【目的】Respiratory syncytial virus(RSV)感染症では,初療時に呼吸状態が維持できている場合であっても,後日に重度の呼吸不全に至ることがある。基礎疾患のないRSV感染症において,入院後の呼吸状態の増悪に関わる因子を検討する。【方法】2011年1月~2013年9月に淀川キリスト教病院に入院したRSV感染症87例を入院後に非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV),体外式陽陰圧式人工呼吸(biphasic cuirass ventilation, BCV)の持続陰圧を含む人工呼吸管理を要した呼吸器群と対照群に区分し,初療時の患者背景,現症,検査所見について後方視的に比較検討した。【結果】多変量解析の結果,静脈血のHCO
3-,胸部X線検査での異常所見が入院後の人工呼吸管理を予測する独立した危険因子として検出された。【結論】基礎疾患のないRSV感染症において,初療時に静脈血液ガス分析でのHCO
3-高値や胸部X線検査で浸潤影,無気肺,過膨張といった異常所見を認める症例では入院後に人工呼吸管理を要する可能性が高く,厳重な管理を要する。
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