本研究では,日本,中国,及び韓国(参考)の出版研究比較を目的として,1945年から2000年代までに出版された「出版関係書籍」を対象に,出版傾向の全体像を把握する研究を行った.その結果,日本は1970年代から,中韓は1980年代から出版点数が徐々に増え始め,1990年代後半から安定して出版されていた.また,6つの主項目の比較では,日本と韓国は「出版業界・産業」の項目が突出する一方で,中国はどの項目も平均して出版されていた.
韓国で出版学が始まって60年,韓国出版学会が発足されて50年が過ぎた.本研究では1960年から発表された学位論文の4,505件,韓国出版学会の学術誌に掲載された学術論文の787件の研究を調査・分析した.まず,第一に,時期別の研究の流れを学位論文と学術論文の比較,第二に,学位論文の年度による推移の比較,第三に,韓国出版文化産業振興院の設立から今までの研究報告書の主題について調べてみた.
本論は,1950・60年代の日本で活況を呈した〈秘境〉という消費フレームを,戦前の異境をめぐる大衆文化との繋がりの中で捉えようとするものである.ここでは,戦中・戦後を跨いで活躍した南洋一郎の冒険小説を対象に,戦中に書かれた作品が,戦後に再版されるに際してどのように書き換えられ,新たなパッケージングを施されてきたのかを明らかにすることで,異境から〈秘境〉へという消費フレームの変化を跡づける.
デジタル化を契機として雑誌は印刷物として実態のある一商品から,印刷物としての雑誌をその一部として含む雑誌ブランドを利用した多種多様な商品やサービスを生み出す“場”としての“雑誌”に変容していく過程にあり,“雑誌”ブランド自体とその中の事業が“雑誌”ブランドの「範囲」にあるのかどうかはオーディエンスも含めた関係アクター間の集合的なキュレーションによって緩やかに統制されている.
本稿では,学協会誌をJIS X 23761に適合するEPUB出版物として刊行する際に生じる課題を明らかにする.方法として,先行事例の調査,サンプルEPUBの制作と利用上の課題の調査,見積の発注という3つの調査を実施し,生産,流通,利用を枠組として考察する.結論として,コンテンツを生産する者がすべきは,流通,利用の環境が整ったときに,すぐにそのコンテンツを利用できるようにしておくことだと主張する.
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