情報通信学会誌
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35 巻, 1 号
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論文
  • 通信管理主体の表現の自由の享有可能性を踏まえた批判的検討
    海野 敦史
    2017 年35 巻1 号 p. 1-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/11
    ジャーナル フリー
    「コモンキャリア」の概念については、通信事業者の表現の自由等の保護領域ないし憲法規範の適用範囲を画するための重要な概念として、マジックワードのごとく頻用されてきたが、その具体的な射程は極めて不明確である。しかも、コモンキャリアのレッテルを貼ることは、当該表現の自由の行使可能性を実質的に「抹殺」する効果を与え得る。それゆえ、「通信」に関する憲法上の権利・利益又は義務をめぐる法解釈論上の観念としては、基本的に放擲されるべきであろう。伝送行為を通じて他人間の通信の成立を左右する通信管理主体においては、憲法上、通信役務の提供に関して通信の秘密不可侵の法規範に拘束されつつ、「通信役務の提供に関する義務」を厳格に履行することが求められる。その限りにおいて、取扱い対象となる個々の通信の内容に対する責任は原則として問われないものの、自らの伝送行為を通じた表現の自由を堂々と行使できる範囲が著しく縮減すると解される。一方、伝送行為に直接従事せずに通信設備の供用等を行うにとどまる通信管理主体においては、通信の秘密不可侵の法規範に基づく一定の憲法上の義務に拘束されるものの、自らの表現の自由の行使可能範囲が著しく縮減するわけではないと考えられる。よって、ある通信管理主体が伝送行為に直接従事するか否かということは、通信役務の提供における表現の自由の行使の余地を決する観点からは、核心的な判断要素となる。
寄稿論文
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