を経験したので,報告する.57歳男性,両側気胸歴を有するが家族歴は認めず.右胸痛にて受診し,CT検査にて右気胸と両側縦郭尾側に大小(5~30mm)の肺囊胞が観察された.切除した肺囊胞の病理所見では,囊胞壁の炎症反応や線維化は少なく,Elastica van Gieson染色では一般的な気腫性囊胞に比べ囊胞壁の弾性組織は連続性が保たれていた.BHDSを疑い,全エクソーム解析にてfolliculin(FLCN)遺伝子のエクソン12に病的バリアント〔NM_144997.7:c.1347_1353dup(p.Val452fs)〕を認めた.BHDSの診断では典型的な画像と病理学的所見に気づくことが肝要であり,患者とその血縁者に適切なサーベイランスを実施することが求められる.
卵巣癌の発症によりBRCA1病的バリアント保持の診断となり,卵巣癌術後維持療法中に造影乳房MRI検査を含む乳癌サーベイランスにより,早期乳癌の診断に至った症例を経験したので報告する.症例は,52歳女性,卵巣癌の治療中にBRCA1病的バリアント保持が判明した.卵巣癌の病状安定後,造影乳房MRI検査を含む乳癌サーベイランスを行い,MRI-detected lesionを指摘された.MRIガイド下生検により非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)と診断された.BRCA1/2病的バリアントを保持する卵巣癌患者の乳癌サーベイランスは,病状によって継続や施行が難しいことがある.適切な乳癌サーベイランスを行い,病状に応じた治療やリスク低減手術を検討する必要がある.