農業農村工学会論文集
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82 巻 , 4 号
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研究論文
  • 佐藤 伸二郎, 森田 修平
    2014 年 82 巻 4 号 p. 183-190
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    有機物のメタン発酵処理後の残渣物(メタン発酵消化液;消化液)は,特にアンモニウム態窒素(NH4-N)を多く含むため速効性肥料としての農地利用が期待される.しかし,同時に消化液施用土壌からの硝酸態窒素(NO3-N)の溶脱が懸念される.そこで本研究では,土壌への有機資材投入が消化液由来の窒素の動態,特に溶脱量に与える影響をカラム実験で調査した.積算溶脱NH4-N量は有機資材投入による影響を受けなかった.有機資材のおが屑と剪定枝の投入は,消化液からの投入N量に対するNO3-N溶脱率をそれぞれ16%と22%減少させた.有機資材にNO3-Nが物理的に保持されたことや,実験後の土壌でバイオマス量が増加したことから有機資材投入により窒素が有機化されたことが,土壌からのNO3-Nの溶脱量低下に貢献したと示唆された.
  • 瀧本 裕士, 小倉 晃, 吉田 匡, 高瀬 恵次, 丸山 利輔
    2014 年 82 巻 4 号 p. 191-200
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    本論文は,石川県林業試験場内に観測施設を設置し,純放射,地中熱フラックス等の積雪・融雪に関係する要因を実測し,積雪・融雪プロセスの解明という視点からとりまとめたものである.この結果,明らかになった点は以下の通りである.1)実測した積雪深と推定した積雪深の時期的変化,積雪の実測密度と推定密度とはおおむねよく一致した.2)積雪層に対する入射熱フラックスと放出熱フラックスの分析を行い,融雪・積雪に対する熱フラックスの種類ごとの重要性,役割を初めて明らかにした.3)厳冬期(12-2月)に積雪面上から供給される熱量と地下から供給される熱量に分けて分析し,後者が4年間の平均で32.7%を占め,多い年には約45%を占めることを明らかにした.
  • 藤居 良夫, 嶌津 俊樹
    2014 年 82 巻 4 号 p. 201-212
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    地方都市において広域的な将来計画を検討する際には,土地被覆や景観の変遷を地域の特性などとの関連で分析し,将来の土地被覆を予測してその景観構造を把握することは重要な課題であるといえる.本研究では,現在以降もしばらくは人口増加が続くが,いずれは人口減少に転ずると考えられる琵琶湖南地域の3都市を対象に,過去2時期の衛星データから将来における土地被覆の予測方法を示し,その方法を用いて,将来の土地被覆の予測を行った.さらに,複数の景観指標を用いて対象地域の景観構造を分析して,将来予測を含む4時期の土地被覆の状態とその経年変化を定量的に把握した.その結果,現在までの社会経済状況や地域政策などが継続した場合,将来の市街地は拡大しながら連結し,農地や緑地は縮小しながら減少していくことなどが,具体的な景観の空間的変化としてわかった.
  • Hiroki DEI, Toshiaki IIDA, Kenji OKAJIMA, Keigo NODA, Masaomi KIMURA
    2014 年 82 巻 4 号 p. 213-221
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    Laboratory experiments were conducted to study the effect of percolation rate on methane emission from paddy soil during continuous flooding, in order to examine the practical possibility of methane emission control by water management at paddy field sites. Typical formations of paddy field soil layers were reproduced in cylindrical columns without rice plants for measurement of methane emission under various percolation rates. Two experiments were conducted. In Run 1, the percolation rate was fixed at around 10 mm d-1 and 20 mm d-1 to understand the tendencies of methane emission under high and low percolation conditions. In Run 2, the percolation rate was changed stepwise in the range between 5 mm d-1 and 30 mm d-1 to analyze the quantitative relationship between percolation rate and methane emission. It was revealed that the relationship between percolation rate and methane emission is linear with a negative slope. Notably, the slope of the line describing the relationship is affected by the percolation history of the soil. Once the percolation rate reached around 30 mm d-1, which is a very high percolation rate in practical paddy fields, methane emission did not return to the initial value if the percolation rate was decreased. These results suggest that reduced methane emission would be made possible by increasing the percolation rate of practical paddy fields.
  • 石井 将幸, 長束 勇, 緒方 英彦, 円城寺 将貴, 上見 謙太
    2014 年 82 巻 4 号 p. 223-230
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    水路トンネルに対し,様々な手法で補修・補強が行われるようになってきた.しかしその設計を適切に行うためには,トンネル覆工の状態に加えて背面から作用している荷重の大きさを把握することが必要である.覆工や地山の状態を推定して水路トンネルの安全性を評価する手法の開発を目的とし,ほろ形断面を有する水路トンネルの覆工に対する詳細な調査を行うとともに,土かぶりを取り除いて内空変形とひずみを測定しながら載荷を行った.この載荷試験では,弾性域における荷重と変形やひずみの関係,ならびに微小なひび割れが生じる荷重の大きさを測定することができた.そしてその結果に基づき,数値解析を用いて基礎の状態,地山の地盤反力係数,ならびに土圧の大きさを推定した.続いて一連の過程と得られた結果より,トンネル覆工が現状で有する安全性を評価する手法について提案した.
  • 泉 明良, 澤田 豊, 日野林 譲二, 毛利 栄征, 有吉 充, 河端 俊典
    2014 年 82 巻 4 号 p. 231-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,様々な社会的ニーズを満たすため,農業用水路としてパイプラインの採用が増加している.またそのコスト削減のため,大口径化・薄肉化が進められている.しかしながら,過度な薄肉化は管体の座屈などを引き起こすことが懸念され,設計時に想定されている埋設挙動を逸脱する可能性がある.そこで本研究では,環剛性が等しく管厚の異なるたわみ性管を用いて,鋼板製土槽内で,模型埋設実験を行い,管厚や地盤剛性が埋設管の埋設挙動に与える影響を検討した.実験結果から,同一環剛性を有する供試管において管厚が載荷圧に対するたわみ率や曲げひずみ分布に与える影響は極めて小さいが,管厚が薄くなるほど軸応力が大きく,微少区間における軸応力の変化量が大きいことが明らかとなった.
  • 林田 洋一, 増川 晋, 浅野 勇, 田頭 秀和
    2014 年 82 巻 4 号 p. 241-253
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    地震時にフィルダム堤体が示す複雑な振動挙動を評価するための基礎的な知見を得ることを目的に,振動模型実験を実施した.実験では,堤体形状の異なるシリコンゴム弾性模型に対して,上下流方向およびダム軸方向に加振を行い,堤体形状や加振方向が堤体天端部での振動挙動に及ぼす影響を検証した.模型の堤体形状として,最大断面・ダム軸縦断面に対して対称な形状,ダム軸縦断面に対してのみ対称な形状,最大断面・ダム軸縦断面に対して非対称な形状の3つを設定した.実験結果から,天端で最大の応答を示すのは,加振方向にかかわらず,谷の最深部直上であることが分かった.また,堤体の形状や加振方向および入力波の周波数によっては,加振方向に直交する方向への応答が誘起された.特にダム軸方向への加振の場合には,天端で応答が誘起されない地点が生じることが明らかとなった.
  • 栗林 由佳, 多田 明夫, 田中丸 治哉
    2014 年 82 巻 4 号 p. 255-260
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    河川のSS濃度変動は急激で流量変動に対し非線形に応答するため,ある期間に河川を流下したSSの総流出負荷量(SS流出負荷量)の適切な推定法は困難とされている.これまで提案されてきた偏りの小さなSS流出負荷量の推定法に,瞬間流出負荷量の大きさに比例したサンプリング確率に基づく標本抽出法を採用したSALT法がある.本論文では,約13ヶ月間の期間での10分間隔の流量とSS濃度データを用い,SS流出負荷量の区間推定に対するSALT法の有効性を検証した.具体的には,Rating curve法による区間推定と比較しつつ,SALT法によるSS流出負荷量の区間推定法の有効性と課題を整理した.その結果,Rating curve法を用いた場合には標本数に関わらず推定量に偏りが生じること,SALT法を用いれば,標本数がある程度大きな場合には適切な区間推定が可能であることがわかった.
  • Yuki HASEGAWA, Man-Kwon CHOI, Shushi SATO, Isamu NATSUKA, Shigeyasu AO ...
    2014 年 82 巻 4 号 p. 261-266
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    High-quality aggregate has become increasingly difficult to obtain in Japan. One solution to this problem of dwindling aggregate resources is the effective use of both industrial by-products and low-quality aggregate. In this study, characteristics of drying shrinkage in mortar using various industrial by-products and low-quality aggregate were examined. Crushed sand, recycled sand, granite muck, waste tire, waste glass and two types of fly ash (Type I and Type IV) were used in place of standard sand or cement. As a result, there is a possibility that granite muck had highly utility as fine aggregate because it does not exacerbate drying shrinkage. Waste glass can be used as fine aggregate from the viewpoint of drying shrinkage when the replacement ratio against volume of standard sand is 10% and 30%. The amount of strain in mortar using non-water-absorbing material strongly correlates with mass decrement.
研究報文
  • 水間 啓慈, 國枝 正, 森 丈久
    2014 年 82 巻 4 号 p. 267-273
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    農業水利施設の故障や突発事故に関するリスクについては,老朽化した管水路の漏水事故を対象として,リスク管理の在り方や,リスク低減に向けた維持管理方法を検討した報告などがあるが,揚排水機場を対象とする研究は十分になされているとは言えない状況にある.そこで本研究では,長期に供用されている揚排水機場を対象とし,施設管理者により日常的に蓄積される整備補修記録をもとに,ポンプの突発的な運転停止を発生させる要因の変動傾向を分析した.フォルト・ツリーによる分析の結果,供用開始から約30年経過した時点で,ポンプの劣化故障や部品不良による運転停止の発生頻度が顕著に増加している傾向等が把握できた.また,リスク管理の効率化に向け,整備補修記録の分類整理や,運転管理日報に突発事故の兆候となり得る異常音,異常振動,起動渋滞の3項目を記録することを提案した.
  • 冠 秀昭, 大谷 隆二, 関矢 博幸, 千葉 克己
    2014 年 82 巻 4 号 p. 275-283
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    水田の排水不良問題に対応可能な排水改良技術を提供するため,農家の所有するトラクタで利用できる浅層暗渠施工器を開発した.浅層暗渠施工器は64kWのセミクローラ型トラクタで使用可能であり,けん引作業のみで暗渠溝の開削,暗渠管の布設,もみ殻疎水材の投入を同時に行える.掘削深度を安定させるために開発した掘削深制御部を装着することにより,浅層暗渠施工器で0.5m程度の深度で開削が可能であり,圃場管理で必要となる心土破砕の施工深度0.4m以深に暗渠管を埋設できた.試験圃場に施工された浅層暗渠の総降水量に対する暗渠流出率は14%程度であり,圃場の排水機能を向上させる効果が得られた.
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