この研究は,1991年に米国で創設され,いまや世界30ヵ国に会員を有する組織として成長した国際図書史学会(SHARP: Society for the History of Authorship, Reading & Publishing)の活動とその研究の状況について分析したものである.国際図書史学会は,主として出版の歴史的な側面を課題とした研究が行なわれている学会であるが,いまや出版研究の分野では最も代表的な研究組織のひとつとして,国境を越えて活動が行われ,各国における出版研究の発展にも大きな刺激を与えている.ここでは,これまでの経緯のみならず,研究組織としての特質についても分析を行った.