農業農村工学会論文集
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83 巻 , 4 号
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研究論文
  • 佐藤 真理, 桑野 玲子
    2015 年 83 巻 4 号 p. I_107-I_115
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/17
    ジャーナル フリー
    不飽和地盤における間隙空気挙動は浸透や強度に大きな影響を及ぼす.本研究では集中豪雨により多方向からの浸透流が発生した際に, 地盤内に空気が閉塞され間隙空気圧が上昇し表層地盤が破壊される可能性を一次元上方浸透流試験により検証した.実験では地盤内の空気圧, 水の流入速度, 地盤表層部変位を測定した.水の流入量に比例して間隙空気圧が上昇し, ある間隙空気圧を超えると表層部地盤が持ち上がり亀裂が発生し, 亀裂発生後の破壊の進行速度は水の流入速度に比例した.実地盤でも低透気性の表層地盤があり地中空洞や破損埋設管等の空気貯留層への急激な浸透がある場合, 空気圧上昇による破壊が発生する可能性が高いことが示唆された.
  • 薗部 礼, 谷 宏, 王 秀峰, 小島 康人, 小林 伸行
    2015 年 83 巻 4 号 p. I_117-I_122
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/17
    ジャーナル フリー
    リモートセンシングによるデータを活用した作付作物の分類は, 農業分野における管理や災害補償において有用な情報となりうるものの, まだ手法は確立されていない.本研究では, ランダムフォレスト及びclassification and regression tree(CART)による作付作物の分類を実施し, 多時期のALOS/PALSARデータ活用の可能性を評価した.さらに, 2種類のアルゴリズム及び3パターンの観測パス(Descending 1パターン及びAscending 2パターン)による分類結果の比較を実施した.研究対象地では豆類, てん菜, 牧草, トウモロコシ, 馬鈴薯及び秋播き小麦が作付けされており, 2010年に取得されたデータを用いて分類が実施された.分類結果はランダムフォレストの方がCARTよりも優れており, 83.2%の全体精度(κ=0.785)を達成することができた.本結果は2014年に打ち上げられたALOS-2/PALSAR-2による農地の定常的な観測の有用性を示すものである.
  • 國枝 正, 安藤 泰久, 水間 啓慈, 森 充広, 安部田 泰
    2015 年 83 巻 4 号 p. I_123-I_131
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/05
    ジャーナル フリー
    ポンプ設備の実機を用いて, 軸受や歯車を対象として劣化の初期段階から損傷に至る劣化促進試験を行い, 摩擦面にアブレシブ(切削型)と凝着, 溶融の3種類の摩耗を人為的に発生させた.実機を用いた試験法は稼働しているポンプ設備の劣化兆候を検出する技術検証となることから, 設備の保守管理や機能診断に資するものとなる.本試験では, 摩擦面の状態を常時監視するために潤滑油に含まれる金属摩耗粒子の個数を試験時に微粒子計数装置によって計測し, さらに劣化の傾向を迅速に把握するために, 採取した油中の金属摩耗粒子の形態とサイズをその場で光学顕微鏡を使って観察した.ポンプ設備の損傷を起こす要因として主に想定される3種類の摩耗を発生させた結果, 油に含まれる金属摩耗粒子の個数や形態, サイズが設備の劣化兆候を検出する監視項目になることを確認した.
  • 瀬戸内 秀規
    2015 年 83 巻 4 号 p. I_133-I_146
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 球要素間接触面におけるHertzの応力・変位分布から誘導された接触理論に基づく球要素間接触面回転剛性を個別要素法に適用して, 粒状体の一次元圧縮剛性に与える球要素間, つまり粒子間接触面回転剛性の効果を明らかにしたものである.粒子間接触面回転剛性は, 粒状体の力学剛性を支配する粒子骨格構造の強度を高め, ひいては圧縮剛性を高める効果があることが明らかとなった.また, 粒子間接触面回転剛性の効果は, 粒子間で回転し易い角張りの少ない粒子の場合, 接触面積が大となる高圧領域の拘束圧条件および低弾性粒子の材料条件の場合に顕著となることが分かった.これらの成果は, 広範な拘束圧および材料などの試験条件に適用し得る粒状体解析を対象とする個別要素法の高度化推進に資するものと考えられる.
研究報文
  • 河原 行弘, 星野 敏, 渡邉 紹裕
    2015 年 83 巻 4 号 p. II_55-II_64
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/17
    ジャーナル フリー
    政府開発援助による大規模灌漑開発実施の課題として開発経済性の低下等が指摘されているが, 農業開発全般の現状分析を中心とした報告が多く, 事業そのものが持つ課題を取り扱った報告は少ない.そこで, 大規模灌漑開発の1例であるフィリピンのパンパンガ・デルタ灌漑事業の計画, 設計, 計画再検証, 事業実施の段階毎の主要計画内容を詳細に分析し, 不明瞭な事業の必要性, 財務分析軽視の開発規模の決定, 度重なる計画設計変更, 経済分析による事業評価の不確実性等の課題を明らかにした. 灌漑開発の効率的実施には, 事業の必要性や目標達成度を現実的に判定し, 経済分析より財務分析を重視し, 被援助国の財政状況に柔軟に対応した事業実施制度を構築する必要がある.
  • 鬼丸 竜治
    2015 年 83 巻 4 号 p. II_65-II_75
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/17
    ジャーナル フリー
    集落の用排水路の維持管理へ非農家住民に参加して貰うためには, 彼らの労力負担行動を促す適切な要因を選択し働きかけることが重要である.この観点から, パス係数による要因選択方法が提案されているが, 適用条件上, 利用できる者や適用できる維持管理組織が限られている.そこで本報では, 利用できる者等がより多いと見込まれる方法として, 別途提案された最大有効人数を指標にした方法に着目した.そして, 前者に代わり後者の方法を適用する際の条件を示すため, 新潟市の非農家300人の質問紙調査データを使い, 両方法の要因選択結果と特性を分析した.その結果, ①両方法とも選択順が1~3番の要因は一致する, ②後者の方法は全数調査データにのみ適用できる, ③したがって, 全数調査データを使い, 選択順が1~3番の要因を選択することが最大有効人数による方法の適用条件であることを示した.
  • Takayuki SHUKU, Shin-ichi NISHIMURA, Toshifumi SHIBATA
    2015 年 83 巻 4 号 p. II_77-II_82
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/05
    ジャーナル フリー
    This study investigated the effects of the input parameters on analyses of the stability of earth-filled dams based on experimental design, in particular an orthogonal design. Computer-based experiments that conformed to an orthogonal design were carried out to increase the efficiency of the stability analysis, and a linear regression model was used to analyze the results of the numerical experiments. The standardized regression coefficients (SRCs) obtained from the regression analysis were used as indexes of the sensitivity of Fs to the input parameters. The results of the sensitivity analysis showed that the parameters related to the geometry of earth-filled dams, such as the height and slope gradient, have a greater effect on Fs than those related to the hydraulic characteristics of the fill materials.
  • 兵頭 正浩, 吉井 莉菜, 緒方 英彦
    2015 年 83 巻 4 号 p. II_83-II_88
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/05
    ジャーナル フリー
    ヨシと同じイネ科であるイネの籾殻は, 灰化することでポゾラン反応を起こすコンクリート用混和材になることが知られている.そこで, 本研究では, 水域に植生しているヨシの維持管理と持続的な有効利用を目的とし, ヨシ灰の化学成分の同定とコンクリート用混和材として利用した際のモルタルの強度発現特性について基礎的研究を実施した.その結果, ヨシ灰の主成分は籾殻灰と同様にSiO2であり, 焼却条件によってはポゾラン反応を有する材料になりうることを示すことができた.また供試体の強度発現特性から, ヨシ灰は単位セメント量の軽減に寄与できる材料であることを示した.加えて, 汽水域に植生していたヨシを灰化した場合においても含有する塩化物イオン量は, JIS規定の1/1,000以下と微量であることから鉄筋腐食などを懸念する必要がないと推察された.
研究ノート
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