概要. 正4,6,8面体の各頂点に同一種の原子を配置し,辺で隣接する2つの原子を線形バネで結ぶ.多面体をハミルトン閉路で囲み,閉路上と閉路外に異なるバネ定数を配置した古典力学モデルを考える.離散ソボレフ不等式は,たわみの最大幅をポテンシャルエネルギーの定数倍で評価する不等式で,最良定数は古典力学モデルのかたさを表す.
概要. Holling II 型非線形項を含む捕食・被食モデルは2 成分の反応拡散方程式である.この方程式に対して,捕食者と被食者の拡散係数が等しい時に時間に依存しない正不変集合を構築する.即ち,相空間上にある領域が存在して,その領域の内部の初期状態から時間発展する解は任意の時刻で同じ領域の内部に存在し続ける.この正不変集合は反応拡散系から拡散項を取り除いた常微分方程式の正不変集合と一致することを利用して構築される.
概要. 深層学習の研究課題の一つにモデルの設計があり,優れたモデルの提案が活発に行われている一方で,体系的理論は未だない.本論文では,スキップ接続と呼ばれる構造を体系的に議論することを目的に,表現力の観点からスキップ接続を数理的に比較する.結果として,スキップ接続が加算と結合の場合に,アフィン関数の可逆性のみに起因して表現力が変化することを理論的に確認する.
概要. 連立一次方程式の数値解の精度を保証する手法は多く提案されている.これらの手法ではまず数値解を求め,次に得られた数値解の誤差上限を求める.本論文では,先に誤差上限に対する目標を与え,それを満たす数値解を出力する精度保証理論に基づく手法を提案する.真値に最も近い浮動小数点数,真値以上で最小の浮動小数点数と真値以下で最大の浮動小数点数の一方または両方を得ることを目標とする.
概要. 配管系を対象とした3次元流体解析の計算時間を短縮することを目的として,固有直交分解法を配管内旋回流れ解析に適用し,抽出した基底空間を用いた流れ場の近似精度について検討した.定常流れ,非定常流れともにレイノルズ数の数と基底数を増やすことで基底空間による近似精度が上昇することを確認した.一方,非定常流れにおいて,時間方向のサンプリング数は基底空間による近似精度への影響が小さいことを確認した.