本稿では、データセンタ間接続(DCI)ネットワークにおけるDC間の通信キャリアとDCI事業者の間の水平競争、エンドユーザ~ DC間接続における通信キャリアとDCI事業者の間の垂直競争があることを提唱すると共に、Lotka-Volterra モデルを活用して新たなハイブリッドモデルを構築し、長期的な均衡関係の成立条件を議論する。
その結果、DC間及びエンドユーザ~DC間において、通信キャリアあるいはDCI事業者のデータトラフィックが消滅する、通信キャリアとDCI事業者のデータトラフィックが共存均衡するといった複数のパタンの存在を明らかにした。更に、DCIネットワークにおいて通信キャリアがシェアを維持するためのパラメータの関係と、関係実現を促す政策提言について考察した。DC間でDCI事業者が消滅する場合、DC間で通信キャリアとDCI事業者が共存する場合があり、前者の実現のためには、DCI事業者のデータトラフィックに対しては成長を抑制する一方で通信キャリアのデータトラフィックに対しては成長を促す規制(差別化)が有効であり、後者の実現のためには、通信キャリア、DCI事業者共にデータトラフィックの飽和を促すと共に、互いのデータトラフィックを捕食しないような差別化が有効であることを明らかにした。
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