日本集中治療医学会雑誌
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9 巻, 1 号
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  • 高野 照夫, 亀山 幹彦, 佐藤 直樹
    2002 年 9 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞に対する診断および治療は過去50年間に劇的な進歩をとげた。診断面では1970年代より不安定狭心症の概念が提唱され,心筋梗塞に移行しやすいハイリスク患者の同定が行われた。1980~90年代にかけて急性冠症候群という包括的な概念の提唱に伴い,その発症機序の理解が進んだ。さらに心筋障害を早期に認識する新しい指標,すなわちtroponin T, troponin Iが開発され,2000年より心筋梗塞の診断基準,リスク層別化の方法も変容しつつある。治療面では1960年代までは急性期の致死性不整脈の管理が主であったが,1970年代より選択的冠動脈造影術,冠動脈バイパス術,1980年代には冠動脈内血栓溶解療法が普及し,さらに1990年代より経皮的冠動脈形成術,ステント,方向性冠動脈アテレクトミー,rotablatorなどが臨床応用され,一方,外科的治療も低侵襲的手術の開発が進められている。
  • 長尾 建, 林 成之, 上松瀬 勝男
    2002 年 9 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    我が国の病院外心停止患者の現状を分析し,21世紀の心肺脳蘇生法を展望した。
    早期に社会復帰が可能な,目撃者のいる心原性心停止例の転帰は,我が国では極めて不良であった。この原因として,遅い119番通報,低い一般市民による心肺蘇生法(CPR)実施率,低い救急現場での電気的除細動成功率が挙げられた。21世紀,かかる患者の予後を向上させるには,早い携帯電話での通報,簡単な心臓マッサージのみCPRの一般市民への普及,高性能かつ簡便な全自動除細動器(AED)の救急車・公共施設・会社へ配備,心停止に陥った現場で心拍を再開,病院収容後は脳蘇生を柱とした蘇生後症候群の対策,を展開することが必要と考えた。2000年に報告されたevidence based medicineに基づくCPRガイドラインでは,低体温療法の効果はClass Indeterminateに分類されたが,自験例ではすでに52%の社会復帰率を達成している。
  • 熊谷 謙, 新井 正康, 浅利 靖, 相馬 一亥, 大和田 隆
    2002 年 9 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    長期気管挿管後に抜管困難となる原因と対策を検討した。平均14日間の気管挿管を受けた33症例を対象に,前向き研究として抜管直後にファイバースコープを用いて観察した喉頭所見と抜管後の臨床症状,転帰,挿管期間などとの関係を調べた。抜管後の症状は気道狭窄症状と気道分泌物による症状に分類し,喉頭所見は喉頭浮腫,声帯損傷,声門閉鎖不全に分類した。気道狭窄症状を呈した群には喉頭浮腫が多く,再挿管率も高かった。分泌物による症状は特定の喉頭病変や転帰との相関は認めなかった。狭窄症状への対策としては非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation, NPPV)の有効性が示唆された。分泌症状に対しては再挿管により喉頭病変が恒久的障害へ進展する可能性や早期気管切開による予後改善の報告があることにより,早期の気管切開が適切と思われる。今回は臨床症状や喉頭所見の重症度評価を行えなかったが,挿管期間のみにとらわれず抜管後の臨床症状と喉頭所見から総合的に病態を判断し,それに見合った対処が必要である。
  • 福田 充宏, 熊田 恵介, 山根 一和, 青木 光広, 小濱 啓次, 竹ノ内 陽子, 市原 清志
    2002 年 9 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    脳障害患者427例を対象に来院時の3種の病態パラメータ(バイタルサイン,緊急血液検査値,年齢・性別)から多変量解析で生死の判別(生命予後の予測)を行い,それにどのパラメータが関連しているか,その判別度がAPACHE IIスコアやGCSに比べてどうか,緊急血液検査値がどの程度有用かについて検討した。その結果,全脳障害患者を対象とした場合は,GCS,血中の尿素窒素(BUN),カリウム(K),白血球数(WBC),動脈血ガス分析によるPaCO2,BEが生死の判別に有意に関連していた。また,3種のパラメータによる生死判別度が最も鋭敏であったが,緊急血液検査値のみでもAPACHE IIスコアやGCSと同程度の判別精度が得られた。脳血管障害患者を対象にした場合には,緊急血液検査値のみによる判別度がGCSより良好であり,頭部外傷患者を対象にした場合には,GCSによる生死の判別度が最も優れていた。各患者群の同一患者においては,ICU収容時と比べて第7ICU病日のデータを用いたほうが生死の判別度が良かった。これらの統計学的手法によって,脳血管障害患者群と頭部外傷患者群において,生死の予測に対するGCSや緊急血液検査値の寄与度が異なることが明らかとなった。
  • 森島 徹朗, 有馬 一, 田中 さゆき, 安藤 浩, 浅岡 峰雄, 勝屋 弘忠
    2002 年 9 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    プロポフォールが破傷風の発作抑制に有用であった症例を経験した。患者は50歳,男性。救命救急センターICU収容後,痙攣の抑制にジアゼパムを間欠投与し,鎮静のためにミダゾラムの持続投与を併用したが,コントロールは不良であった。第7ICU病日,不穏状態となりミダゾラムをプロポフォールに変更したところ,発汗,痙攣が抑制され良好な鎮静状態が得られた。第13ICU病日,プロポフォール投与開始後1週間が経過したため,ミダゾラムに変更したところ症状が増悪した。このため約5時間後,プロポフォールに再変更したところ症状は劇的に改善した。破傷風の痙攣重積で,ジアゼパムによるコントロールが不良と判断されたときには,ミダゾラムよりもプロポフォールが有用であると思われる。
  • 平野 剛, 平澤 博之, 織田 成人, 志賀 英敏, 中西 加寿也, 松田 兼一, 北村 伸哉, 貞廣 智仁
    2002 年 9 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    重症急性膵炎(SAP)の集中治療中に胃静脈瘤(GV)を合併し,大量出血をきたした症例を経験し救命しえた。症例は42歳男性,前医にてアルコール多飲に起因するSAPとして治療されるも腎不全に陥り,当ICUに収容した。収容後は血中インターロイキン6の値を指標に,腎不全対策に加えて全身生炎症反応症候群(SIRS)対策としての持続的血液濾過透析を中心とした集中治療を行い,SAP自体は膵嚢胞を形成するも急速に沈静化した。しかし第8病日より上部消化管出血が出現,緊急内視鏡にて,GVからの出血と診断された。脾動脈造影にて脾静脈閉塞およびGVからの出血が認められ,止血目的にて脾動脈塞栓術および左・右胃動脈塞栓術を施行,止血しえた。膵炎に続発した脾静脈閉塞によるGVに対しては通常,脾摘術などの開腹術が選択されるが,SAPに対しては膵壊死組織への感染回避の観点より開腹術を選択せず,GVからの出血に対して,まず経カテーテル動脈塞栓術を試みるべきであると考えられた。
  • 江木 盛時, 近井 高志, 福島 臣啓, 石津 友子, 田中 利明, 時岡 宏明, 香曽我部 義則
    2002 年 9 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    溺水により急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症し,高度な低酸素血症に陥ったが救命しえた1例を報告する。患者は86歳女性。FIO2 1.0, PEEP 17cm H2Oとしたが,PaO2 31mmHgと著明な低酸素血症を呈した。PEEP 20cm H2Oとしても,酸素化の改善は軽度で循環不全が生じた。軽度の酸素化の改善よりもventilator induced lung injuryの回避が重要と考え,吸気終末プラトー圧30cmH2O以下で呼吸管理を行った。PaO2 30mmHg台が7時間,PaO2 40mmHg台が22時間続いたが,明らかな臓器障害を残さずICUを退室した。低酸素血症における臓器虚血の有無は,臨床所見から総合的に判断した。治療困難な著しい低酸素血症を呈したが,許容できると判断して気道内圧を制限するlung protective strategyを行ったことが患者の救命につながったと考えられる。
  • 石和 大, 関野 長昭, 平田 雅子, 川崎 理栄子, 田澤 利治, 後藤 美那子, 井上 一衛
    2002 年 9 巻 1 号 p. 51-52
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 晃, 豊嶋 浩之, 松原 康博, 小山 完二
    2002 年 9 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 伊与 恭子, 遠藤 晴子, 大平 雅子, 原 千鶴
    2002 年 9 巻 1 号 p. 55-56
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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