水域のネットワーク化を考慮可能な個体群動態モデルの構築を目指して,個体群成長を表す重要パラメータ
rの設定値について検討した.対象魚類はタモロコとし,現地調査で得た全長組成および再生産に関する既往知見を基に,仮想的なコホート生命表を作成して生残率を算出した.さらに,その値の不確実性を考慮するため,他魚種の知見ではあるが,数少ない野外個体群動態の知見を参考に,乱数を用いて生残率に変動を与えて,個体群成長のシミュレーションを行った.以上の結果,開発するモデルの運用目的に沿い,ネットワーク化の効果を過大評価しない,厳しめの
rとして,平均的には0.36(/year)程の値を用いることに無理はないと考えられた.ただし,計算対象とする期間の長短に応じて,その変動幅を設定する必要があると考えられた.
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