異なる灌漑条件(灌漑水量・水尻の堰板高さ・時間帯)の下で冷水掛流し灌漑試験を行い, 灌漑条件の違いが水田の水温形成に及ぼす影響を調べた.低温の灌漑水の流入による水温冷却効果は, 昼間掛流し灌漑, 夜間掛流し灌漑ともに, 水口付近で大きいが, 水口から離れるにつれ小さくなった.この効果は, 同一堰板高さの下では灌漑水量が多いほど, 同一流量の下では堰板高さが低いほど増加した.また, 同一灌漑水量・堰板高さの下では, 夜間掛流し灌漑の方が昼間掛流し灌漑よりも, 冷却効果は大きかった.一方, 低温の灌漑水が流入していない地点の水温(灌漑水が到達するまでの水温)は, 水深の違いにより温度変化が異なり, 水温上昇過程にある昼間の水温は水深が深いほど, 水温低下過程にある夜間の水温は水深が浅いほど, 低温となった.
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