卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome, OHSS)は排卵誘発薬により血管透過性亢進をきたす医原性疾患である。OHSSに対し血管透過性を定量的に評価した報告はなく,今回,連続心拍出量測定装置PiCCO
®(Pulsion Medical Systems, Germany)を用いて評価したので報告する。症例は30歳,女性。不妊治療により妊娠しOHSSにて加療中,胸腹水が増加し入院11日目に心肺停止となった。蘇生後,高PEEPを併用した人工呼吸管理を開始した。ICU入室時,肺血管外水分量係数24.8 m
l/kg,肺血管透過性係数5.8と著明に増加していた。呼吸・水分管理を行い,PiCCO
®測定値の正常化とともに呼吸状態は改善し,入室4日目には人工呼吸器を離脱した。PiCCO
®による血管透過性の定量評価は,OHSS患者の病態理解に有用と考えられた。
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