日本集中治療医学会雑誌
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最新号
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編集委員会より
総説
  • 北野 鉄平, 岡島 正樹, 谷口 巧
    2019 年 26 巻 5 号 p. 373-377
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    心臓ペースメーカが臨床応用されてから約60年経過したが,近年になっても技術進化が著しい分野である。最近ではMRI対応ペースメーカやリードレスペースメーカ,完全皮下植込み型除細動器(subcutaneous implantable cardioverter defibrillator, S-ICD),着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator, WCD)などが登場している。MRI対応ペースメーカが普及しつつあるが,機種により撮像範囲などが異なり実施基準も定められているため,注意が必要である。リードレスペースメーカやS-ICDは感染や血腫などのポケット関連合併症,断線や静脈内血栓,三尖弁閉鎖不全などのリード関連合併症を低減,またはなくしてしまうような新しいデバイスである。既存のデバイスと比較しそれぞれ欠点もあり,症例に応じて選択する必要がある。WCDはICD植込みまでの期間に使用する,新しい発想のデバイスである。今後も心臓植込みデバイスの進化・革新が起こり,より良い治療へ繋がることを期待する。

原著
  • 漆畑 直, 村田 希吉, 中本 礼良, 吉行 綾子, 大友 康裕
    2019 年 26 巻 5 号 p. 379-383
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    【目的】2015年の心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation, CPR)ガイドラインでは,胸骨圧迫の速さが100〜120 /min,深さが5〜6 cmと従来よりも厳格な規定となった。我々は新ガイドラインにおける胸骨圧迫は徒手的よりも機械的の方が遵守されると仮定し,当院におけるimmediate cardiac life support(ICLS)コース受講生を対象に評価した。【方法】ICLSコース受講後に徒手的CPRの採点を行った。またLUCAS®2自動心臓マッサージシステム(以下,LUCAS)を用いて機械的CPRの採点も行った。【結果】受講生(n=18)の徒手的CPRの結果は深さ3.65〜6.13 cm(中央値5.40 cm),速さ98〜128 /min(中央値115 /min)であり,ばらつきを認めた。一方,LUCASは深さが5.13 cm,速さが101 /minという結果であった。【結論】徒手的CPRではガイドラインからの逸脱を認めた。

症例報告
  • 市村 研三, 西原 正章, 向井 靖, 上徳 豊和, 徳田 賢太郎, 赤星 朋比古, 筒井 裕之, 田口 智章
    2019 年 26 巻 5 号 p. 385-390
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    近年,我が国では海外からの旅行者が急増し,外国人の救急搬送患者への対応に苦慮することが多い。今回,着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator, WCD)を有効に活用できた外国人旅行客の一例を報告する。症例はタジキスタン在住の72歳,女性。観光で訪日中に心室細動を発症,病院前にて自己心拍再開したが,当院搬送時は昏睡状態であった。緊急冠動脈造影検査にてSeg. 6慢性完全閉塞,Seg. 2で99%狭窄を認め,Seg. 2へ経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)を行った。その後,低体温療法復温終了時に意識レベルが改善するとともに心室性不整脈の再発を認めたため,Seg. 6へのPCIを追加した。心室細動の二次予防として植え込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator, ICD)の適応があると判断したが,タジキスタンではICDが普及しておらず,また無保険で医療費が極めて高額になっていたことから,ご本人はICD植え込み術を希望されず,WCDを導入しての帰国となった。

  • 定本 圭弘, 岩永 航, 中泉 貴之, 喜久山 紘太, 北原 佑介, 福井 英人, 那須 道高
    2019 年 26 巻 5 号 p. 391-395
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    敗血症性心筋症(sepsis-induced cardiomyopathy, SICM)は,敗血症に伴う可逆的な心筋障害とされ,敗血症時の循環動態破綻の一因となっており,死亡率の増加と関連している。症例は既往のない35歳,男性。溶血レンサ球菌性毒素原性ショック症候群による敗血症と診断し入院加療を開始したが,SICMを合併し高用量の昇圧薬に加えて強心薬を投与するも,循環動態を維持できなかったたため,veno arterial extracorporeal membrane oxygenation(VA-ECMO)とintra-aortic balloon pumpingを導入した。徐々に心機能の改善を認め,機械的循環補助から離脱でき,その後,心臓超音波で異常所見を認めなくなるまで心機能は改善した。SICMは可逆性であり,薬物療法で循環動態の維持が困難な際には,強心薬よりもVA-ECMOが有効となる可能性が示唆された。

  • 村田 哲平, 眞野 暁子, 西村 隆, 藤本 肇, 村田 知洋, 河田 光弘, 許 俊鋭, 原田 和昌
    2019 年 26 巻 5 号 p. 396-400
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    急性心筋梗塞から心原性ショックを呈し多臓器不全に陥ったが,体外設置型補助人工心臓を装着し,その後,植込み型補助人工心臓に移行し自宅退院した若年者の一例を経験した。患者は28歳,男性。左冠動脈前下行枝と対角枝の超遅発性ステント内血栓症により,急性心筋梗塞を発症した。経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty, PTCA)を施行し再灌流を得るも,ステント内血栓症を再発した。左冠動脈回旋枝の慢性完全閉塞も伴っており,心原性ショックから多臓器不全を呈した。冠動脈バイパス術を施行し集学的治療を行ったが,改善を認めず体外設置型補助人工心臓を装着した。その後,多臓器不全からは回復したが,心機能の改善は認めず,補助人工心臓からの離脱は困難であった。このため,心臓移植登録後に植込み型補助人工心臓への植え替え手術を行い,順調に経過し自宅退院し,現在心臓移植待機中である。

  • 岡野 弘, 大和田 玄, 木村 康宏, 吉田 輔, 七尾 大観, 藤本 潤一, 西澤 英雄
    2019 年 26 巻 5 号 p. 401-404
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    Corynebacterium striatumC. striatum)が原因と考えられる敗血症を2例経験したので報告する。症例1は76歳,男性,器質化肺炎に対してプレドニゾロン10 mg/dayの投薬を約2年間受けていた。市中肺炎による呼吸不全のため人工呼吸管理となったが,抜管後にC. striatum肺炎による敗血症を発症し,同菌に対する抗菌薬治療によって軽快した。症例2は74歳,女性,急性心筋梗塞による心室中隔穿孔を発症し,心室中隔穿孔閉鎖術後にC. striatum縦隔炎による敗血症性ショックを発症した。洗浄ドレナージ術,抗菌薬治療を行ったが,死亡退院となった。C. striatumによる感染症は定着やコンタミネーションとの判別が困難で,診断にはしばしば苦慮するが,免疫能の低下した患者ではC. striatumが起因菌となり得ることを認識する必要がある。

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