農業農村工学会論文集
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83 巻 , 3 号
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研究論文
  • 中村 和正, 伊藤 暢男, 須藤 勇二, 西 恭二, 木山 貴子
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_41-I_48
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    積雪地域では融雪水が重要な水資源であるため, 地球温暖化による積雪水量や融雪時期の変化が農業用水の利用に影響を与える.また, このような変化は, 流域の標高の違いによって現れ方が異なると考えられる.本研究では, 北海道空知地域北部で流域標高の異なる3地点を対象として, 9種類の気候モデルによる気温と降水量の予測値を用いた流出解析を行い, 将来の温暖化が積雪水量や流出に与える影響を予測した.その結果, 冬期に貯えられる積雪水量の減少により, 将来は融雪期の流出高と灌漑期の流出高がともに減少することや, 流域の平均標高が低いほど融雪流出のピーク日の早期化日数が大きいことが予測された.
  • 石神 暁郎, 佐藤 智, 中村 和正
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_49-I_61
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地におけるコンクリート開水路では, 近年, 凍害劣化により低下した性能の回復・向上を目的とした種々の表面保護工法の開発・適用が進められている.凍害劣化を対象とした表面保護工法は, その優れた遮水性により新たな水分の侵入を抑止・抑制し, コンクリートにおける凍結融解の作用を抑制しようとするものであるが, その性能を持続的に発揮させるためには, コンクリートに対して十分な付着性を有していることが求められる.本研究では, 新たに提案した表面保護工法の付着耐久性を評価する凍結融解試験方法を用いて, コンクリート開水路に適用されている各種表面保護工法の評価を行った.その結果, 有機系および無機系の表面被覆工法において凍結融解の作用に起因する付着性の低下が確認されること, また, 保護材料の特性の違いによりその低下の程度が異なることが分かった.
  • 阿部 孝行, 北辻 政文
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_63-I_71
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    ソイルセメント地中連続壁工法は原位置土を壁材の一部として用いるため, 原位置土の性質に品質が大きく左右される.砂質土地盤のソイルセメントでは, 礫や砂の分離・沈降による施工不良が生じ易いため, 施工や芯材挿入に必要な流動性を確保しつつ, 材料分離を出来る限り小さくする必要がある.そこで本研究では, 砂質土地盤におけるソイルセメントのフレッシュ性状改善を目的とし, 製紙工場から発生するペーパースラッジを砂質土ソイルセメントの添加材として適用した場合の効果, さらにそのソイルセメントの建設工事現場における施工性について検証した.その結果, ペーパースラッジを砂質土1m3に対して10kg程度混合したソイルセメントは, 微細な独立気泡および繊維がソイルセメント内に導入され, 流動性および材料分離抵抗性が向上することを明らかにした.さらに, 実施工においても施工不良は確認されず, 強度のばらつきも小さく, ペーパースラッジを用いたソイルセメントの良好な施工性が検証できた.
  • 小谷 廣通
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_73-I_81
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    簡便な測定システムを用い, 湛水条件下の水田において信頼できる実蒸発散量を推定するために, まず, 熱収支フラックス比法による実蒸発散量とFAOのPenman-Monteith式を用いた可能蒸発散量との関係を検討した. この結果, 可能蒸発散量と実蒸発散量との間には, その比の値は月ごとで異なった値となるが, きわめて良好な比例関係が成立した. 次に, 水田の熱収支式において湛水の貯留熱変化量と地中熱伝導量を無視して適用したPenman-Monteithの簡略式による可能蒸発散量と, 熱収支ボーエン比法あるいは熱収支フラックス比法を用いて推定した実蒸発散量との関係を検討した. この結果, 生育前期と後期でその比の値は異なるが, 1日単位の両者の間にはきわめて良好な比例関係が成立した. 特に, 生育後期の比の値はきわめて1.0に近かった. 以上のことから, Penman-Monteithの簡略式による日可能蒸発散量から信頼できる日実蒸発散量が推定できると考えられる.
  • 浅野 勇, 渡嘉敷 勝, 森 充広, 川上 昭彦, 川邊 翔平
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_83-I_90
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/16
    ジャーナル フリー
    RC開水路側壁の摩耗進行と耐力低下の関係を明らかにするために, 摩耗による断面欠損を模擬したRC梁供試体の曲げ載荷試験を実施した.その結果, 引張縁を断面欠損させたRC梁では, 断面欠損供試体と健全供試体の曲げ耐力には大きな差が生じなかった.一方, 圧縮縁を断面欠損させたRC梁では, 1)断面欠損深さに比例してRC梁の曲げ耐力は低下する, 2)引張鉄筋量が等しい場合, 単鉄筋梁に較べ複鉄筋梁の方がRC梁の最大荷重および変形性能がやや大きくなる, 傾向を示した.圧縮縁に断面欠損が生じた場合のRC梁の降伏荷重の算定方法として, 健全供試体の有効高さから欠損深さを引いた値を有効高さに用いて断面計算を行う方法を提案し, 提案方法による算定値が実験結果と良く一致することを確認した.
  • 緒方 英彦, 田村 雄平, 兵頭 正浩, 石神 暁郎, 佐藤 智
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_91-I_97
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/16
    ジャーナル フリー
    本研究では, 寒冷地のコンクリート構造物において, 凍結融解の繰返し作用により微細ひび割れが発生している凍害劣化部の範囲を定量的に評価する手法として赤外線サーモグラフィー法をとりあげ, その評価手法の確立に向けた基礎的研究を実施した.まず, 採取コアを対象にしたアクティブ法による赤外線サーモグラフィー法の試験条件を検討した上で, この試験条件により微細ひび割れが検出できることを確認した.次に, 凍害劣化部の定量的評価手法を検討し, この手法で評価した劣化部割合と超音波伝播速度の関係を考察することで, 提案する手法の適用条件を明らかにした.
  • M.S.A. MAMUN, Shigeru SATO, Kohei YOSHIYAMA, Koji TSUCHIDA, Atsushi IW ...
    2015 年 83 巻 3 号 p. I_99-I_106
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/16
    ジャーナル フリー
    To analyze genetic diversity of endangered medaka (Oryzias latipes), primers for PCR (polymerase chain reaction) were constructed that could amplify ten microsatellite loci of medaka genome based on the contig/scaffold sequences published. DNA was extracted from the caudal fin of medaka collected at six different sampling points in Wanouchi Town, Gifu Prefecture. Genetic diversity within each sampling point was relatively high, whereas genetic differentiation between sampling points was small (pairwise FST = 0.023-0.086) but significant for all except three pairs of the sampling points. The genetic difference between the populations of the sampling points could be explained not only by the geographical distances but by the waterway connectivity between the points. These results indicated the importance of planning agricultural channel corrections considering migration of medaka between populations, to conserve genetic features of medaka in this study site where within-population genetic diversity is not much deteriorated yet.
研究報文
  • 浪平 篤, 髙木 強治, 樽屋 啓之
    2015 年 83 巻 3 号 p. II_17-II_25
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    用水路内の落差工で大きな波立ちが発生すると, 下流側における安定した分水に支障を来す懸念があるため, 改修や更新の設計にあたっては, このような波立ちの発生の予測が重要である.本研究では, 数値解析を行い, 下流側が等流状態とみなせる場合の落差工における波立ちの発生条件の解明を試みた.その結果, 単位幅流量と落差が同一であっても, 水クッションの長さと深さが変わることで, 露出射流, 完全落下状態, 不完全落下状態の3パターンの流況が発生することが確認された.また, 波立ちが生じにくいといわれる完全落下状態であっても, 落差工の下流側の流況は定常状態に至らず, 周期的な大きな波立ちがみられる場合が確認された.このような波立ちの発生は, 落差に対する落差工の上流側の比エネルギーの比, および, 水クッションを含む落差部分のアスペクト比を指標とすることで, 予測できる.
  • 中村 和正, 伊藤 暢男, 酒井 美樹, 臼谷 友秀, 吉田 一全
    2015 年 83 巻 3 号 p. II_27-II_33
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    将来, 気候の温暖化によって, 積雪水量の減少や融雪開始時期の早期化が生じると予想される.その場合, 積雪寒冷地の農業用ダムで現在の一般的な貯水開始時期を将来も守るならば, ダムの貯水が十分な量に達しないおそれがある.それゆえ, 将来の農業用ダムの管理において, 春の貯留開始時期頃に流域に賦存する積雪水量を推定できれば, 有用な情報となる.本研究では, 入手の容易なアメダスの降水量と気温を用いて農業用ダムの流域における積雪水量を推定する方法を検討した.その結果, 空知地域と上川地域では, 実用上, 十分な精度で積雪水量の推定が可能であること, 流域における5年程度の流量データがあれば推定精度は安定することがわかった.
  • 藤山 宗, 樽屋 啓之, 中田 達, 嶺田 拓也, 伊藤 祐二, 籾井 和朗
    2015 年 83 巻 3 号 p. II_35-II_41
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    現行のストックマネジメント事業では, 水路壁面材料が一定区間毎に不連続に変化するパッチ状の水路に対する水理機能診断は実施されておらず, パッチ状の水路補修が水路の通水性に及ぼす影響は未解明である.本研究では, パッチ状の水路の通水性に関する水理機能を現地観測と不等流計算に基づき評価することを目的とした.現地観測結果より, パッチ状の水路補修が水位および流速に及ぼす影響は, 各水路補修区間の中央では小さい.また, パッチ状の水路補修が縦断水面形に及ぼす影響は, 検討した水路壁面粗度, 水路底高および水路幅の3要素の中で, 水路底高の影響が最も大きいことを不等流計算によって明らかにした.これら3要素を反映した診断項目と, これらの診断項目に対応する調査項目を新たに提案し, パッチ状の水路の通水性に関する水理機能診断を行うための手順を提示した.
  • 廣瀬 裕一, 小林 久, 牧山 正男, 後藤 眞宏, 上田 達己
    2015 年 83 巻 3 号 p. II_43-II_53
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 揚水水車に関する現地での存廃状況の確認と存廃理由の聞き取り, 諸元の測定を通じ, 今日においても揚水水車が灌漑を目的として利用され続けるための条件を明らかにした.灌漑目的での利用は1980年代のおよそ3割に減少したが, 新設された事例も見られた.聞き取り調査の結果, 廃止された理由としては, 上位技術への更新や, 受益地を水田以外に変更したこと, 更新が不可能であることが, 一方存続理由は費用の都合や, 用水路を堰上げずに分水可能であることが, それぞれ挙げられた.また諸元ごとに存廃の差を見ると, 直径と受益水田面積で両者間に有意な差が見られた.以上から, 揚水水車が今日においても灌漑目的で利用されるための条件は, 直径が1.5~2.5m程度で利用が可能であることに加え, 燃料代の軽減や受益地から得られる収益等で規定される費用上の利点を持つことと考えられた.
研究ノート
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