情報通信学会誌
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32 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 海野 敦史
    2014 年 32 巻 2 号 p. 37-49
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    憲法21条2項後段にいう「秘密」の意義及び射程については、従前の学説における議論が乏しかったが、以下のように捉えるべきであると考えられる。すなわち、当該「秘密」については、(1)通信当事者の意思に関わりなく客観的に成立する、(2)公権力及び通信管理主体という特定の主体との関係においてのみその保護が問題となる、(3)通信当事者が「通信」を行うに際して一般に有するものと客観的に認められる「信頼」に基づき発現する、という特質を有しており、通信当事者の「信頼」の向かい先にない一般私人との間では憲法上直接問題となるものではない。少なくともこの点において、「秘密」の概念は、公私双方の局面にわたり問題となり得るプライバシーの概念とは区別される。したがって、通信の秘密不可侵の保障の趣旨をもっぱらプライバシーの保護に求めることは必ずしも妥当ではない。「秘密」の保護とは、むしろ憲法上確保されるべき「通信」の制度的な利用環境の表徴として捉えられ、国民各人の「通信」の安心・安全な利用を確保する観点から、セキュリティ等のプライバシー以外の一定の要素も通信制度の中で適切に保護されることが憲法上予定されているものと解される。なお、近年一部の学説で主張されている「通信の内容の秘密」と「通信の構成要素の秘密」との憲法上の区別については、両者の不可分性等にかんがみ妥当ではなく、通信の秘密不可侵の保護領域においては両者を一体的に捉えるべきであると考えられる。
  • A Case Study of the Great East Japan Earthquake
    チェン ジョン・ウィリアム, ジョン ステファン・ヨンギュン, 大塚 時雄, 三友 仁志
    2014 年 32 巻 2 号 p. 51-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    The aim of this paper is to investigate the effects of the use of new and traditional media in post-disaster recovery after the Great East Japan Earthquake using data collected from the disaster area in March 2013. This study found that the use of both new (Web 2.0 applications) and traditional (informative television programmes) media can create some positive but indirect effects on the development of social capital elements that are critical for post-disaster recovery such as bonding trust, bridging networks and civic participation. These effects are mediated by online civic participation, which itself can be encouraged by the complementary use of television and Web 2.0 applications. By showing the effects and the mechanisms of the use of media on social capital development, the findings have some important implications for researchers as well as authorities and NGOs that are working on post-disaster recovery.
  • つくば市民活動のひろばを事例として
    海後 宗男, 大倉 沙江
    2014 年 32 巻 2 号 p. 67-81
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、茨城県つくば市市民活動課・インテル・筑波大学の3者連携事業Facebookページ「つくば市民活動のひろば」を事例として、市民活動団体や市民活動に関心のある個人をSNSに参加させる要因を検討した。特に(1)広告出稿と(2)対面的な交流活動という2つの要素に注目し、そのいずれがSNSへの参加を促進したり、利用を促すのかを量的データに基づいて分析した。得られた知見は次の通りである。(1)Facebookページに対する「いいね!」数は、広告出稿の時期に増加する傾向にある。(2)リーチ数は、広告出稿時に顕著に増加する。(3)アクション数は、広告出稿の時期も増加は確認されない。むしろ、小規模であっても対面的な交流会の前後にアクション数の増加がみられる。そのような傾向は「つくば市民活動のひろば」に「いいね!」を押している人に限定すると、より顕著に観察される。
  • 斉藤 邦史
    2014 年 32 巻 2 号 p. 83-92
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    著名人の氏名や肖像が宣伝広告や商品事業等に利用された場合に問題となるいわゆるパブリシティ権の侵害における準拠法選択に関しては、市場の横取りという側面を重視し法適用通則法17条の適用範囲に含める見解と、信用毀損との類似や肖像等の人格的側面を考慮して19条の適用範囲に含める見解とが対立している。本稿では、パブリシティ権の侵害における準拠法の選択について、周辺事例に関する裁判例および学説の概観を通じて、見解が分かれている通則法の解釈を検討し、以下の考察を得た。第一に、19条の定める単位法律関係の範囲は、人格的な権利利益の侵害に限定されると解すべきである。第二に、パブリシティ権の侵害における法律関係の性質は、人格権としての氏名権や肖像権との区別に鑑みて、不正競争の一類型と理解すべきである。第三に、パブリシティ権の侵害を理由とする差止請求と損害賠償請求は、いずれも17条および20条により準拠法を決定すべきである。
  • A demand and supply perspective
    Mingchan CHENG
    2014 年 32 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    Stimulating broadband diffusion seems to be a significant national agenda in both developed and developing countries. Regulation that contributes to creating an investment-friendly environment has long been adopted by policymakers and has captured much attention among academic researchers as well. In recent years, governments have been strongly in favor of direct public intervention to stimulate broadband deployment and adoption. However, only a handful of research studies have explicitly analyzed the ex-post effectiveness of those policies for broadband promotion. This is owing to several reasons, including the difficulty of gathering adequate information for a number of countries. This paper examines the working and performance of public policies on the supply and demand sides. Empirical analysis suggests that demand side policies have a significantly positive impact on broadband penetration.
論説
  • 東日本大震災を踏まえて
    西澤 雅道, 筒井 智士, 金 思穎
    2014 年 32 巻 2 号 p. 105-116
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/27
    ジャーナル フリー
    2011年3月に発生した東日本大震災では、行政による「公助の限界」が明らかになり、「自助・共助」の強化の必要性が明らかになった。これを踏まえ、2013年6月に災害対策基本法が改正され、事業者の事業継続に関する規定が明確化されたほか、地域住民及び事業者による地域コミュニティにおける自発的な防災活動に関する計画である「地区防災計画制度」が創設された。一方、地域防災力向上の観点からは、地域住民及び事業者が自発的に行う防災活動が注目されているが、その際には、即時性、拡散性、双方向性等の特徴を有するICTの活用が一つの課題となっている。現在、首都直下地震、南海トラフ地震等の発生が危惧されているが、本稿では、共助による地域防災力の向上の観点から、地区防災計画とICTの在り方について、内閣府の「地区防災計画ガイドライン」等を踏まえ、検討を行う。
寄稿論文
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