【目的】市中病院の小児敗血症の疫学と診療現状を,diagnosis procedure combination(DPC)データを元に評価する。【方法】DPCを適用する66市中病院においてinternational classification of disease(ICD)-10コード上で敗血症と登録された小児(月齢1ヶ月~19歳まで)388症例,成人5,215症例を対象とした。【結果】小児は全症例の6.9%を占め,乳児が小児全体の46.1%を占めた。入院1,000症例あたり発生率は成人で14.5症例,小児で8.4症例であった。成人に比べ小児では退院死亡率は低く(33.5%対0.5%,
P<0.001),人工呼吸,中心静脈カテーテル,強心薬などの実施割合やICU利用率は成人の1/7~1/10程度で,在院日数も短かった(26日対7日,中央値,
P<0.01)。入院1日あたり医療費の中央値は成人・小児共に約4万円であった。【結論】市中病院でDPC上登録された小児敗血症は,発生率が比較的高く,成人に比べて重症度や死亡率が低かった。ICD-10コード適用の問題,患者背景や基礎疾患が影響している可能性がある。本分析手法のみでは詳細な情報解析に限界があることも示唆された。
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