日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
25 巻 , 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
編集委員会より
総説
  • 大藤 純
    2018 年 25 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    術後肺合併症(postoperative pulmonary complication, PPC)は,周術期死亡や合併症の主原因となる。PPCは,無気肺,呼吸器感染症,術後呼吸不全,慢性肺疾患の急性増悪など多様な臨床的病態を含む。PPCを予防する周術期呼吸管理として,術中の肺保護戦略,術後の肺拡張療法,経鼻高流量酸素療法(high flow nasal cannula, HFNC),非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV)がある。肺保護戦略では,低容量換気単独よりもPEEPおよび肺リクルートメント手技を併用する管理が有効である。肺拡張療法では,早期離床や肺理学療法,口腔衛生による複合的治療が有効である。HFNCは,忍容性は高いがPEEP効果は低いため,PPC高リスク患者には適さない。NPPVは肺リクルートメント効果に優れ,PPC高リスク患者の挿管回避や肺炎予防に有効であるが,忍容性は低く長期使用は困難である。また,術後呼吸不全へのHFNCおよびNPPVの使用中は,適切な再挿管の時期を逸しないよう,注意深い観察を要する。
  • 河野 崇
    2018 年 25 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    高齢手術患者の増加に伴い,術後神経認知障害への対策が重要課題となっている。術後神経認知障害として,術後せん妄と術後認知機能障害が挙げられる。術後せん妄と術後認知機能障害はそれぞれ異なる疾患単位と考えられているが,共通する病態として脳内炎症が注目されている。脳内炎症は,活性化したミクログリアから過剰に炎症性サイトカインが産生・放出された状態である。特に,海馬ミクログリアは加齢により炎症性反応性が増加することが知られており,高齢者に術後神経認知障害が生じやすい原因と考えられる。また,全身麻酔,手術侵襲に伴う全身炎症,痛み,急性ストレス反応,神経障害などは脳内炎症を誘発する。したがって,これらの要因を最小化することが術後神経認知障害の予防・治療に重要である。本稿では術後神経認知障害の病態に関する最新の研究動向を示すとともに,脳内炎症を標的とした予防・治療戦略を考察したい。
症例報告
  • 萩原 祥弘, 清水 敬樹, 笠原 道, 小野 将平, 鈴木 茂利雄, 濱口 純, 森川 健太郎, 三宅 康史
    2018 年 25 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    Veno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)でも過剰な自発呼吸が経肺圧上昇をもたらし,肺障害の悪化を招く可能性がある。症例1は25歳,女性。粟粒結核・重症呼吸不全に対しVV-ECMOを導入した。第6病日に覚醒下におくと吸気終末経肺圧(end inspiratory transpulmonary pressure, EIPL)は24 cmH2Oまで上昇したため,再度深鎮静管理とし,EIPLは7 cmH2Oまで低下した。症例2は51歳,男性。インフルエンザ関連急性呼吸不全・重症air leak症候群に対しVV-ECMO導入となった。第4病日の覚醒下移行後もEIPLは20 cmH2O未満であることから自発呼吸を温存した。今回の2例が新たな肺障害を生むことなく自己肺の改善を認めたことからも,VV-ECMO中の食道内圧測定は過剰な自発呼吸を早期に認知し,自発呼吸温存の可否を決める有効な一指標になり得ると考える。
  • 宇仁田 亮, 宮本 将, 釋舎 和子, 亀山 実希, 武藤 渚, 後藤 隆司, 大宮 浩輝, 鷹取 誠
    2018 年 25 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    【症例】32歳,男性。BMI 51.7の高度肥満あり。肺炎のため入院となり,人工呼吸器管理開始するも,呼吸管理に難渋しP/F比は50程度で推移しICUに入室した。経肺圧モニタリングを行い,高度肥満による胸郭コンプライアンス低下および腹腔内圧高値による横隔膜圧迫に抗するために高PEEPでの管理を行い,呼吸状態改善が得られた。また,高度肥満による横隔膜圧迫軽減目的に持続腹部陰圧管理を開始したところ,呼吸器同条件下における呼気終末経肺圧上昇を得ることができた。【考察】呼吸不全管理では人工呼吸器関連肺損傷を避けることが重要であり,その中心となるのが肺保護換気とopen lung戦略である。高度肥満患者では腹腔内圧高値のため,横隔膜が圧迫され肺内外圧差が下降することで肺胞虚脱が助長される。本症例では持続腹部陰圧管理により腹腔内圧が低下し,同条件下でも呼気終末の経肺圧を上昇させることが観察された。本現象は無気肺を改善させ,open lungに有利に働くと考えられる。
  • 高村 卓志, 森脇 龍太郎, 伊良部 真一郎, 山本 奈緒
    2018 年 25 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    一般的にサイトメガロウイルス(cytomegalovirus, CMV)感染は免疫不全状態で起こる。集中治療管理下でCMV腸炎を発症した1例を経験した。症例は33歳,男性。急性心筋梗塞に伴う心室細動に対し,体外循環式心肺蘇生法下の冠動脈再灌流療法を行いICUに入室した。入室後,横紋筋融解症による急性腎傷害を認め,持続的血液透析濾過管理中であった。入院第19病日に大量下血を認め,緊急手術(左半結腸切除,人工肛門造設術)を施行した。CMV antigenemiaおよび病理組織標本よりCMV腸炎と診断,ganciclovir投与を開始した。以後の経過は良好で,神経学的後遺症なくICUを退室した。集中治療管理下では免疫能が低下する可能性が示唆され,本症の発症を留意すべき必要があると考えられたため報告する。
短報
調査報告
  • 白坂 雅子, 立野 淳子, 山勢 博彰, 佐藤 憲明, 道又 元裕, 宇都宮 明美, 田村 富美子, 西山 久美江
    2018 年 25 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,人工呼吸器離脱への看護師の関与と認識を明らかにすることとした。日本クリティカルケア看護学会の正会員1,476名を対象に質問紙調査を行った。その結果,関与では,換気設定の変更で4名(1.3%)が「看護師が判断し操作する」と回答した。認識では,離脱プロトコルは259名(84.4%)が必要と考え,看護師が主体的に人工呼吸器離脱を行うことは227名(73.9%)が賛成であった。
委員会報告
  • 日本集中治療医学会神経集中治療ガイドライン作成委員会
    2018 年 25 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    【目的】救命救急センター(ECC)および日本集中治療医学会専門医研修認定施設(ICU)における中枢神経モニタリングの実施状況を検討する。【方法】ECC(271施設)およびICU(284施設)に対して,2014年1月1日~12月31日の1年間に入院した15歳以上の神経集中治療対象症例における中心神経モニタリングの実施状況の記載を依頼した。【結果】142施設から回答があった(回答率26%)。神経集中治療対象症例はECC症例数の27%,ICU症例数の19%であった。心停止後症候群(PCAS)は症例数の約20%で最も割合が多かった。持続脳波(cEEG)(振幅統合脳波aEEGを含む)および10-20法脳波(EEG)検査は,全身痙攣重積状態(GCSE), 原因不明の意識障害(Coma), 術後意識障害(心大血管,脳外など)(PostOpe), PCASにおいて施行施設の割合が多かった。バイスペクトラルインデックス(BIS)および脳酸素飽和度(Sco2)はPCAS,頭蓋内圧(ICP)は頭部外傷(TBI)およびくも膜下出血(SAH),経頭蓋ドップラー(TCD)はSAH,においてそれぞれ施行施設の割合が多かった。体温管理療法(TTM)においては,PCASでは低体温療法(TH),TBIを含む他の疾患では常温療法(FC)の割合が多かった。【結論】ECCおよびICUにおける神経集中治療対象疾患数および中枢神経モニタリングの施行の傾向を把握できた。
feedback
Top