農業農村工学会論文集
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79 巻 , 3 号
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研究論文
  • 泉 完, 加藤 幸
    2011 年 79 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    ヤマメ稚魚の放流時期に合わせて当稚魚の臨界遊泳速度を岩木川取水堰で計測した.魚道地点の河川敷に小型の長方形断面水路(幅15cm・高さ15cm・長さ100cm)を設置し,水路には断面平均流速17~92cm・s-1の範囲で河川水を流し,体長4.8~7.1cmの稚魚を遊泳させた.計測中の水温は13.7~20.6℃で,推定された60分間臨界遊泳速度は,16~41cm・s-1であり,体長との間に正の相関が認められた.また,体長の倍数で表すと,3.5~6.9倍(平均5.5,標準偏差1.1)の速さとなった.計測時の水温の違いによる60分間臨界遊泳速度への影響は少ないと推察された.
  • 石田 聡, 土原 健雄, 吉本 周平, 皆川 裕樹, 増本 隆夫, 今泉 眞之
    2011 年 79 巻 3 号 p. 157-168
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    帯水層中に淡水レンズが存在する沖縄県多良間島において,淡水地下水の賦存量を明らかにするため,島内7箇所の地下水観測孔および12箇所の既存井戸において,地下水の電気伝導度の深度別測定および電磁探査を行った.電気伝導度の深度別測定では,電気伝導度200mS/m以下の淡水の厚さを実測できた12箇所における淡水厚は0~7.2mであった.また電磁探査結果の解析により推定された塩淡境界深度は,地下水観測孔における電気伝導度1,840mS/mを示す深度に対応していた.電気伝導度の深度別測定より求めた,電気伝導度が1,840mS/mを示す深度と,200mS/mを示す深度との相関関係はR2=0.9以上であった.これより,塩淡境界深度が未知の7箇所において地下水測定および電磁探査結果から淡水の厚さを推定し,淡水地下水賦存量を求めたところ約680万m3であった.
  • 小柳 信宏, 中田 誠, 松山 恵子, 辻井 令恵, 土田 武慶
    2011 年 79 巻 3 号 p. 169-177
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    新潟県佐渡島の耕作放棄棚田において,地下水の水位および水質の経時変化に影響を及ぼす要因を調査した.山腹斜面末端部近くに位置し,上方が急斜面になっている調査区(A区)では,緩傾斜の平衡斜面の中腹に位置する調査区(B区)に比べて,地下水位の経時的な変動が小さかった.A区ではEC,pHおよび鉱物風化に関わる成分濃度(Na+,Ca2+,アルカリ度など)が高く,斜面浸透水が地下水の主要な供給源になっていると推察された.B区では海塩成分(Na+,Cl-など)の影響が冬期の濃度上昇に強く現れていた.地下水質の変化には,そのほかに降雨による地下水の希釈,イオウの酸化還元,植物の養分吸収なども影響していると推察された.近接する場所でも地形条件が違うと,地下水質に及ぼす各要因の影響の仕方が異なり,地下水位や地下水質などの水環境特性を考慮した耕作放棄棚田の管理が重要である.
  • 辻 盛生, 山田 一裕, 平塚 明
    2011 年 79 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    在来種であり,視界を遮らない草高であるカサスゲの植栽水路に,ばっ気,返送を組み入れた場合の汚水の水質浄化特性を評価した.その結果,返送はばっ気の有無に関わらずBOD除去効率を向上させた.ばっ気は返送有りの条件においてBOD除去効率を向上させた.返送を行わなかった場合のBOD除去速度は15g・m-2・d-1程度が最大であり,ばっ気,返送を行うことによって,20g・m-2・d-1以上に上がることが確認された.D-BOD除去効果が高かったことから,バクテリアによる有機汚濁負荷の分解・除去が進んだものといえる.ただし,ばっ気による硝化が進まなかったことから,窒素除去効率は上がらなかった.消費電力が多いばっ気に替わる硝化能力の高い酸化方法の検討が必要である.
  • 有田 博之, 宮澤 紗文
    2011 年 79 巻 3 号 p. 187-194
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    新潟県中越地震も発生後5年を経過し,農業農村分野の復旧は進んだが,農業生産基盤の小規模被害の継起的発生が続いた.これは地震災害がもつ他災害と異なる特性であり,広範な地盤被害によって一定期間後にも被害が顕現しているのである.しかし,地震との関連が推測されても,因果関係が不明であることなどの理由から,災害復旧対策が実施できない.地震災害の固有性に対処するには,長期的対策の必要性が指摘されているが,被害の経年変化に関する資料が不足しており実施面での困難の要因となっている.本研究では,中越震災地区の経時的な被害特性を手作り田直し等支援事業の実態や農家アンケートの分析を通じて明らかにし,大規模地震後における長期的な復旧対策を提案した.
  • 藤澤 和謙, 村上 章, 西村 伸一
    2011 年 79 巻 3 号 p. 195-205
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,砂と粘土の混合土の侵食特性(土の侵食速度と流体から土表面に作用するせん断応力の関係)を測定した侵食速度測定試験と,同試験で用いた材料と同じ材料から作製した模型堤体の室内越流侵食実験の結果を示し,考察を行う.侵食速度測定試験では,土供試体の粘土の含有率と乾燥密度を変えて,土の侵食速度に対する粘土の含有量や密度の影響を明らかにした.堤体が越流による侵食を受ける際,その頂上での限界流によって侵食が生じる場合には堤体侵食の進展速度(堤高の低下速度)は堤体材料の侵食速度に相当する.堤体の越流侵食実験では,越流水の流れが限界流となる天端において堤体の侵食を実現させた.同実験の結果からは,堤高が低下する速度は侵食速度測定試験から得られた堤体材料の侵食速度とほぼ一致することが確かめられた.この結果により,堤体材料の侵食特性が把握されれば,限界流が堤体表面に作用するせん断応力を見積もることで,越流による堤体侵食の進展速度や破堤に至る時間が推定できることを示した.
  • 木村 匡臣, 島田 正志, 安瀬地 一作, 岡島 賢治, 飯田 俊彰
    2011 年 79 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    開水路システムにおける1次元非定常流解析手法の中から,数値振動を抑制する流束制限機能を含み,水利施設を含む内部境界条件や,流量や水深を与える外部境界条件の設定が容易である時空間的保存法を取り上げ,その理論を拡張することにより,断面幅や水路床勾配が流れ方向に沿って様々に変化する非一様断面開水路における1次元非定常流解析アルゴリズムを開発する.さらに,断面幅の変化率や水路床勾配の変化する矩形断面開水路における流れの静止状態の解析,流れのある状況における本解析手法による定常流水面と逐次水面追跡法による水面形との比較,実験水路にて作成した非定常流における水深の時間変化と解析結果との比較を行うことにより,手法の検証を行った.
研究報文
  • 渡部 恵司, 森 淳, 小出水 規行, 竹村 武士, 朴 明洙
    2011 年 79 巻 3 号 p. 215-221
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    コンクリート製の農業水路に転落したカエル類の脱出を可能にする,着脱が容易な脱出工(3種)を試作した.脱出工の種類,設置数(1 箇所/2箇所)及び通水条件(通水あり/通水なし)による脱出率の差異を,トウキョウダルマガエル及びニホンアカガエルを対象に調べた.2種の供試個体間ではトウキョウダルマガエルよりもニホンアカガエルの方が水路からの脱出率は高かった.トウキョウダルマガエルは体長の大きな個体の脱出率が低かったが,ニホンアカガエルでは体長による脱出率の違いはなかった.水路の両脇からのみ脱出できる構造よりも水路中央からも脱出できる構造の方が脱出率は高かった.設置数の追加によっても脱出率が高まった.通水の有無による違いはなかった.長期間設置した場合に通水を阻害しないかどうかを今後検討する必要があるが,試作した脱出工の有用性が示された.
  • 緒方 英彦, 野田 智之, 坂本 康文, 篠塚 政則, 鎌田 修, 中村 和明
    2011 年 79 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    農業生産活動,農産物流通,農村社会生活において重要な役割を果たす農道の舗装率は低く,走行性や快適性及び農産物輸送時の荷傷み防止等の機能が確保されていない農道が多くある.農道の舗装率の向上を含めた整備は,供用環境や周辺環境を踏まえ,農道の種類に応じた要求機能に基づいて経済的に実施されなければならない.本研究では,ほ場内農道の管理者である土地改良区に対するアンケート調査から水田地域における農道の問題抽出を行い,路面の変状が問題とされること,農道の整備において考慮すべき条件として修繕を行わなくてよい期間が特に要望されていることを明らかにした.また,土砂系舗装のほ場内農道における地盤及び路面の現状性能を評価し,平たん性は地盤弾性係数の標準偏差と正の相関があること,わだち掘れ量はわだち部の地盤弾性係数と負の相関があることを明らかにした.
  • 向井 章恵, 樽屋 啓之, 田中 良和, 中 達雄
    2011 年 79 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    排水路は水路床が土砂であるため,生物の生息場の保全に適すると言われている.しかし,出水時の傾斜地の排水路は,集水域から大量の水と土砂を受け,急勾配であるため土砂移動が活発となり,生息場が流亡する危険性がある.そこで,土砂移動を制御し生物の好適な生息場となる砂州を創出する水制を現地排水路に設置し,出水毎の砂州の変化過程を検討した.その結果,出水流量の大小によって,砂州の変化過程が異なることが分かった.出水流量が小さいと水制間では侵食が卓越し,植生で固定されたものを除き,砂州が不明瞭になった.再び砂州が明瞭になったのは,水制間に砂州の基盤となる大量の土砂が堆積した時であり,この時の出水流量は水路床材料の平均粒径が移動する大規模なものであった.なおこの間,砂州が流亡することはなく,底生動物の個体数の増加が確認された.
  • 山岡 賢, 中村 真人, 相原 秀基, 清水 夏樹, 柚山 義人
    2011 年 79 巻 3 号 p. 239-246
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    著者らは,メタン発酵施設で生成する消化液を液肥として農地還元する際に必要となる,メタン発酵施設から農地への消化液の輸送及び農地での散布の計画策定を支援するモデル(コンピューター・プログラム)をMS-ExcelのVBAで開発した.実際の消化液の散布データで,本モデルの妥当性を検証した.本モデルでは,消化液の生成量,メタン発酵施設と農地との距離,消化液による窒素施用量等の要件を与えることで,消化液の輸送・散布に要する日数(時間),消化液輸送車の走行距離・燃料消費量を算出したり,メタン発酵施設での消化液の貯留量の変化等を算定する.これらの値の算定は,本モデルによって容易に行うことができるので,計画立案者は本モデルを用いて種々のケースを試行錯誤することで,地域において最適な消化液の輸送・散布計画を容易に策定できる.
研究ノート
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