日本集中治療医学会雑誌
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4 巻 , 1 号
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  • 堀 哲郎, 高木 厚司
    1997 年 4 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    免疫系はそれ自体で独立完結したシステムと考えられてきたが,ホメオスタシス維持を目的として,脳による制御を受けていることが明らかになってきた。すなわち,脳は主として自律神経系および内分泌系により,免疫系を修飾する。一方,免疫系も,サイトカインなどを信号分子として用い,脳に向かって情報を送り,神経活動を修飾していることも判明している。最近の分子生物学の進歩により,脳と免疫系が共通の情報伝達物質・受容体機構を持っていることが明らかになり,これを基盤として「脳・免疫系連関」という概念は確立したものとなった。本稿では,脳・免疫系連関の概略とストレスに伴う免疫系の変化の機序について述べた。
  • 片岡 喜由, 柳瀬 尚人
    1997 年 4 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    低体温による脳保護作用が認識されてすでに半世紀近くになる。その間,その利害得失が明確にされないまま廃れようとしていたいわば第一世代を経て,最近の10年間にわたる著しい基礎研究の成果から,少なくとも動物実験では低体温の脳保護作用が確固たるものとなった。また,低体温の有効性を示す顕著な臨床例も蓄積されつつあり,今や低体温第二世代に入ったといえる。本小文では,T.Fayの画期的な人体への低体温導入以後,基礎研究としてどのような展開を経て現在にいたったかについて概説し,基礎医学側の今後の課題に言及する。
  • 福光 一夫, 木内 恵子, 高田 幸治, 松山 雅美, 北 貴志, 竹内 宗之, 宮本 善一, 北村 征治
    1997 年 4 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素(NO)吸入療法中の集中治療室(ICU)内の空気汚染の程度を調べる目的で,窒素酸化物(NOx;NO+NO2)濃度を測定した。NOx濃度の連続測定値は,0.01~0.12ppmの範囲で日内変動や日毎の変化が強く,NO吸入療法中と終了後の差を認めなかった。屋外の測定値も同様の傾向が認められ,ICU内でのNOx濃度の変化は主に外気の影響によるものと考えられた。人工呼吸器には排ガス対策を施していたが,排ガス対策の無いジャクソンリース回路の使用時にNOx値の一時的な上昇が認められた。また,ICU職員に対するアンケート調査では,ジャクソンリース回路の使用時に軽い頭痛などの不快感を答えた者がいた。以上から,NO吸入療法によるICU内の空気汚染は周囲の大気汚染の程度と同程度と考えられたが,排気処置の有無が室内汚染に影響する可能性も示唆された。
  • 中谷 桂治, 林 正則, 新藤 光郎, 西 信一, 行岡 秀和, 藤森 貢
    1997 年 4 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者の開心術術後管理として持続血液透析(continuons hemodialysis; CHD)の有用性を検討した。1993年8月より1995年7月までに行われた慢性透析患者の冠動脈バイパス術(coronary artery bypass graft; CABG)症例9例(年齢63±7歳,透析歴2~15年;腎不全群)を対象とした。呼吸,循環動態,術後出血,水分バランスについて,同時期に施行された腎機能障害のないCABG症例10例(対照群)で比較検討した。CHD継続時間は34±11時間であり,術後2日から5日目に血液透析に移行した。ICU入室から抜管までの時間は腎不全群で有意に長かったが,血液ガス値に差はなかった。2群間で循環動態,術後出血量に差は認められなかった。対照群に比較し腎不全群では術後2日目で有意に負の水分バンラスであった。術直後よりCHDを施行することにより,慢性透析患者のCABG術後管理を安全に行うことができる。
  • 三高 千恵子, 名倉 節, 角田 幸雄, 天羽 敬祐
    1997 年 4 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    エンドセリン(endothelin;ET)-1は,主に血管内皮細胞で産生,分泌される強力な血管収縮性ペプチドであり種々の病態で上昇する。ET-1と多臓器障害との関係を解明するため,重症患者46名(63.5±2.0歳)の血中ET-1濃度を測定し臓器障害数との関連を検討した。入室時のET-1濃度は11.0±1.0(SE)pg・ml-1で健常者(1.5±0.1pg・ml-1)より有意(P<0.01)に高く入室時のAPACHE IIIスコアと正の相関を示した。1および2臓器障害群のET-1濃度は,それぞれn=16:7.6±1.3pg・ml-1,n=13:8.9±1.1pg・ml-1で,両群間に有意差はなかったが,3および4臓器障害群(それぞれn=10:15.1±2.6pg・ml-1,n=7:14.9±2.4pg・ml-1)は,1-2臓器障害群に比較して有意に増加していた。生存群(n=30)のET-1濃度は,退室時には有意に低下した。内因性ET-1は,ICU入室時における重症度に応じて上昇し,ET-1の過剰分泌の遷延化と多臓器障害における障害臓器数との間に関連があることが示唆された。
  • 山内 順子, 丸川 征四郎, 尾崎 孝平, 藤田 啓起
    1997 年 4 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    陽圧人工呼吸による肺実質障害を回避する目的で,体位依存性の肺酸素化能改善効果を応用した呼吸療法を行い,非気管内挿管による呼吸管理に成功した重症急性呼吸不全の2症例を報告した。適応は,人工呼吸管理の適応条件に準じたが,特にPaO2/FIO2(P/F)≦200で,呼吸疲労がなく,PaO2が前傾側臥位によって20mmHg以上改善することとした。安全なPaO2が維持できる前傾側臥位で全身管理を継続し,肺酸素化能改善を促進するために,短時間の腹臥位(2時間以内)を定期的に加えた。最初の前傾側臥位によってP/Fは症例1では146から174に,症例2では94から183に改善し,2例とも5日以内にすべての体位でのP/Fが300以上に回復した。急性呼吸不全症例の呼吸管理において,体位依存性肺酸素化能改善効果はPaO2の救命的改善,気管内挿管や陽圧人工呼吸による肺損傷の回避,肺病変の改善に有効であることが示唆された。
  • 溝渕 知司, 五籐 恵次, 長野 修, 金城 実, 横山 正尚, 松三 昌樹, 時岡 宏明, 平川 方久
    1997 年 4 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工栄養施行中にみられる銅欠乏症の報告は,経静脈栄養に多く,経腸栄養では少ない。今回,長期経腸栄養施行中に銅欠乏による白血球減少,貧血を呈した症例を経験した。症例は67歳,女性で経腸栄養(ファイブレンYH(R)使用)開始15週目頃より白血球数が低下し,23週目より著明な貧血を呈した。造血機能の異常を疑い検査を行ったところ血漿銅値が9μg・dl-1と低下していた。このため,経静脈的および経腸的に銅を投与し,約1ヵ月で白血球数,貧血は劇的に改善した。現在市販されている経腸栄養食品,経腸栄養剤は銅をはじめとする微量元素が充分に含まれているとは言い難く,経腸栄養であっても微量元素の欠乏を念頭に置くべきである。
  • 小田 裕, 栗田 聡, 新藤 光郎, 西 信一, 行岡 秀和, 藤森 貢, 浅田 章
    1997 年 4 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    阪神大震災によるクラッシュ症候群6症例の神経学的,機能的予後を調べ,筋の障害の程度と比較検討を行った。来院時は全例とも圧迫を受けた部位より末梢の知覚,筋力は完全に消失していた。入院1~3週間後より患肢の知覚の回復に伴ってしびれ,灼熱痛を生じ,6ヵ月後も四肢の筋力低下,知覚異常は持続していた。四肢の運動機能の回復度は来院時の筋肉の損傷度と関係は無く,むしろ積極的な自発運動やリハビリテーションによって大きく影響を受けると考えられた。クラッシュ症候群の際には長期にわたる疼痛や機能障害を生ずるため,積極的な鎮痛,リハビリテーションにより予後の向上に努める必要があると考えられる。
  • 長田 理, 水野 美彦, 張替 優子, 中山 英人
    1997 年 4 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    われわれは,ピルビン酸脱水素酵素活性化障害により意識障害・自発呼吸の消失をきたした症例の集中治療を経験した。患児はICU入室時に高乳酸・ピルビン酸血症および著しい低二酸化炭素血症を呈していた。乳酸投与を避け本疾患においても代謝される酢酸を含む輸液を用いることで,高乳酸・ピルビン酸血症による酸塩基平衡が改善するとともに低二酸化炭素血症も改善が認められた。呼吸ガス代謝モニターから得られたエネルギー利用状況に基づき極端な高脂肪食とすることで体内二酸化炭素産生量を十分増大させることができた。以上の治療により低二酸化炭素血症は改善し,自発呼吸の回復をみた。代謝モニターは生体内で必要な基質を求めるのに有用であった。
  • 桜井 稔泰, 田中 修, 木村 好江, 穐山 麻実子
    1997 年 4 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    多臓器不全および広範囲小腸壊死を合併しながらも,救命できたクラッシュ症候群(crush syndrome)を報告した。症例は50歳女性で,1995年1月阪神・淡路大震災で下腹部,腰部と両側大腿部に強い挫滅を受け,腎不全,播種性血管内凝固(DIC),麻痺性イレウス,肺化膿症,肝不全を併発し,治療に難渋した。挫滅を受けた両側大腿部は筋膜切開は行なわず保存的に治療したが,下肢の運動機能は障害を残さず回復した。麻痺性イレウスは,腹部CT検査や理学所見に小腸損傷など手術適応所見がないまま遷延した。28病日になって腹部超音波検査にて急速に発生した腫瘤を認め,開腹術にて小腸壊死に伴う壁内血腫を確認し,広範囲小腸切除を行なった。挫滅部位の筋膜切開の適応,遷延する麻痺性イレウスの病態について考察した。
  • 吉武 重徳, 野口 隆之, 水谷 明男, 森 正和, 宇野 太啓, 奥田 健太郎, 工藤 治彦, 谷口 一男
    1997 年 4 巻 1 号 p. 65
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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