心血管手術後患者8例にアムリノンを投与し,ガス交換と酸素代謝に及ぼす影響を調べた。アムリノン(10μg・kg
-1・min
-1)をボーラス投与なしに持続投与し投与30分,90分後の変化を投与前と比較検討した。心拍数,平均動脈圧はアムリノン投与前後で有意な変化を認めなかったが全身血管抵抗係数(2437±598→2166±671dyne・sec・cm
-5・m
2;以下数値はmean±SD)は有意に低下(p<0.01)した。心係数(2.5±0.6→3.0±0.91m
-1)はアムリノン投与90分後には有意に増加(p<0.05)した。平均肺動脈圧(23±8→18±7mmHg),肺血管抵抗係数317±87→221±61dyne・sec・cm
-5・m
2)は90分で有意に低下(p<0.05)し,肺内シャント率(10.1±7→12.1±5%),呼吸係数(1.4±1.1→2.4±1.5)は投与30分後より有意に増加(p<0.05)しガス交換が悪化した。酸素消費量(185±34→220±88m
l・m
-1),非栄養血流(-34±25→-8±33%)はアムリノンの投与により増加し90分後に有意な増加(p<0.05)を認めた。以上より,アムリノンは組織血流を改善して酸素代謝を改善するが,肺血管拡張作用により,肺内シャントを増加させガス交換を悪化させることが示唆された。
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