家族性地中海熱(FMF)は発熱,漿膜炎などを主徴とする遺伝性自己炎症疾患である.
MEFV遺伝子を原因とする常染色体潜性遺伝とされていたが,ヘテロ接合体で発症する場合や複数の病的意義不明バリアント(VUS)の存在がある.加えて
MEFVバリアントが他疾患の病態を修飾する可能性が示唆されている.今回,複数の
MEFVバリアントの組み合わせにより多彩な病態を呈した家系を経験したので報告する.症例は17歳男性と15歳女性の兄妹である.2名とも病的バリアントM694I(exon 10)とVUS のE148Q(exon 2)の推定複合ヘテロ接合体であり,兄は典型的なFMF,妹はFMF未発症者と診断された.本家系にはほかにもM694Iを保有する者が複数名存在し,Protracted febrile myalgia syndrome(PFMS)と診断された者やFMFとしては非典型的な自己炎症疾患様病態を呈している者がおり,同一家系での臨床的異質性が考えられた.
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