本稿は、電子漫画作品における作品創作者の宣言する作品アイデンティティと作品需要者が形成する作品イメージとの間の距離を定量的に検討し、その差異が形成される要因と電子漫画作品の人気との関係を検討するものである。実証分析においては、電子漫画サイトにおける大規模な読者調査のデータを用いる。電子漫画作品のアイデンティティとイメージをカテゴリー化理論の観点から推定した結果、作品のアイデンティティとイメージは一致するほど消費者から好まれることが確認された。しかし、最も高い人気度は適度に不一致する際に得られると想定した仮説は支持されなかった。
2016年のアメリカ大統領選挙を契機に、フェイクニュースに対する注目が世界的に集まっているが、国内においては研究がほとんど行われていない。本研究は,国内におけるフェイクニュースの生成過程を,オンラインニュースにおける生態系で重要な役割を果たすミドルメディアに注目して分析したものである。分析の結果、ミドルメディアは、マスメディアのニュースと検証困難なソーシャルメディアの批判的・否定的反応を組み合わせることでフェイクニュースを作り出していた。これはミドルメディアの新たな役割である。また、ミドルメディアにより作り出されたフェイクニュースが記事配信されることにより、オンラインにおいて大きな影響力を持つポータルサイトに到達する「フェイクニュース・パイプライン」の存在を明らかにすることができた。
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