農業農村工学会論文集
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78 巻 , 4 号
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研究論文
  • 北井 靖人, 服部 俊宏, 高橋 弘
    2010 年 78 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    耕作放棄水田対策として近年注目されている水田牛放牧について,その景観が人々に与える心理的影響と位置づけを明らかにする必要がある.そこで,水田牛放牧景観について関連する景観との対比の中でSD法による評価をおこない,その位置づけを明らかにし,景観の観点からの導入への課題を明らかにする.
    水田牛放牧景観は相対的には低い評価となったが,心理的悪影響を及ぼしかねないネガティブワードは示していないため,悪い評価ではなかった.評価は牛の有無に関わらず土地利用形態と営農形態によって規定されている.水田牛放牧の導入の課題としては,清潔感の確保,圧迫感の回避,牛との接点がないことによる心理的距離の大きさの克服があげられた.
  • 松浦 悠人, 嶋 栄吉, 眞家 永光
    2010 年 78 巻 4 号 p. 243-250
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,冷温帯地域の黒ボク土水田である青森県十和田市内の単位水田における水収支とリンおよび窒素の流出特性の調査を行った.稲作期間を通した水の総流出量は2,192 mmであり,そのうちの約7割に相当する1,490 mmを浸透流出が占めた.全リン(T-P)と全窒素(T-N)の差引き排出負荷量はそれぞれ0.47 kg/ha,35.9 kg/haであり,対象圃場は排出型に分類された.T-PおよびT-Nの排出負荷のそれぞれ62%,83%を浸透排出が占めた.水田表層水の下方浸透に伴い作土から溶脱したT-PとT-Nの心土における挙動は異なっており,T-PおよびT-Nの浸透排出量は,作土からの溶脱量のそれぞれ2割,および,8割であった.
  • 竹村 武士, 小出水 規行, 神宮字 寛, 森 淳, 渡部 恵司
    2010 年 78 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    秋田県駒場北地区の保全池に,地元の理解,協力により通常どおり年2 回の配慮型の水草刈りが行われる空間と水草刈りを全く行わない空間を設けて,大~小規模の水生植物群落が存在する実験環境を準備し,区画法を援用してイバラトミヨの営巣場所を調査した.確認された巣は合計20 個で,水生植物群落周縁付近の区画で多く確認され,水生植物群落奥部の区画では確認されなかった.配慮型の水草刈りは中,小規模の多数の水生植物群落が存在する状態を創出させている.この行為は水生植物群落周縁の総延長の確保につながり,営巣に向いた場所の量的確保に結び付いていると推察された.
  • 佐々木 長市, 松山 信彦, 久保田 正亜, 野田 香織, 加藤 幸
    2010 年 78 巻 4 号 p. 257-264
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    客土をもつカドミウム汚染水田模型を作製し,常時湛水条件下で,すき床層(汚染土)が開放浸透層でかつ酸化層となる開放浸透模型と同層が閉鎖浸透層で還元層となる閉鎖浸透模型において,稲体のカドミウム濃度および水稲の生育収量を3 カ年にわたり調査した.客土厚は12.5cm とし,すき床層にはカドミウム汚染水田から採取した土壌(3.39mg/kg)を10cm 厚に充填した.
    その結果,カドミウム濃度の範囲は,玄米で0.000~0.200mg/kg,茎葉で0.050~0.845mg/kg,作土層の根で1.760~4.440mg/kg,すき床層の根で5.170~12.730mg/kg となった.各測定項目中のカドミウム濃度は,開放浸透模型が閉鎖浸透模型に比べ大きくなる傾向を示した.浸透型の相違により生育には大きな差異は認められなかった.穂数,玄米重は開放浸透模型より閉鎖浸透模型で上回った.この結果より,客土がある場合でかつ常時湛水栽培下でも浸透型の相違により,植物体のカドミウム濃度および生育収量に影響を与える実態が明らかとなった.
  • 能登 史和, 丸山 利輔, 早瀬 吉雄, 瀧本 裕士, 中村 公人
    2010 年 78 巻 4 号 p. 265-271
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,手取川流域(石川県)において,積雪量調査や積雪モデルを用いることなく,無積雪仮想流量(積雪がないとした場合の積雪・融雪期における河川流量)と実測流量の差異により,流域の積雪水資源量を評価したものである.無積雪仮想流量はタンクモデルを用いて推定した.本流域における手取川ダム築造以前の1976年6月~1979年5月の3ヶ年間の分析結果,積雪水資源量は462mm~1,179mmと推定され,積雪による水資源量の大きさが具体的に示された.また,無積雪仮想流量下では,現在の農業用水の水利権水量を下回る日数が大幅に出現した.
研究報文
  • 吉川 夏樹, 小出 英幸, 三沢 眞一
    2010 年 78 巻 4 号 p. 273-279
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    田んぼダムの中核施設である落水量調整板の孔形状の設計においては,以下の具備すべき要件を踏まえることが重要である.(1)大きなピーク流出量抑制効果,(2)過剰な田面湛水の回避,(3)日常水位管理への影響の軽減,(4)ゴミ詰まりによる流出孔閉塞の回避.本研究では,垂直設置型調整板を対象に,室内実験およびシミュレーションにより上記要件を満たす孔形状および孔断面積の検討を行った.モデルハイエトグラフを適用し,畦畔余裕高以上の湛水を引き起こさない落水量を通水できる孔断面積を確保した上で,シミュレーションを行ったところ,円形孔型や正方形孔型と比較して,より横縦比の大きい孔形状が,ピーク流出量抑制効果,日常水位管理への影響の軽減の要件で高い優位性を有することが明らかになった.一方,横縦比が大きい形状の場合,鉛直高が小さくなりゴミ詰まりによる孔閉塞が懸念されるため,孔形状の設計においては鉛直高に下限値を設けた上で,要件(1)(2)(3)を満たす水平幅を決定する必要があることを示した.
  • 藤井 秀人, GUMMA Muralikrishna, THENKABAIL Prasad, NAMARA Regassa
    2010 年 78 巻 4 号 p. 281-289
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    米の消費が急増している西アフリカにおいて,米増産ポテンシャルの高い内陸小低地(Inland Valley)の稲作栽培適地を選定するため,筆者らが開発した内陸小低地の水田稲作適性を評価するGISモデルを用いて水田稲作適地の評価を行った.GISモデルは以下の特徴を有する.1) 29個の評価指標をもとに,水田稲作適性を評価する.2) モデルで使用する評価指標は,物理・生物指標,技術指標,社会・経済指標,健康・環境指標の4種類に分類できる.3) 各指標は水田稲作の適性に応じて,1~5 の5段階でスコア化し,各指標の重み付き合計点で水田稲作適性を評価する.評価流域として,農業生態系が異なるガーナのギニアサバンナ帯と半落葉樹林帯に位置するマンクラン流域とジョロクワハ流域を選定した.本研究で得られた12指標のデータをGISモデルに適用し,マンクラン地区では内陸小低地の約32%,ジョロクワハ地区では約60%が水田稲作に適していること等の知見が得られた.
研究ノート
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